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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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抗えない誅罰

どうも皆様、泥陀羅の没地で御座います。


本日1本目…今日は数日ぶりの2本目投稿の予定です、お楽しみに!…。

――ボタボタッ!――


「グゥッ…見ただけで目を潰されるか…」

(〝対看破〟系の能力か、それとも隔絶した力の差が有ればこその権能?)


潰れた目を回復した片端から魔力を吸い上げて癒しながら…〝化物(異形の黒馬)〟と…〝絶望(豊穣の代行者)〟の相対を一瞥する。


「兎も角、今の私はこの状況では何も出来ないわね…全く」


〝レイドボス〟…それが何かをわからないほど、世俗に疎くはない。


1個体の強力な敵を徒党を組んだ数と知略を用いて討伐する〝戦いの形式〟…ソレをレイドと言う。


「そのレイドで此方は〝1人〟…〝死にかけ〟の〝手札無し〟…何て、レイドとは名ばかりの虐殺じゃないの」

(そもそも、何故急に〝レイド〟が始まった?…何かイベントのトリガーを引いたとして――)


……もしそうだとして、その切っ掛けになる〝物〟とすれば――。


――カチカチカチッ――


「――お前か」


思考と共に、気付いてくれと言わんばかりにアピールする〝ソレ〟を見て、言葉を吐く。


〝呪われたコンパス〟…最早ソレを単なる増幅器とは言うまい…それほどに、このコンパスは厄介な性質を孕んでいると理解した。


「――全く、たかが一所有物に過ぎない分際で、随分と舐めた真似をしてくれるわねぇ?」


ギチギチと、修復しつつ在る肉体に力を込めながら…コンパスにヒビを入れる。


「〝増幅器〟の性質は飽くまでも所有者に還元される物だと思っていた…けれど、成る程…〝貴方の目的〟としても、この性質を利用していた訳」


カチカチカチと、針をグルグルと回しながら1人でに揺れるソレ…まるで白を切るようなその動きに私は怒りとソレへの詰めに、言葉を紡ぐ。


「――〝肉体の略奪〟…〝器の乗っ取り〟とでも言えば良いかしらね?…〝意思有る道具〟さん?」

『ッ!?』


ソレは推測を幾らか込めた発言では有ったものの、私の言葉にソレは分かりやすく反応し、私の仮説を裏付ける。


「――まさか、見てないとでも思った?…貴方あの時、〝アレ〟を唆して私を殺そうとしたでしょう?…〝所有者の鞍替え〟と貴方を取り込ませようとする〝誘導〟…ソレは〝アナタの自己意識〟が存在する事の証明じゃないかしら?」


思い出すのはあの時…私が〝黒馬〟にトドメを刺されようとしたその時…地面に転がるコンパスから、アレに伸びた〝微かな魔力の流れ〟が、脳に新しい。


「――まぁ、ソレは良いとして…重要なのは〝試練〟の形式をとって〝フィールドボスを強化した〟事…この強化度合いが予想外だったのかどうなのか、結果としてこの状況を修整するための〝代行者〟が此処に来た…コレは貴方にとっても予想外だった…だから今、こうして私の元にノコノコと戻って来た訳ね」


私の言葉にコンパスは答えない、そも答える口がないのだから当然だけど…兎も角、仮にそうだというのならタダで返しはしない。


「――貴方への処遇は。〝この戦い(虐殺)の後〟にしましょう」


とは言え、今この場で問い詰めるには時間が足りない…そして、戦場の片隅でコンパスを握りしめていた私とは対岸に…今まさに化物と化物の大怪獣バトルが幕を開け――。



――パキンッ―― 


る事は無かった。


――ズドドドドドドドッ!――


「ぇ?…」


代行者が一歩前へ出た…ソレを認識したその瞬間、黒馬の身体が弾け飛ぶ。


――べシャッ!――


何をしたのかまるで分からない…ただ弾けと飛んだ黒馬の身体が地面に散らばり、最終的に地面には樹木が若芽から伸び続け、やがて1本の大樹となる。


「何をされた――」


その光景に理解が追い付かず、私がそう口にした…その瞬間。


「ガフッ…グッ…ァッ!?」


――ゴポッ――


私の心臓から嫌な音が響き…身体全体が異常な感覚で満たされたその時。


(あぁ、死ぬわね)


――プチッ――


私は内側から溢れ出る力を抑えられず…その瞬間、身に余る膨大な力によって、破裂した…その後には。



――ヒュオォォォッ――


血溜まりを啜り、若々しく咲き誇る樹木が聳え立ち…木の葉を風に揺らしていた…。



●○●○●○


「……」


静寂に満ちた空間に、〝ソレ〟は立っていた…。


――パキパキパキッ――


〝役目〟を終えたソレは…ただ、平穏を取り戻したこの森の中で眠り…心の奥底で、二度と己の役目が来ないことを願いながら、消失を待つ…そんな彼はふと…自らへ注がれた視線に〝目〟を向ける。


「「「「……」」」」


其処には一匹の鳥が、一匹の兎が、虫が、栗鼠が猪が…ただ沈黙と共にソレを見据え、立ち尽くす。


『彼方ノ獣』『混沌ノ先駆ケ』『不干ノ観測者』『是ハ汝ノ差金カ』


そんな獣達へ、大地の怒りたるソレはそう問い掛け…その獣達の瞳の奥にある〝ソレ〟へ問う。


『〝―――♪〟』


その問いへの返答は、周囲には響かない…しかし確かに〝ソレ〟へと響いたのか、代行者は暫しの沈黙の後、ソレを見据える。


『ナラバ汝ニ咎ハ無イ』『我等ハ大地ヲ護ル者』『在ルベキ世界ヲ保ツ者』『彼方ノ獣』『ソノ異端児ヨ』『汝ガ世ニ害ヲ成スナラバ』『我等ノ刃ハ、異端ノ獣ニ裁キヲ与エヨウ』


そして、そう言うと…自身の肉体を朽ちさせながらその場から消えてゆく…そして。


『努々、忘レルナ』


ソウ告ゲルト、その場から完全に姿を消し…其処には、何もない…ごく普通の平原が戻って行った…。


そして、その場に居た獣達は去っていく…その場に、2本の樹木だけを残して…その樹木が何れ新たな森の始まりと成り…獣達の楽園となるのは、また別の話だろう。





場所は変わって、其処は第二エリア〝鬼潜む林道〟…川辺の洞窟。



――ガコンッ!――


「で?――忘れたと思った?」


――ガタガタガタッ!――


目覚めたその瞬間、美女がインベントリに逃げ込んだ〝ソレ〟を引っ張り出し、触手でギリギリと掴み上げながらそう言う。


「――さぁ、楽しい裁判の時間を始めましょうか♡」


そして、ニッコリと笑いながら…その笑顔の奥に怒りを滲ませながらそう言い、ガタガタと震えるコンパスを更に締め上げる…その光景に。


「――あの〜…一体どういう状況ですか?」


つい先程帰って来た魔女の少女が困惑と呆れを込めて、そう呟くのだった。

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