表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぱんでみっ!  作者: 陽碧鮮
第壱章 始まる生活 終わる日常
28/34

対生徒会戦-後編-

「現在生徒会チームは王手、次勝てば最終戦を待たずして生徒会チームの勝利っ♫」

 厳しいな。特に第四戦目。ここが踏ん張りどころだ。

「じゃ、行ってくるわね」

「おう」

 それだけ短く交わすと、中央へ歩いていく。

「ということで第四戦、挑戦者チームからは一年———姫野舞姫♫ 対する生徒会チームからは二年副会長———石川(いしかわ)(にらみ)となりましたぁ☆」

 姫野の相手、どっからどう見てもヤンキーなんだが。サングラスかけた。

「おうおうおう! てめぇだろ? 生徒会に喧嘩売りに来た首謀者ってやつは」

 そのヤンキーに姫野が絡まれた。

 姫野の情報だと恐らくあいつが魔眼使いだろう。サングラスはその封印か。

「だったら何?」

 姫野もあいてに負けじとにらみを効かせる。

「ったくよ、最近のガキはしつけがなってねーんだから。俺っちがしつけてやらねーといけねーよーだな」

 うわ、姫野に喧嘩売ったらなんでも買われるぞ。下手したら能力無視して海の藻屑にしかねない。

「言ってなさい」

 拳がプルプル震えてる。我慢できるとは、少しは成長したか?

「お二人の能力は『見切りの魔眼(シー・スルー)』と『石化の魔眼(メデューサ)』でお間違えないですね?♫」

「ええ」

「うっす」

魔眼(見切り)魔眼(石化)か」

 白谷がそう小さく呟いたのが聞こえた。


 『見切りの魔眼(シー・スルー)』…あらゆる攻撃を見切る能力。完全開放すると、三分間だけあらゆる攻撃を完全に(かわ)すことができる(ただし、肉体が追いつかない場合や、完全な不意打ちなどには対処不能)

 『石化の魔眼(メデューサ)』…対象に視点を定めるだけで身体を石化させる能力。


「なになに、あんたも魔眼使いなの?」

「そうだけど何か?」

「へっ! まあ能力は俺っちの方が圧倒的に強いみたいだけどな!」

 まあ、それは一切の疑う余地なくわかる。視られただけで戦闘不能? 反則だろ。

「では、決闘内容を発表します♫ ででんっ☆ だるまさんが転んだぁ♡」

 やっぱり適当すぎるだろ。絶対思いついた遊びを書いて箱の中に入れていったやつだ。

「おい、それ俺っちに『鬼』やらせろよ。俺っちの方が蹂躙する側に合ってるだろ?」

「…いいわよ」

 姫野は搾取する側だ。自由とか、人権とか。

「それじゃあ始めようぜ」

 二人はそれぞれ壁の両端へと移動。つまりこの距離を姫野が詰めることができればこちらの勝利というわけだ。

 ヤンキー、元い石川先輩は余裕綽々といった表情で、姫野に告げる。

「俺っちが最初のコールを告げ終わり、あんたを『視』たとき。それがあんたの最後だと思いな」

 それは絶対的な宣言。この部屋の壁から壁までは少なくとも十メートルはある。石川先輩が最初のコールを終える前に石川先輩に触れることは不可能と見ていいだろう。

 くそっ、決闘内容の運が悪すぎる。ここまでなのか。

 姫野は片眼鏡の奥に閉じられたまぶたをゆっくりと開き、美しい色違いの瞳を覗かせる。オッドアイの双眼には、諦めの色など一切含まれていなかった。

 姫野は言い放つ。

「『見切りの魔眼(シー・スルー)完全開放(フルリリース)』!」

 お前がまだ諦めてないのに、俺が諦めるわけにはいかないな。

 姫野は完全開放すると挑発するように言った。

「じゃあ私からも言わせてもらうわ。あなたが最初のコールを告げ終えて私の瞳を視たとき———それがあなたの最後よっ!」

「おもしれぇ」

 石川先輩は壁へと向き直ると、ゆっくりとサングラスを外し、偶像先輩が開始の合図を出した。

「だるま——」

 姫野はその瞬間走り出す。

「——さんが——」

 まだ半分の距離が開いている。それは残り僅かのこの時間では長すぎる距離だった。

 姫野は立ち止まる。もう間に合わないとばかりに。

 その行為はこの空間にいる全員に諦めたと告げるようなもの。

 石川先輩も姫野が立ち止まったのがわかったのか、心なしかコールが遅まった。

 そして——

「——転んだッ! ——あ?」

 石川先輩が視たのは自分の顔だった。

 数瞬遅れて魔眼が自身に向いていることを理解する。

「あ……ぁ…」

 やがて石川先輩は固まったように動かなくなった。

 姫野は今の今まで石川先輩の顔を写し出していた正方形の『それ』で顔を隠しながら近づき、足元に落ちたサングラスを先輩へと掛けるのを確認すると肩に軽くタッチした。

 流れる沈黙。やがて、

「勝者、挑戦者チーム——姫野舞姫!♫」

「うおおおおおおおっ!」

 白谷がガッツポーズ、腕を上方へ大きく上げる。

 姫野が笑顔で戻ってくる。手に持っていたのは十五センチ四方程度の鏡だった。

 俺は先ほどの決闘を思い出す。

 姫野が突然立ち止まり、俺たちは負けを覚悟した。

 しかし、おもむろに腹部を探り始めた姫野はやがてこの鏡を取り出し、頭の位置まで上げたのだ。そしてその後、石川先輩が振り返った、と。

「これ、もしかしたら使えるかもと思って、お腹に隠しておいたのよ!」

 作戦は大成功のようである。今も振り返ったときのまま固まった石川先輩は星野先輩によって横へと倒され、端へと移動させられていた。

「それにしても、賭けだったな。もしも石川先輩が頭以外の場所を視たら負けてたぞ」

 そんな俺の言葉に姫野は得意げに答える。

「言ったでしょ、『あなたが最初のコールを告げ終えて私の瞳を視たときそれがあなたの最後よ』って。そう言えば絶対に私の瞳を視てくれると思ったわ。だって単純そうなんだもの」

 その言葉に反応するかのように端に移動させられた石川先輩がピクッと動いたような気がしたが、気のせいだろう。


  第四戦  だるまさんが転んだ


  ☆姫野舞姫  VS  石川睨★


 ……不味い。俺以外は皆喜んでるけど、実際に勝負の結果は俺にかかってる。正直気が気じゃない。胃が痛い。

「それでは、最後の決闘を始めますっ♫ 残りの代表者、前へ☆」

 両者王手、これで全てが決まる。

 部屋の中央へと向かった俺は更に見にかかる重圧が強まったのを感じた。

 神宮寺先輩もこちらへ向かってくる、が少し様子がおかしい。いつもの優しい雰囲気がなく、どちらかというと姫野のような、そんな——

「第五戦、代表者は残りの一名♫ 挑戦者チームの代表者は——」

「黙りなさい」

 静かな一言だった。だが、その一言によって偶像先輩は口をつぐむ。口がチャックされたように。

「——正直、私が決闘に出るなどとは思いもしませんでした。私の予想では普通に三連勝。運が悪くて第四戦目での勝利。率直に申し上げて、」

 一度間を空ける。そして、タガが外れた。

「貴方たちには失望しました。使えない下僕たち。勝てない貴方たちに一体なんの価値があるというのですか? 家畜以下」

 偶像先輩と生徒会メンバーは怯えた表情を浮かべ、反対に挑戦者チームの俺たちはただポカンとこの光景を見ていた。

「嗚呼、使えない使えない。おっと失礼しました。挑戦者チームの皆様方には自己紹介がまだでしたね。私、神宮寺神楽と申します。能力は『心酔する美貌(チャーム)』。異性はおろか、同性でさえ自由に仲良く(操り人形に)することができる能力です」

 神宮寺先輩はニコッと微笑む。

 女神だと思っていた人が邪神だったなんて。

「は…はっ………」

 口から乾いた笑い声が小さく漏れる。

「それでは偶像さん、抽選箱から一つ選んでください」

 その言葉に従うように、偶像先輩は抽選箱の中から一枚の紙を抜き出した。

「ふむ…『じゃんけん』ですか。偶像さん、これは普通のじゃんけんと同じルールですか?」

 偶像先輩は一度だけ、コクンッと頷いてみせた。

「それじゃあ始めましょう。最後の決闘を。嗚呼、一回勝負、それに最初はグーですよ?」

 俺はただ黙って頷いた。

 すると神宮寺先輩は半月板のように邪悪な笑みを浮かべてこう口を開いた。

「じゃあ面駅さんは最初はグー、の後にパーを出してください。私はチョキを出すので」

 神宮寺先輩は愉快そうに笑う。

 俺は『心酔する美貌(チャーム)』の効果によってパーを出さざるを得ない。だから神宮寺先輩の勝利、ひいては生徒会チームの勝利、ってわけか。

 面白い話だ。最後の勝負が姫野に負け続けたトラウマのゲームで、そして、

「それではいきますよ? 最初はグー、じゃんけん——」

「「ぽんっ」」

 念願だった初勝利を挙げちまうんだからな。

「…え?」

 神宮寺先輩が素っ頓狂な声を上げる。無理もない。だって俺が今出しているのは——グーなんだから。

「俺の勝ち、ですね」

「え? はっ? ど、どういうこと⁉︎ わからない! どうして貴方はパーじゃないの⁉︎」

 どうしてもわけがわからないようで錯乱状態のようになる神宮寺先輩。

 だから教えてあげよう、俺の能力を。

「神宮寺先輩、俺の能力は『棄却する不文律(オールリジェクション)』。あらゆる能力を無効化する能力です」

 中二病患者ではない俺は、こいつらの『ごっこ遊び』に付き合う必要はない。

 だからそれを能力にしてしまえばいいと考えたのだ。

「しっ知らないわ! そんな能力! だって私は——生徒会はそんな能力を承認していませんもの!」

 そう言うと思った。だからちゃんと返しも考えてある。

「なら、なぜあなたの『心酔する美貌(チャーム)』を破れたのですか? それが俺がこの能力を持つ、何よりの証拠です」

 普通ならこんな返しは通らない。しかし、能力を偽ることができない中二病患者たちにとってはなによりの証拠となり得るのだ。

「あぁ…あああぁぁぁぁぁ!」

 先輩は崩れ落ち、俺は皆に能力を無効化したと語ることで、石化した石川先輩を含めた全員が再び動き、喋り出す。

 ようやく終わったな。


  ★早乙女薫  VS  上杉穹☆

  ☆クリスティーネ・ハーシェル  VS  大萌描★

  ★白谷龍也  VS  星野召☆

  ☆姫野舞姫  VS  石川睨★

 そして———


  第五戦  じゃんけん


  ☆面駅秀勝  VS  神宮寺神楽★


 偶像先輩の手によって俺の隣に白色の星型が書かれ、俺たちの勝利が確定した。



         ☆


『      個人調査表



 第1学年 1組 20番 学生番号10120

 氏名 面駅秀勝(つらえきひでまさ) 男性

 生年月日 平成47年 1月 15日生 16才

 住所 ——

 設定能力 『棄却する不文律(オールリジェクション)』【S】…あらゆる能力を無効化する能力。

 二つ名 『常識人』

 備考 ・母親が中二病研究チームの一員。

    ・世界で唯一の中二病非発症者。』


『      個人情報書



 第1学年 5組 11番 学生番号10511

 氏名 白谷龍也(しらたにりゅうや) 男性

 生年月日 平成46年 5月 5日生 16才

 住所 ——

 設定能力 『真剣勝負(フェアマッチ)』【C】…自身が関与するあらゆる勝負事において、一切の不正を行えなくする能力。

 二つ名/称号 『怨霊術師(ネクロマンサー)

 備考 ・部屋に女が立っていることがちらほら。

    ・怨霊は白谷自身だけでなく、周囲の人間にも害を及ぼす。

    ・中二スタンダード。

    ・クリス先輩を姐さんと呼び慕っている。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ