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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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逃走とお呼び出し

(増援の到着、相手は今一番相手にしたくない〝上級プレイヤー〟)


完全に包囲され、下手な行動は取れない――。


――ガシッ!――


「――よし、〝逃げよう〟♪」

「〝――〟!?」


一瞬の判断で、私は側に佇む眷属を掴み…行動を鈍らせない範囲で最大の魔力を込め…簡単な指示と共に彼等…特に、この中で最も瀕死なレイナの方に投げ付ける。


――ガシッ!――


投げ付けた眷属は、その瞬間レイナ達を守る様に立ち塞がる黒い彼へ受け止められ…私の狙いは外れたかに見えた…だが。


「掴んだ?――じゃあアナタも道連れね♪」

「ッ!」


――ボコッ!――


その瞬間不自然な程膨張した〝眷属〟が、その身体いっぱいに詰まった魔力を放出すると…その気配に皆の視線が集まる…そして。


「――〝ドクター〟…!」

「ッ心得た!」


――ボンッ!――


1秒の猶予も無く、眷属の肉体は肉と骨の爆弾に早変わりし、血煙と骨の散弾が周囲に飛び散る…。


――ダッ――


その光景を尻目に私は逃走を開始する…どうせ結果は見えているのだ、確認は不要だろう。


「――逃さない!」


そして、逃走する私に対し…唯一その場から動ける〝アーク〟が、私へ風の刃を飛ばす。


――ビュンッ!――


「――〝狙い〟が単純ね」


その刃が私の右腕を斬り飛ばす…確かに威力は凄まじく、その斬れ味は〝人間〟が相手なら成る程驚異的だろう――。


――ガシッ――


飽くまで人間なら…だけど♪


「――相手は〝魔物〟よ?」

「…その身体ッ!」


私の身体から溢れだす不定形の粘液を目に、アークの顔が歪む…漸く気付いた?…。


――ガコッ――


「それじゃあ、失礼するわね?…〝アーク〟♪」


アークの視線を他所に、私は地下の下水道に通じる蓋に手を伸ばし…そのまま隙間から流れ出る様に其処から退散する…その途中。


「――」

「――ッ♪」


レイナと一瞬目が合い…軽く〝合図〟を送り別れると…そうして私は彼等の包囲を抜け出す。


――ズズッ…ズズズズッ――


ただし〝一時的〟に…だが。


「フフッ、アハハハハッ!――いやぁセーフセーフ!…後もう少しで〝捕まってた〟なぁ♪」


自身の身体を人型へ戻しながら…下水道の中を駆けてゆく。


――ピコンッ♪――


その中で、私は私の〝友人〟に経過報告を兼ねて通信する。


「――はぁいベルゼ、此方は首尾通り〝相手戦力〟を誘導したから、ソッチもヨロシク♡」

『でかしたぞディザイア、して…次に奴等は〝地下水道〟を調査し始めるだろう…どうするつもりだ?』


通信相手のベルゼはそう言い、通信外で羽音を響かせながら私へ懸念を問う、しかし其処は抜かりない。


「フフンッ…なぁに、其処は〝織り込み済み〟よ♪…その為の〝仕込み〟…何の為に〝営巣〟を量産したと?…お金さえ積めば、上位聖獣の探知も誤魔化せる我等がテリトリー…その真髄をとくと御覧あれってね♪」

『……抜かるなよ』

「貴方もねバロンさん」


情報共有を済ませ、私はこのまま水路の影に消えてゆく…その行き着く先は…街の中心から暫く進んだその場所――。


――ガコンッ――


「ヨイショッと♪――」


街の掃き溜め、悪人と貧困と無法が幅を利かせる〝スラム〟の只中。


――ポンポンッ――


「それじゃ、後は宜しくね♪」

「……はい」


その中で、〝出入り口〟を監視していた〝操り人形〟に後を任せ…その場を後にする…さぁ、コレで〝仕込み〟は粗方済んだ…。


「後は〝待つだけ〟――」


そう呟き、コレからどうしようかと考え事をしている最中。


――ピロンッ――


ふと、私の耳に…〝着信〟が届き、其処に目を向けると…其処には一通のメッセージ。


「ん?…誰かしら……って、コレは…」


そのメッセージの差出人を確認すると、その予想外の相手に私は思わず目を見開き…その内容に二度驚く。


――――――

【マオ・ディザイア】様へ。


日頃、ケイオス・ドリーム社の手掛けるファンタジーVRMMO、〝Evolve&Monster〟をプレイして頂き有り難う御座います。


唐突ながら、マオ・ディザイア様へ、我々ケイオス・ドリーム社…〝案内人〟からお話が御座いますので、宜しければご同行をお願い致します。


追記:マオ・ディザイア様の手掛ける〝舞台〟に関するお話で御座います。


差出人:案内人13より


――――――


「へぇ……ふぅん…成る程」


そのメッセージは、私個人へ向けられた運営からのメッセージ…その異例の手紙に、私も少し深く考える…まぁ、しかし。


「――〝内容〟は大方見当が付くけど…フフッ、聞いてみるだけならタダだしね♪」


――ピコンッ――


私は、そのメッセージに付随された〝承服〟ボタンを押す…すると、私の身体が途端に軽くなり…パッと、この世界から消失する…そして、気が付けば――。


――カチッ…カチッ…カチッ…――


其処は、無機質な白だけが伸びてゆく〝無の世界〟…テーブルと椅子…そして、見覚えのある時計頭の〝案内人〟が私を出迎えていた。


「――やぁやぁ、ようこそようこそ、〝マオ・ディザイア〟様!…お久しぶりだね」

「――えぇ、久し振りね〝ウォッチャー〟…まぁ、魔法店で貴方のそっくりさんとはよく会ってるけどね」


軽口を交わしながら…私は勧められるまま、椅子に腰掛けると…彼は虚空から紅茶と茶菓子を取り出し…私のティーカップに紅茶を注ぐ。


「おやおや、僕と彼では少々モデリングが違うよ?…特にこの針とか型番とか…」

「私にはただの歯車の集合体にしか見えないわよ…それで?…早速此処に私を呼んだ本題を聞いても良いかしら、ウォッチャー?」


そんなウォッチャーへ私がそう問うと、彼は首を横に振り、私の問いに否を告げる。


「残念ながら、今回の呼び出しは僕じゃないんだよねぇ…個人的なプレイヤーの招待は許可されてないし…」


――〝カチンッ!〟――


彼がそう言ったその瞬間…この空間に浮かぶ時計の針がカチンッと、全てが〝0〟を示し、動きを止める…すると、彼はいつの間にか私達の前に現れた扉を見て、言葉を紡ぐ。


「おや?…噂をすればって奴だね…来たよ、君にお話したいって言うお客さんが」


ウォッチャーのその言葉と共に、扉のノブが回る…そして、緊張の面持ちの中…明け放たれた扉の先から現れたのは――。



「――始めまして、〝マオ・ディザイア〟様…私は、この世界…〝Evolve&Monster〟の開発管理部門…〝運営〟の1人、〝藤崎〟と申します」

「あら…これは…御丁寧に…」


余りにも、このファンタジー世界とは懸け離れた…如何にもザッ〝仕事人〟と言う風体の…成人男性だった。


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