女神の眠りのあとで
空は、どこまでも澄み渡っていた。
まさに、旅立ちにはちょうどよい日だろう。……俺は、こっそりと裏口から出ていくわけだが。
前回は家出とも言えない家出だった。無計画で飛び出した。……それでも、この町や人々と関われたことは、決して無駄なんかじゃなかった。
クロエ、リヴィ、そして……ガルド。
大きな荷物を、魔力を流して背負い直す。ずっと閉じ込められていた、公爵邸を振り返る……どこまででも、いける気がした。
そして最初の一歩を踏み出そうとしたその時――
「遅かったな、ソレイル。」
ガルドが、目の前にいた。
近衛騎士に任命されたばかりだっていうのに、目立たない旅装で。
「………えっ?」
脳内が混乱する。なぜここにいる?近衛騎士に任命されたばかりでは?まさか――
「まさか付いてくるのか?」
「お前の近衛騎士だからな。……公爵様に頼まれたんだ。お前の近衛騎士になってくれってさ。」
愛されてるな。路銀まで用意された。そんな言葉が、左から右へと抜けていく。
「聞いてないぞ。」
「言ってないしな。」
「いいのか……クロエや、リヴィは……」
「昨日公爵様に言われてからな、挨拶に行ったよ。」
皆応援してくれた。そう笑むガルドに、ため息が出る……こいつのことだ、いつものことか。
初めて出会った時から、随分と変な関係になったものだ……
そう思いながら、俺は自分の為に一歩を踏み出した。
それを見て、ガルドも楽しそうにデカい荷物を背負い直した。
「まずはどこに行くんだ?相棒。」
「……見たことのないものを見に!」
……俺の遅れてきた青春は、ようやく始まったばっかりなのだから。
初めて最後まで書き切れた物語です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
番外編も投稿予定です。




