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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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化物が住まう場所は

2本目が…出来ました!…3本目は口惜しいが厳しい、もっと時間があれば…ちくせう。


明日は3本投稿を目指します、勿論…面白い作品を目指すのは前提で…お楽しみに!

――サクサクサクサクッ――


「ンン…〝味〟は…イマイチねぇ」


薄暗がりの〝舞台裏〟…苔むした臭いが鼻に付くその場所で…私は一人、そう言い…〝仕込み〟を続けていた。


――ケプッ――


「〝■■〟――〝■■■〟」


並行し、私は自身の姿を変える…いや、〝変身を試みる〟…その瞬間、私の抑えていた魔力が周囲に充満し、同時に私の肉体がグズグズに溶け、〝変化〟を始める。


「――〝右手〟…左足…右足の〝変身〟は問題無し…此処から、第一関節から胴体への変化を――」


その変化を観測しながら、彼女はそう…言葉を紡ぐ…その目線は自身の皮膚…ボコボコと泡立ち、莫大な魔力を用いて姿を象る己の細胞を見据えていた…そして、程なくして…彼女は〝変身〟を果たす――。


――ドバァッ!――


人、獣とさえ言えない…不完全な肉の異形へと…その結果に彼女は大した驚きもなく…淡々と自身の肉体を再構築し始める。


「――〝六度目の変身〟は失敗…でも、意義ある失敗ね…前回よりも肉体の変身は精度が上がっている…とは言え、このままじゃ〝予定時刻〟の内には間に合わないわね…」


自身の変化した、その腕を見ながら…彼女は少しの間思慮に耽る…しかし、その思考はそう長くは続かず…彼女は結論に達したと、指を鳴らし…代替案を呟くと、己の腕を、元の〝人間の腕〟へと作り変える。


「――だったら、少し此方でアレンジしましょうか…戦術的な話で見れば〝完成品〟がベストだけど…〝質〟で間に合わない分〝量〟で補いましょうか――」


そして、彼女の目は天井を見上げ…赤い瞳は遮られた先の、蒼い月を見る…今宵もまた〝血塗れの惨劇〟は幕を上げるだろう…きっと、多くの冒険者達が街の中を徘徊する筈だ。


――コポッ…ヌチャァッ――


「丁度…〝試してみたい事〟も、ある訳だし♪」


〝悪い実験〟を試すには絶好の機会…と言う訳だ。



○●○●○●


――ザッ…ザッ…ザッ…――


(此処も…)


――ザッザッ…ザリッ…――


(此処も…)


――コッ…コッ…コッ…――


(此処にも…〝有った〟)


街の中を練り歩く、一人の少女と一組の冒険者と聖獣…近頃よく現れ、人と共に魔獣を討滅する聖獣が珍しいのか…その視線は彼女等三人組を捉え、少なくないざわめきを齎していた…とは言え、今の三人組…特に、彼女(レイナ)にとってはそんな人の視線など、毛程虫程にも価値は無かったが。


「――次に行きましょう」

「うぇ〜?…もう良いのかよ?」

「まだ調査して5分も経ってねぇぜ?…本当に良いのか?」


少女は街道を少し逸れた路地裏の…印を刻まれた其処から移動しながら連れの〝護衛〟へそう言う…そんな彼女に一人の冒険者と、1匹の犬は訝しげに彼女を見据える。


「必要な物は確認し、他に目ぼしい物は有りませんので…今は事件現場の位置と詳細を調べたいんです」


そんな二人へ、彼女は心底興味が無さそうな視線で一瞥すると…そのまま何も言わず黙々と進む…その、何処か壁を隔てた彼女の態度に、1人と1匹は顔を見合わせて…肩を竦める。


それ以降、三人組は何を言うこと無くレイナを筆頭に事件現場を巡り…日が落ちる間際…夕暮れが朱を街に落とす頃には全ての事件現場を回り終え…少女は、黙考と共に脳内に〝地図〟を作り上げる。


(事件現場の発生位置は、何処もランダム…東西南北にバラけ、方角は敵のアジトを特定する役には立たない)


ソレは、凡そ見当がついていた事実だ…だが、文面だけでなく実際にその目で確認し…〝収穫〟は得た。


「……〝事件現場〟の付近には、必ず〝排水溝〟が有りました」

「「ッ!…」」

「――距離の遠い近いは有れど、必ず10メートルの範囲内には〝水路〟に通じる排水溝が設置されていました」


彼女は、背後で己を見る〝護衛兼監視〟の二人組へそう言いながら…その赤い視線を虚空に落とす。


「――この街の排水システムは、魔道具や新たな整備技術の台頭によって、大幅な効率化が測られていると聞いています…それに伴い、管理する水路の区域は縮小され…定期的なメンテナンスを除けば、殆ど無人だとか」


そして、そう言う…まるで二人へと向けて紡がれたその言葉に、二人は漸く彼女の言わんとする事の意味を理解し…己の直下へと目を向ける。


「東西南北に、敵のアジトが無いと言うなら…だったら、〝下〟はどうでしょう…まだ、調査されていない〝地下〟は…?」


彼らの目には街道の石畳が有った…しかし、彼女より齎された天啓は、愚鈍な凡人の脳に〝透き通る眼〟を与え…二人は、石畳に隠された〝空間〟を幻視する。


「――可能性はッ」

「〝極めて高い〟…!」


その結論に達した二人は彼女へと視線を向ける…そんな二人を出迎えたのは、やはり先程と変わらない冷たい赤…しかし、そんな視線の冷たさなど、彼等の身体を熱く巡る興奮の熱暴には意味を成さず…二人は彼女を連れて、夕暮れの街並みを早足に駆け…この〝仮説〟を己等のボスに伝えようとする。


其処(その足)にあるのは、イタチごっこの終わりを希望する〝期待〟か…それとも、己等がこの仮説を提示し、皆を救済したと言う未来への薄汚れた〝欲望〟かは…この際、重要では無い…。


兎も角事実として、彼等はその仮説を胸に…冒険者ギルドへと向かっていた…その刹那。


――コツッ…コツッ…コツッ…――


彼等は、夕焼けに眩く照らされた〝赤い道〟の中から浮かび上がる〝影〟に、思わず歩を止める…。


「……おい、〝アレ〟…」

「…構えろよ〝聖獣(アルフレッド)〟」


その姿は、黒い外套で全身を包み…過剰な程自身の素顔を隠匿する〝隠者〟の装い…その、見るからに怪しい〝人影〟は…対岸に警戒心を露わにする〝三人組〟の視線を受けると、ピタリと足を止め…そしてその瞬間。


「〝あぁ、困る…困るなぁ聖獣…彼方の獣(プレイヤー)と冒険者〟――」


――ヒュンッ!――


その人影は、男とも女とも撮れない不気味な声で彼等へそう言うと…その刹那十数メートルは離れたその距離から一瞬で姿を消し…。


「このまま此方の動きがバレるのは、実に困る…♪」


その瞬間…レイナの目の前に現れ…真っ暗な外套から不気味な向き出した肉と骨の腕を少女目掛けて古い…その命を脅かそうとしていた。

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