異質は討たれた…しかし
どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地に御座います。
2本目を…ソレ以外に何も書けないレベルで眠ぃ…。
――ドッ!――
振り下ろした槍が、狼の眼を貫き抉る…刹那。
「グルオォォォンッ!?!?」
狼の悲鳴が夜の草原に響き渡る…確かな肉を突き、抉る感触…命を奪う感覚に〝ダメージ〟を実感する…そんな時。
――ドプッ――
「ッ!」
不意に、その傷口から〝抵抗〟を…私の武器を押し戻そうとする圧力を感じ視線を向ける…其処には…傷口から腐った血にも良く似たドス黒く…しかし、血の様な〝命の名残り〟を感じさせる様な輝きを持たない〝泥〟の様な物が溢れ出していた。
「何、コレ――」
「――〝グルルルァァッ!!!〟」
その泥に気を取られた瞬間、私は狼を模した〝ソレ〟に行動する事を許す…ソレが〝意思ある咆哮〟を上げた瞬間、その身体から溢れ出していた〝泥〟がブルブルと震え…それから、何かに突き動かされる様に私目掛けて加速した。
――ヒュンッ――
「――ッぶない…!」
その速度は素早く、その泥に意識を割いていなければ避ける事は出来なかっただろう。
――ブゥンッ――
「ッ――成る程」
寸前で躱した私に対して、その泥は不自然に軌道を歪めて私を追尾する…その異様な程の〝誘導性〟に…私はソレの〝意図〟を一つ理解する。
「〝接触〟は不味そうね」
(〝毒系統〟のデバフ攻撃と見た――)
「――なら、〝この身体〟だと避け辛いわね」
――ドスドスッ――
避けたと同時に身を捻り…両手に握った〝双槍〟を奴の身体にねじ込むと…背後から迫る〝泥〟に対応する。
「――〝変形〟――〝兎〟」
ソレが私に触れようとしたその瞬間…私の身体は崩れ落ち、その泥を躱す…すると再び〝ソレ〟が方向を変えて私を付け狙おうとする…けれど。
――タッタッタッタッ!――
ソレが方向を転換しきる頃には、私は既に脱兎の如くに草原を駆け抜け、奴射程範囲からの脱出を試みていた。
「〝グルァ〟――〝ァァァァアアアアッ!〟」
背後で狼モドキが吠える…最早その叫び声は獣のそれではなく、〝人間〟の様な悍ましく甲高く、不気味な叫び声だった。
「――アッハッハッ、化けの皮が剥がれたって感じね?…と言ってもまだソレの正体が何なのかは分かってないんだけど」
(飽くまでも〝狼〟はガワだけで、本体はあの〝泥っぽい何か〟って感じかしら?)
――タンッ、タタンッ、ヒュッ――
「〝レイナ〟――私を気にせず〝やっちゃって〟」
叫び声と共により一層慌ただしく暴れ狂う〝ソレ〟を避けながら…私はレイナに合図を送る…ソレにレイナは頷くと、その魔力を杖に込め始める。
「――最大火力で焼き払います」
――ドォッ――
その瞬間、杖の周囲に魔力が集い…〝赤い火花〟が彼女を囲んだ。
「〝赤熱する炎よ、荒ぶる破壊者よ〟――〝汝が性を解き放つ事を赦そう〟」
赤い火花は彼女の魔力を食み…轟々と燃え盛る炎柱に変貌し…彼女を包む。
「〝吹き荒ぶ風よ、彷徨う運び手よ〟――〝汝の役割を果たす事を命じる〟」
そして、炎を覆う様に現れた風が彼女の言葉に炎を乗せて〝集約〟を始める。
(〝複合魔術〟…〝炎嵐〟と同じ技術…だけど)
「――明らかに〝レベルが違う〟わね」
アレは飽くまでも〝異なる属性の魔術〟が並び合い、一つ現象を生み出していた…けれど、今回の〝魔術〟はそれよりも遥かに〝高度〟で…恐ろしく緻密な魔術の制御がなされていた。
「※※※※※※ッ…!」
その魔力の恐ろしい気配に、ソレも勘付いたのだろう…奴は私への攻撃を止め、レイナを止めようと駆け出し始める…。
――ザザッ――
「〝変形〟――〝リセット〟――〝魔弾〟」
――ドドドドドッ――
ソレを見た瞬間…私は自身の身体を再度崩壊させながら振り向き…奴目掛けて魔術の弾丸をコレでもかと撃ち込む。
「――ギィィィッ!?!?」
「〝動く〟って事は動かないとレイナを射程に入れられないって事でしょう?…そう簡単に動かせないわよ」
魔弾の雨は確かに奴をその場から押し留める…その間にもレイナの詠唱は着実に進み…遂に〝詠唱〟は完成する。
「――〝炎と風は混ざり合い、今新たに生まれ変わらん〟――〝蒼き灰滅の子よ、今産声を上げよ〟――〝蒼炎球〟」
その瞬間…渦巻く赤がその一声で〝蒼〟に変わる…渦巻く炎はより濃く熱くなり…地獄の炎が如きその蒼炎は彼女の言の葉によって解き放たれる。
「――ッァァ!」
放たれた炎に、漸くソレは危機を悟り逃げ出そうとする…けれど、そんな其の場凌ぎの逃走を許すほど、私は甘く無い。
――ガシッ!――
「グゥァッ!?」
「――逃げるなら見切りは早い方が良いわよ間抜けさん♪」
私の触手が奴の身体に突き刺さっていた私の得物に触れる。
「――〝術式〟に見合わない〝魔力〟を術式に注ぎ込むと、〝魔力〟はエネルギーを消費し切れず暴走する…形式は違っても〝魔術〟である以上〝付与〟だって例外じゃない」
私の魔力によって目覚めた〝短槍〟がガタガタと震えながら、その魔力を暴れさせる…元が質の良いとは言えない武器だった事に加え、雑な術式だった事も影響し、軽く魔力を流し込むだけでソレはもう小型の〝爆弾〟に様変わりする。
「――小規模とは言っても、体内で爆発して平気な訳無いわよねぇ?」
――ボンッ!――
「※※※〜〜〜ッ!?!?!?」
爆弾と化した短槍は、その瞬間私の言葉と同時に爆発し、奴の足を軽く吹き飛ばす…その苦悶と恐怖にソレは地面へ倒れ込み…殺意と怒りの孕んだ視線で私を射抜く…ただし、その瞬間。
――ゴッ――
メラメラと燃え盛りながら奴の目の前に迫る〝蒼炎〟が…奴の視界全てを覆い隠し――。
――ゴアァッ!!!――
奴の肉体、周辺の大地…私の身体さえも一部巻き込んで強く吹き荒れた…。
――ピロンッ♪――
《〝悪夢の猟犬〟を倒しました!》
《レベルが上がりました!》
《〈生物変形〉のレベルが上がりました、〈戦技:脚部混成〉を獲得しました!》
《〈変形〉のレベルが上がりました、〈戦技':意志構築〉を獲得しました!》
『』
《―最大レベルに到達しました、〝昇華〟を実行しますか?》
ソレが完全に消し去りもしない内にまたけたたましいアナウンスの音が鳴り響き…私は、辟易としながらもそのアナウンスに対して肯定の意を告げる…その瞬間――。
――スゥッ――
強い何かに引っ張られるようにして、私はその意識を暗闇へと沈めてゆく…そして、次に目覚めた時…私は、何時もと変わらない…〝白と螺旋〟の空間に、立ち竦んでいた。




