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異世界血ート剣客 拙者・葵光剣は異世界に貢献するでござる!  作者: 鬼京雅
二幕・異世界転生せし新選組動乱編
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武士として雷を落とすアオイ

 スザク王国国王の間。

 ここには拙者とカツラ国王に、国王息子のタカスギ。そして、タカスギの腹心の金粉シスターズに魔法騎士団団長ろくろ首のロコが居る。

 カツラ国王に拙者のいた世界の組織・新選組の面々が霊体として転生し、このスザク王国で暗躍してる事を話したでござる。この話をせねば、この国の人間に現在の状況がどれほど不味い状況かが伝わらぬでござるからな。


「……というわけで、拙者の元仲間が転生し、妖怪が数十年に一度行う死の行軍・百鬼夜行を起こしこのスザク王国を支配しようとしている。新選組を止めなければ、この国だけではなくバクーフ大陸が終わるでござるよ」


「うぴょーん! ええー! 聞いてないよー!?」


「まぁ、言ってなかったでござるからな。当然でござるよ」


「でもまた会えるしー。土方さんサイコー!」


「……」


 カツラ国王は土方殿の写真を持っていて興奮し、その写真はキスをしたヨダレでベトベトになっていたでござる。まさか、拙者の時も……などとは思わず、タカスギの増援の話を聞く。


「ケケッ。俺の妖怪仲間を使うか? 物量で解決した方が早そうな感じがするがな」


「いや、人妖戦争が終わったばかりで人間の争いに巻き込んでいたら、人間はどれだけ戦争がしたい種族なのかと疑われるでござるよ。人妖平和協定の取り決めを乱さない為には、この国の人間だけで解決するのが一番」


 その言葉に場の全員は頷く。

 せっかく平和になったばかりなのに、簡単にこの平和を壊させるわけにはいかないでござる。

 そして盆暗煙管ぼんくらきせるを吸うタカスギは言う。


「親父、これは戦争になる。魔法騎士団を総動員し、城下町から王宮を警護させろ。とにかく相手の出方はトリッキーだ。守りを固め、大事に備えるが吉だぜ。ケケッ」


「そうだね! その辺はシンクウに任せたよ! 天晴れ!」


「親父……自分の命を狙われてるのに楽しんでるな?」


「うぴょ!? そんな事はない!」


 まだ問題は解決していないが、カツラ国王は天晴れ! と書かれた扇子を広げ踊っている。

 ほーほー……。 

 そして拙者は言う。


「カツラ国王。この国の魔力秘宝クリスタルはどこにあるでござる? それを死守するのも拙者の役目でござる」


 その場の全員の目がカツラ国王にいく。

 特に、タカスギの鷹のように鋭い瞳がカツラ国王を見据えていた。

 周囲の視線を受けるカツラ国王は観念したように天晴れ! と書かれた扇子で口元を隠し、


「このスザク王国のクリスタルの場所はこの国王の間の奥に続く迷宮のどこかにある。しかし、それは言えない。これは代々の国王が次期国王と交代する時にのみ話す重要機密。まだ次期国王と交代するわけではないので私からは何も話せない」


『……』


 どうやらカツラ国王の覚悟は相当固いらしく、死んでも喋らぬという雰囲気がひしひしと伝わってくるでござるよ。いつもこういうカツラ国王ならば、女装国王でも国王らしいでござるのに……。

 そしてケケッ……と自分の父親を笑い、金粉シスターズに指示を出すタカスギに拙者は言うでござる。


「タカスギ。女子おなごを新選組と戦わせるのは厳しいでござるよ。新選組隊士は命令ならば、女子供でさえ躊躇い無く殺す」


 そう、拙者とて幕府を守る為の大義として敵の女子供を殺めた事がある。

 敵の訓練された女子供とは言え、やり切れない気持ちがあったのは確かでござるよ。


「お主の腹心のコンビ。金策と政治に長けたモンタやシュンは居ないでござるか?」


「モンタとシュンは他国に出かけている。その金策と政治力を生かしてな。ちなみに女だろうが俺の仲間。覚悟は出来ている」


 チュ! と素肌に金粉を散らしたのみの金粉シスターズは、拙者に投げキッスをする。

 それを見た拙者は頷き、


「タカスギの腹心なら仕方あるまい。しかし、無理はするなでござる」


『はーい!』


 そしてロコは魔法剣士騎士団団長として前線で戦い、金粉シスターズも守りに徹しながら新選組の進撃を防ぐ守り手として働く事になったでござる。

 そして拙者は王宮から帰ろうとするとロコに呼ばれた。


「話があるロコ」


「どうしたでござるか?」


 拙者はロコの話を聞いたでござる。

 どうやら魔法王国は、城内の警備やスザク王国城下街へ入るゲートなどの警備を厳重にしているが、その警備に当たる気持ちはうわの空のようでござるな。この国一大事である状況でアクビをして雑談などしている場合ではない。

 新選組の奇襲作戦により、スザク王国城下街は手酷く損害を受けたというのに……。

 拙者がいればどうにかなる。

 人妖戦争を終わらせたアオイ・コウケンがいればどうにかなる……という空気が蔓延しているでござる。 この魔法王国の兵達は人妖戦争末期の者達。この末期はほとんど妖怪との大きな争いは無く、小規模な争いが多少あるだけで死者もほとんど出てはいない。

 タカスギが戦争による軍事産業の利益と、自分の道楽としてぬらりひょんを裏で操り戦争をしていただけでござるからな。


(……ちと、お灸を据えねばならぬか)


 ポン、と拙者はロコの頭に手を置いて微笑む。


「ロコ。これは魔法王国騎士団団長としての失態でござるよ」


「でもロコはまだ団長に就任したばかりで……」


「戦争という人の生き死にがかかる時に初心者や半人前という言葉は通じないでござる。初めて剣を持つ者でも、戦いの中では敵はそんな事は知った事では無く、待ってもくれない。軍隊ブックに書いてあったと思うでござるが? 軍事において人の上に立つ者の迷いはいかなる理由があろうとも士道不覚悟。心に刻むでござる」


「……」


 コクリ、とロコは頷く。

 そう、新選組の局長も副長も戊辰戦争ぼしんせんそうの敗戦に次ぐ敗戦では堂々としていたでござる。一軍をまとめる人間がオロオロしていては部下の統率が取れなくなり、全軍の士気に影響し、そこから突破される。軍事において、その部隊の隊長の行動こそが、その部隊の人間の行動と同じになるでござる。

そして、城内に居る兵を武道館に集め拙者は叫ぶ。


「お主達は獅子身中しししんちゅうの虫かぁ! 今は戦時中でござるぞ! 軍人ならば軍人らしく、己の命を賭して国を守る剣となれ!」


 その場の全員は戦慄する――が、目の前の兵は言う。


「いや……どうせアオイさんが新選組の親玉を倒すんでしょ? そうすればこの戦争終わりじゃん? 俺達は城下街と城内だけ守ればいいし、そこまで必死にならなくてもいいんじゃないですか? 人妖戦争と違って、新選組なんて百人ぐらいなんでしょ?」


 すると、そうだ……そうだよという声が聞こえる。

 アオイさんがやってくれる。

 一人で大妖怪ぬらりひょんを倒した英雄だし! と、他人任せの兵の声が多数聞こえて来る。

 これは、お灸ではなく雷を落とすしかあるまい。


「自惚れるな魔法騎士団! 拙者一人の活躍だけで戦争が終わると思ったら大間違いだ! 人妖戦争は人間と妖怪の精神的な疲労も溜まり末期だからこそ、ぬらりひょん一人を倒すだけで終わった! しかし!新選組は一騎当千の侍しかおらぬ! 常に相手を殺さねば、身内から殺される状況を生き残って来た連中に心の疲労などは存在しないでござる!」


『……』


「お主達は自分の国は自分で守るという大義は無いのか! それでも軍人か!? 士道不覚悟で切腹させるでござるよ!」


『――!』


 その場が凍りついた。

 切腹という行為に、この魔法騎士団は戦慄したでござる。

 この冷気すら感じる空間を感じて思う。

 これこそが土方副長の気分でござるな。

 ほーほー。

 そして、拙者はスザク王国王宮を出て、ミツバと共に郊外の森の奥にある魔法研究所に帰るでござる。

 そして、魔法研究をしているミツバに言う。


「ミツバ……この新選組との戦いは拙者の元の世界の組織との戦い。ミツバにも、この世界の人間にも全く知識の無い新選組の事をより深く知ってもらう」


「それは……どういう事?」


 じっ……とミツバは美しい桃色の瞳で拙者の青い瞳を見据え言う。

 拙者はその桃色の髪の少女である相棒に全てを知ってもらう為に唇を動かした。


「拙者の、過去の話でござる」


 そして、ミツバと魔法研究所に戻り拙者の過去の話をする事になった。

 ここで拙者の過去を話さなければ、相棒としてミツバが新選組と戦うには肉体的にも精神的に厳しいであろう。国を守る大義の為に身内ですら平然と始末する、日本至上初にして最高の組織・新選組について拙者は語り出した。


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