理不尽な無理難題
2本目完成…3本目は未定。
今章のメイン舞台にまだ主人公が居ないってホント?
――カチカチカチッ――
実態は兎も角、このコンパスが有意義な存在である事に変わりは無い。
――ガサッ――
「ッギュィッ!?」
「見っけ…!」
――グチャッ!――
《レベルが上がりました!》
「――〝付与〟を使って拳に魔力を纏わせれば、黒い泥に触れる事はなくなる…良い発見だ」
かれこれ数十を超える〝変異体〟を狩り…次の進化まで秒読みと言った所まで、レベルが上がった。
――――――
【マオ・ディザイア】
【原初の魔〈人間:槍使い〉】LV28/40
HP:8200/8200 (8000/8000)
MP:8800/8800
満腹:200%(20%)
筋力:C+(C−)
速力:C+(C−)
物耐:C−(D)
魔耐:D+
知力:D+
信仰:F
器用:D
幸運:F+
【能力】
〈狩人の軽業〉LV4/10、〈健啖家〉LV5/10、〈生命の炉心〉LV4/10、〈変形〉LV5/10、〈生物変形〉LV4/10、〈無属性魔術〉LV5/10、〈看破〉LV7/10、〈契約〉LV1/10
【称号】
〈野蛮な獣〉、〈貪食〉、〈邪道の獣〉
――――――
――――――
〈邪道の獣〉 レア度☆☆★★★
此の世の理に背いた獣に与えられる称号。
効果1:同じ称号を持たない全ての魔物にダメージ上昇&獲得経験値量アップ。
効果2:全種族に〈ヘイト(大)〉を付与する。
――――――
「――とは言え、流石に〝メリット〟の方が大き過ぎるわね…幾ら敵が強化されるとは言っても、決して倒せないレベルじゃない」
(コレがマトモな経緯で作られた物じゃないのは、コレが齎した経緯から理解してる)
異常な変異をした魔物、進化に干渉してきた〝理外の怪物〟…そんな物を見たのだからコレがまだ何か〝厄ネタ〟を隠し持っていると見るのは間違い無いだろう。
「――ま、それはオイオイかしらね」
兎に角、今のコレが私にとって〝有意義な道具〟である事に変わりは無い…だったらコレが不利益を振りまくまでは利用するとしよう。
――カチカチカチッ――
そうこうと言っている内に、再び〝ソレ〟が〝獲物を指し示す〟…ソレは此処から南西…この人里からも、拠点からも離れている小さな、極小さな森の中。
「――少し遠いわね…それに、何時も地面を走るだけじゃ風情が無いし――」
――グジュッ…ギチギチギチッ――
「ん…良し、偶には空を移動しましょうか♪」
ソレを確認すると、私は自らを黒い鴉の姿に変えて飛び立ち…コンパスが指し示す方角を一直線に突き進むのだった。
○●○●○●
――ズシンッ……ズシンッ……――
ソレは、長い永い時を生きた〝古い獣〟であった。
「……」
その蹄は色褪せながらも未だその堅固さを大地に刻み…その肉体は並み居る〝戦駆馬〟を遥かに凌駕した巨躯とその巨躯を支えて余りある筋肉を搭載し、その身体の至る所に刻まれた傷跡と、その鋭く容赦の無い眼光…凡そ草を食む温厚な馬とは思えない程尖り、肉を引き裂く事に特化した牙が…ソレをただの〝戦駆馬〟と大きく隔てていた。
――ブルゥ…ブルルルゥッ――
人は知る由もない事だが、彼は同種達にとって〝災い〟そのものの様に忌み嫌われていた。
卓越した巨躯と筋肉から繰り出される脚撃は、一撃で同種の身体を破裂させ…目に付く物全てを破壊し尽くす程の凶暴性が〝彼〟を孤独の〝強者〟へと押し上げていた。
戦に戦を重ね、我欲を満たす為だけに暴れ狂う暴虐の怪物…そんな生活を、ソレは今日に至るまで続けていた。
「……」
しかし、そんな生きた暴虐とは言えども生命の規格に収まっている以上は老いには勝てず…ソレは日増しに感じる自らの衰えに、確かな恐怖を感じ続けていた。
老い枯れていく己の姿が醜く、全盛を過ぎ去り転げ落ちていくだけの生命の余燼に強い焦りと怒りを覚え、しかしソレを止める事が出来ない絶望…。
その絶望が、孤独な戦馬を埋め尽くし…ソレは〝彷徨う獣〟と化したのだった。
求めるは力と永劫に燃え続ける生命…その為ならば、ソレは自らの全てを差し出してもいいと…そう、考えていた。
――ゾワッ――
そして、そんな〝孤独の獣〟の心の隙間に…〝理外の病魔〟の魔の手が差し込まれたのだった…。
――カチッ…――
その音に、〝ソレ〟は不意に視線を彷徨わせる…静かな、生命の気配一つしないこの空間に響き渡る〝何かの音〟に。
――カチッ…――
迫り来るその音に彷徨わせる視線はふと…己をジッと見詰める〝黒い影〟を見る。
――力ガホシイカ?――
その影は感情の無い表情で、ただ赤々と血のように染まった眼をソレに注ぎながらそう問い掛ける。
――永遠ノ生命ヲ与エテヤロウ――
ソレはまるでソレの持つ全てを見透かした様にそう言いながら、一歩…また一歩と近付いていく。
――サァ、我ガ力ヲ受ケ入レロ――
「ッブルゥ…!」
その異形に、ソレは最初こそ警戒心を抱いていた…怪しく響くその言葉に…ソレの凶暴な本能が警鐘を鳴らしていた…しかし。
――我ヲ…喰ラエ――
その瞬間…ソレが己の腹から取り出した〝ドス黒い輝く結晶〟を見た瞬間…孤独の戦馬は、抗い難い〝渇望〟に襲われる。
本能が直感的に理解する…〝ソレ〟が…己の求める〝力の源〟であると。
自らの衰えを取り除く〝永劫の生命〟で有ると。
ソレを理解したソレは、怪しいと脳で分かっていても本能には抗えず…ゆっくり、ゆっくりと歩を進める…理性の最後の抵抗を、いとも容易く振り解きながら…。
――ズシンッ……ズシンッ……――
ソレの目に映る黒い影は、その姿を前にして顔色一つも変えず…ただ静かに、ソレが歩み寄るのを待つ…じわり、じわりと近付くソレの目には、最早黒い影の塊をした〝ナニカ〟を移すこと無く…ただ目の前で燦然と輝く〝黒い結晶〟に、その目を奪われていた。
『ソレを喰らえば取り返しのつかない事に成る』
頭の中では分かっているその言葉が、何度も〝ソレ〟の脳内をリフレインする…しかし、それでも戦馬は…ただ力だけを持った災害は、その誘惑に抗う事が出来ず――。
――バクンッ――
〝理外の異形〟…その〝悪意〟を…呑み込んだ。
●○●○●○
――カチカチカチ…カチッ…――
「――うん、確かに〝強い相手〟を求めはしたね」
空からコンパスの示す先へと向かった私は…そう言いながら、開けた湖の美しいその場所に降り立つ。
「それでも…流石にコレは〝やり過ぎ〟じゃないかなぁ!?」
そして、鴉の姿から人型に戻りながら…己の手に握られたコンパスに力を込めながらそう抗議の言葉を投げかけた。
――ジッ――
何故なら其処には――。
《〈看破〉のレベルが上がりました!》
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【■■■馬】LV■/50
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「馬鹿、馬鹿ッ、バァァッカッ!――素体が馬だなんて見て分かるわボケェッ!?」
私のキャラが崩壊する程…あまりにもぶっ飛んだ〝化物〟が私に背を向けていたのだから。




