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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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下水道の冒険

――――――

【魑魅】E&M魔獣専用掲示板その10【魍魎】


1:マオ

この掲示板はEvolve&Monster公式が運営する魔獣専用掲示板よ、マナーを守って使ってね、荒らし行為や誹謗中傷は駄目よ。


次は<<990の人が建ててちょうだい。




〜〜〜〜〜


2:マオ

はぁい、魔獣の皆〜こーんにーちはー!


3:名無しの魔獣

こーんにーちはー!


4:名無しの魔獣

祭りだ祭りだー!


5:名無しの魔獣

人間共をぶっ殺せー!


6:名無しの魔獣

オデ、ニンゲン、タベル!


7:マオ

<<3、4、5、6

うん、元気が良くて大変ヨロシイ!…それじゃ、作戦進捗の報告に入りたいんだけど。


悪い報告と、良い報告と、とても良い報告…何方から聞きたい?


8:名無しの魔獣

良い報告から


9:名無しの魔獣

悪い報告からだろjk


10:名無しの魔獣

とても良い報告、悪い報告は聞きたくないです!


11:名無しの魔獣

よし、見事にバラけたから悪い報告から発表するわね?


誠に残念ながら、現在私とベルゼが主導する作戦、〝ニュートの街襲撃〟の作戦実行は、2週間後へと延期になります!


12:名無しの魔獣

<<11

はい解散


13:名無しの魔獣

<<11

はーつっかえ


14:名無しの魔獣

<<11

う◯こう◯こ!


15:名無しの魔獣

<<11

は?、ふざけんな!


16:マオ

はいはい、予想通りだけど落ち着いて落ち着い、ビークール。


話は最後まで聞け殺◯ぞ。


17:マオ

それじゃ良い報告!


今から、運営からイベント開催の予告が流されるわ。


題して、〝第一回E&M運営イベント〟――〝ニュートの街殲滅戦〟…聖獣には〝ニュートの街防衛戦〟のタイトルで明かされるんだったかしら?…先述の〝悪い報告〟と言うのがこれの為ね。


運営が私達のお祭りに一枚噛みたいらしいの…コレが〝良い報告〟よ♪


18:名無しの魔獣

<<17

イベント来ちゃぁ!


19:名無しの魔獣

<<17

信じてたぜマオの姉御!


20:名無しの魔獣

<<17

ん?…じゃあ〝とても良い報告〟は何なんだ?


21:名無しの魔獣

<<17

流石に、イベント開催より良い報告なんざねぇと思うんだが…。


22:マオ

<<20、21

良い質問ね、答えましょう。

イベント開催に際して、運営から打診が有ってね…私達の計画を延期して、イベントにしてくれないかって言われたのよ。


23:マオ

此方は予定が大幅にズレ込むし、それに時間を延ばすと此方の目的が露見するリスクも有る…だから、運営にソレに対する対応として…イベント報酬を吹っ掛けたの♪


24:名無しの魔獣

<<23

察するに、その〝報酬〟が〝とても良い報告〟とやらの中身か…して、その報酬とは?


25:マオ

フフフッ…それはね?――なんと、イベント勝利の暁には、報酬として〝ニュートの街〟が〝魔獣の国〟になります!


26:名無しの魔獣

<<25

ファッ!?


27:名無しの魔獣

<<25

……マジ?


28:名無しの魔獣

<<25

ウオォォォォォォッ!!!!!


29:マオ

コレで納得してもらえたかしら?


そう言う訳だから、今まで以上に気張ってレベルアップと能力強化して戦力を蓄えるように♪


――――――


――ブンッ――


「さて…コレで良し♪」


加速する掲示板を一瞥し閉じると…黒衣の美女は薄く笑いながら…遠くに聳える街の外壁を見て、赤色の目に熱を込め…輝かせる。


「後は…ベルゼの働き次第で、〝イベント〟の動きは変わるわね♪」


その目は、街の暗がりを蠢く羽虫達の長を網膜に映し…彼女は、待ちに背を向けながら、己の共謀者へ小さく呟く。


「ベルゼ…下手を打たないと良いんだけど…♪」


その声には、共謀者への心配と…同時に彼の失敗を望む様な〝快楽的〟な悪意が滲み…夜の帷がその声を覆い隠すと…其処にはもう、彼女の姿は綺麗さっぱり消え失せていた。



●○●○●○


――ピチャンッ…ピチャンッ…ピチャンッ…――


春ほどの気温故に、生暖かい空気が、悪臭を纏って彼等へ不快と警戒を贈る…湿気た通路と生した苔藻が、その場に居る幾人もの冒険者と聖獣達に抗い難い嫌悪感を抱かせた。


「――この下水道全域に…薄い瘴気が漂っている…〝例の彼女〟の痕跡は、跡形も無く消えているだろう…〝マオ・ディザイア〟か……君がそうまで警戒する彼女に、些か興味を覚えるね…アーク」


進み行く冒険者達…その先頭には二羽の聖鳥が飛び進みながら、そんな言葉を交わし合う。


「アレは…よくある〝戦狂い(バトルジャンキー)〟の類ですよ…自身の損傷を顧みず敵に挑むタイプです…彼女が厄介なのは、戦いの中で状況を正確に読み取って来る所と…良くある〝戦狂い〟と違って…〝狡猾さ〟も持ち合わせている所です…お陰で、私は一度彼女に殺されました」

「ほぉ…聖獣でも上澄みの君が嵌められたか…コレは私も気をつけるべきだね…」


会話を挟みながらも、忙しなく周囲を警戒していた二羽の聖獣…彼等は下水道に入ってから暫くの間、無音の中を進んでいた…しかし、ある時…丁度彼等の一団が街の中心に与る〝分岐路〟に差し掛かった…その刹那。


――チャプンッ――


『ッ!』


不意に…彼等の前から…そんな…〝何か〟が下水道の水を踏む音が鳴り…皆の警戒心が高まる。


――ジィッ――


〈看破〉を持つ彼らが、その闇に必死に目を向ける…しかし、程なくして、その〝異音〟の招待は明かされる。


――ブブッ――


「ッ!!!――総員防御!…〝来るぞ!〟」


ソレは暗闇から溢れだす様に現れた〝虫達〟の群れ…其れ等は皆一様に歯をガチガチとならし、本能的に目の前の〝命〟へと群がる…しかし。


――ブワッ!――


「〝失せろ〟…〝魔物〟」


そんな黒い虫達の〝進軍〟は…彼等を包み込む様に創り上げられた〝白い光の幕〟によって堰き止められる。


――ジュウッ!――


虫の群が白い膜に触れると、まるで解けて消える綿飴のようにその場から消失してゆく…一匹の例外もなく。


――ブゥゥゥンッ――


暫くの間維持されていたその〝白い膜〟は…虫達が消え去ると同時に解除され…彼等は、一先ずの〝防御〟に…思わずホッと息を付く…すると、そんな彼等を待ち惚けていたかの様に。


――パチッ…パチッ…パチッ…パチッ…!――


「いやぁ、見事…見事な〝推測〟だったな聖獣達よ」


そんな拍手と共に、暗闇からぬっと…怪しい男が姿を現した。

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