屍山血河の大舞台
本日の投稿、2本目は…なるべく投稿出来る様に頑張るます。
――ガラガラガラッ!――
砕け散った城門の破片を蹴り飛ばして…シュテンの双眸は眼前に広がる街並みを捉える。
人間、聖獣、人間…内部を護る〝冒険者と聖獣〟の集団はどうやら戦意が失せているらしい…とは言え、闘争の意思が無いからと…生かして返す訳には行かない。
「――で?…誰から死にたい?」
シュテンはそう言い…骨を鳴らす…その時を以て…〝この戦い〟は〝防衛戦〟から〝市街戦〟へと移り変わる。
――ドォッ――
シュテンは大地を蹴り砕き、戦場に立つ〝戦士達〟を刈り取ってゆく…その背後からは、なだれ込むように〝魔物達〟が市街地に入り込み…この〝イベント〟の本懐を遂げようと、皆己の本性を曝け出し…〝思い思いの蹂躙〟を開始した。
人の悲鳴と、獣の喝采が入り混じり…街は阿鼻叫喚を奏でていた――。
●○●○●○
「――うむ!…良き〝戦い〟である!」
〝街を蹂躙する魔物〟…その姿を…彼方から眺め見る者が居た。
「〝獣の軍靴〟、〝無辜の悲鳴〟!――〝死と生の攪拌〟、〝腐敗と死の香り〟…地獄である、〝実に良い地獄〟であるな!」
その男は…金色の髪を揺らし…紅く燃える眼を輝かせながら、己が向うべき〝戦場〟に思いを馳せる。
「――さて!、俺も漸く〝出番〟が出来たと言うわけだ!…是非とも、心ゆくまで楽しみたい所だが…」
そして、品定めにと…街の中に拡がりつつある〝地獄〟を眺め見るが…今、その場に居る〝魔物達〟の姿を見て…顔を渋くする。
「むぅ…これと言って良き〝好敵手〟は見えんな…これでは些か、無聊を慰むには足りんな」
しかし、それでもその男は玉座から立ち上がると…その手に得物を抱え…それから、その顔に溢れんばかりの笑みを浮かべる。
「――まぁ良い!…何れ我が好敵手足り得る者も現れよう!」
『〝―――〟!』
「むッ、失敬だな友よ…俺はただ〝戦争〟が好きなだけで、人間も等しく大好きだぞ!…故に今より、人類に加勢するのだからな!」
その男は、己が得物にそう苦言を呈しながら…白い光に包まれる。
「世界よ、俺を空から落としてくれ!…落とす先は――」
包まれ、彼方の〝白〟から送り込まれる刹那…男はそう言い、街の中に繰り広げられる〝地獄〟から…一つの場所を指差して言う。
「〝この場所〟で良い!」
『〝転移先〟を指定……〝承認』
そう言うと、白い光から無機質な女の声が響き渡り…それに、男は満足気な笑みを浮かべると、その世界から消え…その場には、白く清らかな力だけが残っていた。
●○●○●○
――ドゴォォォンッ!――
『ギャオオォォォォォン!!!』
北の城門が、凄まじい勢いで吹き飛ばされ…残骸を踏み締めて〝巨大な蜥蜴〟が空へ咆哮えを上げる。
「――クッソッ!…やっぱ〝西〟が一番乗りかよ!…だがまぁ良い!」
蜥蜴の身体には夥しい傷が刻まれ…黒色の肌を紅く濡らしていたが、そんな事は些事であると言う様に…蜥蜴はその傷を容易く再生させて、己へ術を放つ〝アーク〟へニヤリと含みの有る笑みを見せる。
「――〝門〟はブチ壊した…コレでテメェは俺以外の魔獣も警戒しなきゃなんねぇよなぁ?」
「クッ…!」
――バキッ、バキッ、バキッ!――
「――〝皆殺し〟だ、この街全部更地にしてやるぜ…!」
そう言い、巨大な蜥蜴…〝ファニル〟は街を踏み砕き…人間達を踏み潰さんと進み始める…だが。
――ドドドッ!――
「んおぉ!?――な、何だァ!?」
「――ウオォォォォォォッ!!!」
その巨体が家を押し倒さんとしたその時…不意に、ファニルの元に、何かが大地を踏み砕く音と…凄まじい殺気が届き…驚き半分にファニルがその姿を捉える。
――ズオォォッ!――
「んなッ――」
其処には、一人の壮年の巨漢が…己の背丈程は有ろうかと言う大剣を二振り…空に構え…己の頭蓋目掛けて振り下ろさんとしていた。
「――〝破竜剣〟!」
その瞬間…二振りの大剣は男の魔力を食み…その大剣は禍々しい赤濡れた〝竜の幻影〟を象り…ファニルへ振り下ろされる。
――ズドォォォンッ!――
その一撃は、ニュートの街…その大地を意図も容易く切り砕き…土煙を巻き上げる…しかし、誰よりもその剛剣を振るった男自身がその結果に顔を顰める。
「――〝外した〟…!?」
男…レリックはその事実に困惑する…あの巨躯を前に…一線を退いたとは言え熟練の冒険者だった己が?…と、驚きと焦りを半々にそう呟く…その声に――。
「オイオイ、マジかよ…アンタ確か〝東〟ん所に居たんじゃねぇのか?…危ねえ危ねえ…予想外過ぎて危うくマトモに喰らう所だったぜ」
何処からかそんな声が響き渡り…背後から感じる悪寒に…レリックは大剣を盾に構える…その瞬間。
――ドォッ!――
不意に背後から迫った黒い鱗の〝尾〟が…その勢いでレリックを軽く吹き飛ばす…その余波で立ち込めていた土煙は剥ぎ取られ…大地に出来たクレーターと、〝二つの大きな斬撃痕〟…そして、土煙の中から黒い鱗の大蜥蜴が現れ…その金色の瞳にレリックとアークを捉える。
「――しっかし、参ったぜ…まさかの俺ん所に〝敵主力二人〟かよ…しかも内一人は【指揮官】じゃねぇ〝原住民〟…なぁやっぱ〝聖獣〟ズリぃって!」
そして、先程のシリアスな様子とは打って変わって…飄々とした軽薄そうな口振りで二人を詰り…頭を降る。
「――レリックさん、〝東〟は?」
「〝聖獣の指揮官〟が敵の指揮官を暗殺した…増援に壁外戦力から動ける人員を市街地防衛に当たらせている…!」
そんなファニルを前に、二人は油断無く情報を共有し…次の動きに備える…その様子を見たファニルは、溜息と共に、その軽薄そうな雰囲気から鋭い眼光を二人へ送る。
「あーやだねぇ、せめて〝人数有利!―コレで勝つるッ〟…て油断してくれよぉ…〝アーク〟だけなら兎も角、〝レリック〟も居合わせるとなると、流石に余裕で死ねるんだよなぁ…姐さんも一発殺られて?…ニャミィの嬢ちゃんもダウンか…非情…に不味い展開だなぁオイ」
そう言いながら、ファニルは仕方が無いと言う風に…その魔力を周囲に解き放ち、言い知れぬ圧力を二人へ与え…そして、一言。
「――しゃーねぇ、俺がチィッと身体張るかぁ…元からそーいう役割だしなッ!」
そう言い…その口から燃え上がる〝炎〟を二人目がけて吹き付けた。




