絶望的な力の差
本日の投稿…何だってこんなに投稿が遅くなったんだあーん?…とお思いの読者様も居るでしょう、すみません予定外の仕事がですね。
ま、毎日投稿のノルマは達成してるのでセーフ!
――ゴゴゴゴゴゴゴッ――
Q対戦相手がどう見ても格上です、どうやって倒せばいいですか?
「A頑張りましょう!――クソったれェ!!!」
怒りと魔力をふんだんに込めて、持っていた槍を投擲する。
――ズドォォンッ――
その槍は着弾の衝撃で周囲の土を巻き上げ…ほんの一瞬標的の姿を覆い隠す。
「着弾確認ッダメージは――」
着弾から数秒して、砂塵が煙の様に消え去り…私は目の前の〝脅威〟へ叩き込んだ攻撃の、その結果を確認する。
――ヌゥゥッ――
その結果は…保有する魔力の8割と量産品の槍1本に対して、多少血が流れた程度の損傷しか与えられなかった。
「――ダメージは〝軽微〟…今出せる最大火力で1割も削れてないのね」
(察するに放浪型のボスの強化個体?…ボス個体も変異体にしてくるなんて冗談きついわよ全く!)
心の中で悪態を吐きながら、私は動き出した相手の行動…その一挙手一投足に意識を払う。
――ジッ――
そして此方の存在に気が付いた〝ソレ〟が私の姿を視界に収め…動き出す……。
――ズァァッ!――
その動きを見た瞬間…私の脳裏に死の影が過ぎり…一目散にその場所から全力の退避を開始する。
「――」
脇目も振らずに全速力で駆け抜け…一息付きかけたその瞬間。
――ドォッ――
離から鈍い音が響き渡ると同時に、大地を気色の悪い黒い魔力が広がる…ソレが〝奴の攻撃範囲〟だと理解したまさにその瞬間――。
――ドォォッ――
森一帯を吹き飛ばす様に…大地から出鱈目な数の黒い刃が飛び出した。
――ヒュヒュヒュヒュンッ――
「つぅ!?――この、出鱈目野郎めッ!」
――ザザッ!――
その一部の攻撃を掠めながらも躱し、敵の魔力が施されていない大地に足を下ろしながら、私はソレを睨み付ける。
「そんな面白くてカッコいい技持ってるなんてずるいッ!!!(どんな攻撃方法よ、この化物馬!)」
本音を口から、建前を心で吐き捨てながら、視界端にチラチラと映り込む〝ソレ〟に、私は視線を寄せる。
――――――
【状態異常】
・〈呪毒(中)〉(右腕:65%→68%)
効果消失:5分
――――――
――――――
【マオ・ディザイア】
HP:7980/8200
↓
HP:7930/8200
――――――
「何気に始めて食らったわね、〝黒い泥〟…そして案の定毒の類だったわけね」
(――で、その効果はスリップダメージ…しかも秒間50ダメージか…洒落になってないわね)
1分で3000…それが5分持続するとなれば普通に即死だ。
「再生を使おうにも魔力が残り少ない上、回復より消費が大きいからジリ貧…今後は毒対策も必須ね」
私はそう言いながら、自らの右腕をジワリジワリと駆け巡ってゆく〝黒い泥〟を睨み…左手を刃に変えて、己の右腕を斬り落とす。
――ドサッ――
「全く……ダメージは無視できないけど、放置するよりはまだましね」
――――――
【状態異常】
・出血(中)(右腕欠損)
――――――
【マオ・ディザイア】
HP:7530/8200
――――――
――グチュグチュッ…――
「お陰で魔力が更に不味いことになったじゃない…でもまぁ、〝黒い泥〟に触れるのは不味いって再確認は出来たし、良しとしましょうか」
――パキパキッ、パキ――
私は音を立てて砕け、塵に変わって行くその棘の領域を見据えながらそう言い…その奥にいる〝元凶〟と目を合わせる。
「さぁてさて…問題の〝アレ〟…どう片付けましょうか…」
○●○●○●
「ブルルゥッ…!」
ソレは嘶きと共に、自身の身体に満ちる〝エネルギー〟に高揚を覚えていた。
己がかつて全盛であった頃を遥かに凌駕する肉体の強靭さをその身に感じ、全身から発する力の流動が全能感で脳を満たす。
この力を以てすれば、己は遥かな高みへ駆け上ることさえ可能だろうとさえ感じてしまう。
――ジッ――
そんな己へ一つの視線が届く…その視線を追ってみれば、其処には先程仕留めたと思っていた〝虫〟の姿が有った。
「ブルゥ…」
生きていたのか…先の一撃で貫き殺したつもりだったのだが…そう思いながら、己は再び…生意気にも此方へ敵意と戦意を向ける〝虫〟へ力を行使する。
「――〝ブルゥ〟」
――ゴッ!――
地面を小突き…魔力を飛ばすその魔力は地面へと打ち込まれ…深く深く潜っていくと…それから此方を見据える〝虫〟を目掛けて、急上昇し…地面から黒い杭を生やす。
――ドゴォンッ――
その一撃は意識外から放たれたはずだったが…その一撃を虫は辛うじて躱し…己へ矮小な〝魔術〟を飛ばす。
――ゴッ…ゴッ!――
その一撃一撃は、あまりにも弱く…あまりにも、無意味だった…その筈なのだが、そんな矮小な〝虫〟に…己は〝怒り〟以外の何かを感じる…いや、正確には〝虫〟では無く…〝虫の中に有るモノ〟だ。
「――ブルゥ…」
改めて、ソレの姿を捉える…人の形をしたソレ、矮小な猿の真似事をする不定形の獣…ソレがコレの総てだが…〝ソレ〟からは、確かに〝己の力〟と似た、何かが感じ取れる…。
「……ヒヒィンッ」
〝少し〟…〝調べてみるか〟…誰に言う言葉でも無く、己はそう呟き…奴の稚拙な攻撃を噛み砕くのだった。
●○●○●○
「2割3割程度の魔力じゃ、彼奴に攻撃する事すら出来無いわね」
MPが回復し、相手の攻撃を躱したその合間に攻撃を差し込む。
「〝ヒィィンッ〟」
「ッ!」
私が放ったその一撃は、そのどれもが相手の皮膚を貫くに値せず無残に砕け散る…対照に、私へ攻撃を振るう〝ソレ〟の攻撃は、時を経る毎に強く、多彩になってゆく。
「――うぅん、〝格の違い〟って奴を感じるわねぇヒシヒシと…ほんと、〝コイツ〟め、余計なことをしてくれる」
明らかに段階を間違え過ぎである…もう少し順当な格差の敵を相手に選んで欲しい、無差別級がデフォルトの相撲じゃないんだから。
「こんなのはっけよいどころか塩まき塩で御陀仏出来るわ全く…文句言ってても仕方ないけど」
(――文句は兎も角、推定ボスを素体にしただけあって、そこらの雑魚とは動き方が違うわね)
彼奴…明らかに〝確かめてる〟…私の力量を値踏みする様に、攻撃の強度を調整して来てる感じね。
「どういう理由でかは分からないけれど…この時間が私の最大のチャンスには変わりないわね」
仮に、此方の攻撃手段が確立するより先に、相手の目的が達成されればアウト、そもそも相手の今の行動が気紛れで、私を今直ぐ殺そうと思われたらアウト。
圧倒的にこちらが不利な戦局で…逃げることは出来ない…フフフッ。
「――中々〝楽しい無理難題〟ね♪」
私はそう言いながら、飛んでくる〝黒い泥の塊〟を躱しながら…口端に笑みを携えて、化物馬に次の試みを行使した。




