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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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惨劇は、次の舞台へ移り行く

2本目をば…流石に今日はコレで打ち止めかな?…。


明日も投稿します(鋼の意志)…2本投稿行けるかな?

――ザリッ…ザリッ――


態とらしい、その足音。


――ブブッ、ブブブブッ――


自らの存在を強調する様に、鳴り響く忌々しい羽音。


――バサッ――


湿気と、悪臭に満ちた下水道には不釣り合いな…ゴテゴテとした貴族の装い。


自らの力、権威、存在をコレでもかと強調する…その男に…聖獣達の顔が敵意に歪む。


「〝ベルゼ〟…!」


誰が紡いだか、その言葉…ソレに対し、男はその整った口端を歪に歪め…傲岸に聖獣と冒険者を見下ろす。


「そうだとも〝聖獣(ゴミクズ)〟共…お前達が求めてやまない〝この演目(殺人事件)〟の〝主役(元凶)〟…それが我だ、お前達〝聖獣〟が…敵意と恐怖を込め、〝貪食のベルゼ〟と呼ぶ…我だとも…ようこそ、我が〝邸内〟へ!」


ベルゼがそう言った…その瞬間、ベルゼの背後から凄まじい魔力の発散が起き…それが下水道の狭い空間に吹き荒れる。


――ゾッ!――


発露の主は、その黒髪を靡かせ…鋭い爪を備えた両腕で男の身体を突き抉る…しかし。


――ブブッ、ブブブブッ、ブブブブブブブブッ!――


その一撃が齎したのはベルゼの血肉や腸が吹き飛ぶ光景では無く…腹に空いた穴から漏れ出す、何千匹の極小の虫螻達の姿だった。


――ブブブブンッ――


「ッ…!」

「生憎だが、貴様がどれだけ強靭な肉体を有していようと…〝単なる火力押し〟では、我の命は尽き果てん」


ベルゼの肉体が崩壊し、肉体を象っていた虫達が霧散する…そして、虫達はまた群がり始めると、それからものの数秒で無傷のベルゼが再びその場に佇み…攻撃者の、黒髪の男へ嘲笑を込めて告げる。


「――〝雪崩火〟」


彼がそうして余所見をしていると…その瞬間凄まじい炎が彼を襲う…しかし。


「――温いな、〝赤甲蟲〟」


その瞬間迫り来る火の雪崩が、ベルゼを飲み込むが…その炎の中で影狼を生むベルセの声色には、一切の狼狽も無く…ベルゼは赤黒虫の鎧を来たまま、火の渦から這い出してくる。


「――〝点〟が駄目なら〝面〟で…成る程、〝以前の戦い〟から我への対応策を練り出したかアルス…だが、己の弱点を何時までも放っておく筈もあるまい」


そう言い、自らの身体からドス黒い魔力を醸し出したベルゼへ…壁の〝影〟がウネウネと動き…集まり始める。


――ゾゾッ、ゾゾゾゾッ!――


否…ソレは〝影〟では無く…下水道の床を、壁を、天井を這い進む虫達の列が〝影〟の様に蠢き…ベルゼへ集っているのだ…その、生理的な嫌悪感を掻き立てられた冒険者達の顔は、恐怖と焦り、そして忌避で歪み…険しい顔のままベルゼへ獲物を構えていた。


「何せ時間は、それこそ腐る程に有ったのだ…貴様の〝魔術〟に対する備えも用意しているとも」


そんな彼等へ、ベルゼは警戒する素振りも無くそう言い…自身に集まる虫螻達を手で操り…両手の間に〝虫の塊〟を作り出す。


「――話が逸れたな…貴様等はこうして、遥々彼方の縁から、我の正体を探り、果ては地中に我が根城有りと意気揚々と乗り込んだ訳だが…我はソレに対し、どう動くと思う?」


――ゾッゾッゾッゾッゾッ――


その塊を見た瞬間、アークも、ドクターも…ヴォルフも…聖獣の全てが、〝その虫の塊〟が持つ不気味で濃密な魔力の収束に警戒と魔力を漂わせる…その魔力の高ぶりにベルゼも口角を引き上げてその〝球体〟を〝整える〟…。


「――無論、〝鏖殺〟だ…貴様等を決して生かしては帰さん腹積もりで、我はこうして貴様らが来るのを待っていたのだ」


ベルゼがそう言っている内に、その〝虫の球体〟は遂に準備を終えたのか…黒い魔力を更に黎く…自身の中に内包する…今にもはち切れん様なその球体は、ベルゼの魔力によって更に圧し縮められ…その圧縮された〝破壊の力〟を…ベルゼは片手で握り潰し…そして聖獣達へ言う。


「避けよう等とは思うなよ?…生半な防護壁では足止めにすらならん…精々、貴様等の神に浄土への道を請い…死ぬが良い」


その言葉と同時に…ベルゼはその握り拳を聖獣達へ向け…開く…その瞬間。


――ビキッ!――


何かが砕ける様な音と共に…〝ドス黒い瘴気〟の塊は…影よりも黒く、暗い魔力の〝放射〟となって…直線上を駆け抜ける。


――ガチガチガチガチガチガチッ――


ベルゼの影響か…濃密な黒い魔力からは…何千の蟲の肉体が無秩序的に象られながら、止め処なく聖獣達へ突き進む…その余りにも膨大な魔力に、アークとドクター、そしてヴォルフが協力し、ありったけの魔力で〝浄化の壁〟を作り出す。


鎮座する〝聖なる盾〟の安心感は、これまで冒険者達が感じたどの〝庇護〟よりも強力で…その力に彼等は一瞬安堵の表情を浮かべる…――。





――バキンッ――


迫り来る〝黒〟が…いとも容易くその防壁を砕き折るまでは…。


「「なッ!?」」

「――クソッ…!」


その光景に聖獣達が目を見開く…そして、その僅か一瞬の驚きが、勝敗を分けた。


――ゴオォォォッ!!!――



●○●○●○


――シュウゥゥゥッ――


黒い瘴気に侵された道を見ながら…〝ソレ〟は吐き捨てる様に言葉を紡ぐ。


「……ふん、だから言ったであろうに…〝油断するな〟…と」

「……う…こ…の…ッ!」

「――驕ったな、〝アーク〟」


その場に唯一〝生き残った〟のは…いや、〝即死しなかった〟のは、僕1人…その僕さえも、その一撃で肉体は半壊され、生命の灯火は最早陰りつつ有った。


「――我と貴様は相性が悪い…故に、貴様は何時だって我を相手に余裕を持たせていた…〝浄化の力〟が、魔獣にとって最大の毒である…その事実故に、貴様は我を驕り…〝見誤った〟のだ」


僕を見下ろしながら、ベルゼはそう言い…自身の焼け落ちた右腕を見ながら…言葉を続ける。


「その結果がコレだ…貴様の仲間は、護るべき人は…その殆どが、我が〝貪食の魔力〟に貪り食われ、死に絶えた…どんな気分だ?…アーク?」

「ッ……く…そっ…!」


そして、その目は僕を射抜く…憐れむ様な目で悪意と嘲笑をふんだんに含ませた…その視線に…僕は成す術無く…ただ睨む事しか出来なかった。


「クククッ…此処でこうして、貴様が死ぬまで見届けてやるのも一興だが…生憎と…我は〝生意気な軍師〟のお陰で多忙でな…力もかなり消耗した事だ…暫し、この街から立ち去らせて貰うとしよう」


ベルゼはそう言うと、その足を引き上げ…最後にその嫌らしい笑みを僕へ向けて…最後の言葉を吐く。


「――〝2週間後〟の〝祭り舞台〟で、また相見えよう…その時までに、その身に付いた傲慢な贅肉を、搾り上げておくがいい」


そして、そう言うとベルゼは僕の頭へ足を振り下ろし…頭を潰されて僕の意識は薄れてゆく……。


――パチンッ――


そして、その瞬間僕は…教会のある一室で目を覚ます…それと同時に。


《ワールドアナウンスを通達致します!》

《イベント予告…第一回Evolve&Monster大型イベント、〝ニュートの街殲滅・防衛戦〟の開催決定を通達致します!》


全世界のプレイヤー達へ向けて、世界からそんな催しの予告が発信されたのを…僕はただ、ぼんやりと聞き入っていた…。

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