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人に向けて魔法が撃てない俺はニートになろうとしたら底辺クランに入団させられました  作者: いぬぬわん


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13話 澪vs狂歌

澪は血縛の鎖で動きが制限されながらも、拳を握り直す。

痛みはあるが、活性を使って自分の体を回復させ、冷静さを保つ。


(……くっ、動きが制限されている……でも焦らない)


狂歌は楽しげに笑いながら、血吸いでさらに剣を輝かせる。

赤紫の刀身から、禍々しい力が滲み出し、見るだけで圧が伝わる。


「ふふっ、お姉さん、逃げられないよぉ」


血縛の鎖に捕らわれた範囲内で、狂歌は斬撃を繰り出す。

澪は全力で踏み込み、体術と武術で攻撃をかわす。

だが血吸いで強化された剣は、重く硬く、避けるのも一苦労だ。



だが────



「活性属性付与────自動回復────」


受けた傷が瞬時に膜のように塞がり、痛みも徐々に和らぐ。

文字通り、自動で傷を修復していく感覚。

魔力の消費は受けた傷の量によるが、首さえつながっていれば、どんな傷も修復可能だ。


だが────完全ではない。

もし欠損してしまった部位を修復しようとすれば、とてつもない痛みが走り、魔力の消費も大きい。

魔力が足りなければ死ぬことは有り得る。


それでも澪は顔色を変えず、冷静さを保った

澪は自動回復で傷を塞ぎながら、冷静に狂歌を見据える。


体術の腕には自信がある。


「……あんた、私との相性最悪よ」


狂歌は笑いながら剣を振るうが、澪は巧みに避け、踏み込み、拳を叩き込む。

次の瞬間には腕、胴体、脚へと連続攻撃。


「私は斬られるくらいじゃ引かない」


赤紫の刀の振りを観察しつつ、澪は体の軸を意識して動く。

攻撃は正確で、狂歌の顔や胴を打ち、衝撃で少しよろめかせる。


血吸いで強化された剣の攻撃も、自動回復で傷を癒しつつ、澪の拳が狂歌に的確に入り、次第に動きを封じる。

狂歌は笑い声を上げるものの、顔に少しずつ焦りが浮かぶ。


「……いいよぉ!お姉ぇさん……ゾクゾクしちゃう♡」


澪は腕を構え直し、次の攻撃の体勢に入る。

体術で圧倒し、血吸いで強化された剣に対しても、冷静に戦い続ける。


澪は連続攻撃を浴びせながら、手に魔力を集中させる。


身体強化魔法────部分強化Lv3。

腕や肩に魔力が流れ込み、目に見えるほど青白い光を纏う。


「ぶっ飛びなさい!」


強化された拳でぶん殴る。

一撃の衝撃は凄まじく、狂歌の体を吹き飛ばす。

鎖の制限で不自然な位置で止まるが、赤紫の瞳に驚きが走る。


狂歌は息を吐きながら、呻く。

「がはっ!!!!」


路地に響く衝撃音、空気の揺れ。

澪の拳は魔力でさらに重く、硬くなり、ただの体術ではない威力を伴っている。


澪はそのまま間合いを詰め、連続攻撃を再び繰り出す。

血縛の鎖に捕らわれた狂歌も、逃げ場はない。


狂歌の目が赤紫に光り、笑みを崩さず叫ぶ。



「はは、ははははははははは────ぶっ殺す!」


剣を振り上げ、一気に斬りかかる。

怒涛の連撃。

完璧には避けれないが問題ない。

活性で受けた傷を癒やしながら反撃を試みる。


しかし、狂歌の手元で血が濃く濁り、もやのように立ち上がる。


「あはっ、もう充分溜まったよね?

いくよぉ────血界殲滅!!」


霧状に変化した血が、夜の路地を覆い尽くす。


澪は咄嗟に身を翻し、思わず息を呑む。


「……ただの霧、じゃないわよね……」


気をつけて避けたはずだったが、霧の一部が腕に触れる。

瞬間、冷たい感触と共に無数の細かい斬撃が肌を走り、痛みが走る。


「ぐっ……!」


刹那、澪は体を構え直し、体を硬くして回避と反撃の態勢を整える。

霧に触れれば、刻まれる。


狂歌は薄く笑みを浮かべ、言い放つ。


「霧がある以上、近づけないよねぇ!!」


血が濃く濁った霧の中から、赤紫の斬撃が縦横に飛び出す。


「ほら!ほら!ほら!」


澪は体をひねりつつ活性で受けた傷を癒やすが、霧の斬撃は絶え間なく襲いかかる。

一方的に攻撃を受け、反撃の余地はない。



「………ふぅ」


──ここで覚悟を決める。


澪は息を整え、走り込む。

霧に触れるたび、体は刃で細かく刻まれるような鋭い痛みに襲われる。

傷は瞬時に自動回復するが、その度に拷問のような感覚が走る。

痛みは絶え間なく、まさに秒単位で襲いかかってくる。


それでも澪は止まらない。


「痛みで私が引くと思ったら大間違いよ!!」


その瞳には、覚悟と闘志が揺るぎなく宿っていた。


──────守谷澪は痛みでは止まらない。



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