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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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破滅誘う呪詛の針

どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地です。

本日の1本目をば…今日は2本投稿予定で御座います…23時前後には2本目を投稿出来るよう頑張ります。

――カチッ…カチッ…カチッ…――


針が音を立てて、微細に指し示す方角を変える…。


「――〝面白い〟わね…私達はこの針が正面に来た後、一度だって道をズレていない…だと言うのに、この針は指し示す方位を変えている…コレが何を意味すると思う?」


その動きに、私は暇潰しがてらにレイナへ問いを投げ掛ける…すると、レイナは少し沈黙し…それから直ぐに答えを紡ぐ。


「――〝対象が動いている〟…と言うことですか?」

「――〝恐らくは〟…そうだね、まだ実物を見るまでは確定出来無い…だけど、もし仮にこの先に〝私が求める物〟が有るなら…きっと、推測を事実に昇華する一助に成ると思うよ」


そうこうと言っている内に…私達は方角の先から凄まじい気配を感じ取り…其々得物を手に握る。


「――槍は買い替えなかったんですか?」

「今の所攻撃手段には困ってないし、本気の時は素手と触手の方が火力は出せるからね…後単純に在庫が多いから雑に使い潰せるし中々便利よ?」


軽口を叩きながら私達は慎重に歩を進める…そして、その先に一歩踏み出した時…私達は小さな獣道を抜け――。


――サァァァァッ!――


夜風の涼しい月光の草原に一歩踏み出した…けれど、そんな自然の生み出す情景に目をくれるより先に…私達はソレに目を向ける…。


――グルルルルルルルッ――


其処には、草原にポツリと浮かび上がる岩肌から…此方の気配に気付き、ジッと睨み付ける…身体中から血の匂いを発する〝黒く暗いオーラを纏う狼〟が待ち構えていた。


●○●○●○


――バチィンッ――


「アレは…〝影色狼〟…ですか?」


私の看破が弾かれる…ソレはつまり、目の前の〝ソレ〟が、私よりも強い〝強敵〟で有るという事実を示していた。


「その上位種の〝悪夢の猟犬(ナイトメア・ハウンド)〟だよ…尤も、この個体はソレとは明確に違う状態だけどね」


そんなソレを見てそう独り言を呟いた私へ…マオさんはそう答え、私に口頭で状況を説明する。


「アレの〝素体〟は間違い無く〝悪夢の猟犬〟なんだけど…残念な事に、私の看破では奴のステータスは疎か、〝真名〟すら貫けなかった…分かるのは、〝アレ〟が〝悪夢の猟犬〟をベースにした〝謎の魔物〟で有る事と――」


――「〝LV42〟…私達が求める〝レベル50帯〟に踏み込んだ強敵であると言うことだけだね」――


事もなげにそう言うとマオさんの言葉に、私は反復する様に言葉を呟く。


「レベル50帯…明らかに…格上ですね」

「そう…だからって、過度に怯える必要は無いわよレイナ?」


私の言葉に、マオさんは恐怖の混在を確認したのか…その目は月光の光を浴びて爛々と赤く輝き、私を視界に捉える。


「何時も通りの〝戦い方〟を、相手に押し付けちゃえばいい…戦いでも何でも…〝勝負事〟は結局〝ノリが良い方〟が勝つんだから」


そう言いジッと私を捉えるその視線は…何故だか私には酷く眩しく見えて、思わず目を背けたくなる…ただ、その瞬間。


――ゾワッ!――


凄まじい殺気の孕んだ視線が私を現実に引き戻し…その瞬間、私の目の前に〝黒い化物〟が肉薄する。


「〝魔力壁〟…!」


ソレを見た瞬間、咄嗟に防壁を展開すると振るわれた爪が虚空に出来た半透明の壁に阻まれ、一瞬動きを止める…ソレを見た瞬間。


「あ、駄目ねコレ」


マオさんはそう言い、私を掴んでその場から飛び退く…その瞬間。


――バリンッ!――


そんな嫌な音を立てて…私の構築した魔力壁は、障子紙を破るが如く、容易く突破された。


○●○●○●


――ズガガガガッ!――


地面を削りながら…私は、今この一瞬に起きた出来事を振り返る。


(〝単純な膂力で魔力壁〟が砕かれた…詠唱無しの構築とは言え純魔装備の魔術性能底上げした防壁が…)

「大丈夫ねレイナ…うん、怪我はない」


頭の中で高速に相手の情報を収集しながら…私は湧き上がる興味と興奮を確かに心の中で感じ入る。


「レイナは下がって援護、襲われたら防壁を挟んで全力回避…受け切れると思っちゃ駄目よ、全力で回避して」


レイナにそう言い含めると、そのままレイナより一歩を前にして、目の前の〝謎の狼〟に相対する。


「――私は、前線で気を引きながら相手を攻撃…ホラ、〝何時も通り〟でしょ?」

「ッ…はい!」


レイナにそう言うと、私は大地を踏み砕いて加速する。


――ギュンッ――


対する狼も同じく私目掛けて加速し…私の喉笛を噛み千切ろうと迫る。


「先ずはお手並み拝見ッ――」


その行動に、私は相手は槍を突き出し…その顔面へ槍を叩き込む…。


――ズドォッ――


「グルゥッ…」


その一撃は確かに敵の腹へ直撃し、狼はその衝撃に唸りを上げる…だけど。


「――へぇ…〝硬い〟ね」


その一撃を受けた狼の顔には傷一つ無く…それどころか私の槍が狼の硬さに耐え切れず穂先を砕かれる。


――カランカランッ――


「流石に〝素の状態〟じゃ程度の低い武器が撃ち負けるか」

(〝悪夢の猟犬〟の物耐はD+辺りだった筈だけど…明らかにそれ以上の硬さね)


攻撃は通らなかった…とは言え、モロに食らったその一撃はその狼を軽く吹き飛ばし…再び私達は距離を取る事になる。


――ボキッ!――


睨み合いの最中…私は穂先を失った槍を折り…ソレに魔力を流しながら、粗く〝削る〟…。


――ギィィィンッ、ギィィィンッ――


「ッ…グルゥ」

「武器は使える所まで使い潰さないと勿体ないじゃない?」


その行動に、ソレは警戒心を高めて唸る…そして私は、新たに作り上げた粗雑な〝短槍〟を両手に…2度目の打ち合いに備える…。


――シィィンッ――


一度に殺しきれなかった為か、アレは動かない…私も奴の力量を測りきれず迂闊には攻められない…両者動かず、ただ延々と時間だけが流れて行こうとするその時。


――ゴウッ!――


「…〝古き五元の緑〟――〝切り裂く風の子等よ〟――〝我が敵を斬り刻め〟――〝風乱刃(ウィンド・スライサー)〟!」


私の背後からそんな声と魔力の高ぶりが発せられ…私の背後から駆け抜ける様に強風と風の刃達が謎の狼へと肉薄した。


――ザザザザッ――


警戒していなかった横槍に、ソレは反応を遅らせる…その結果、最初の数発は何とか避け切ることが出来たものの、後続に迫る刃の数々へ対応しきれず、風の刃がその肉を斬り裂いてゆく。


「――グッド〝レイナ〟…!」


その光景、その行動に私は背後のレイナにそう言いながらソレへ肉薄し…奴への〝有効打〟を見出す。


「〝物理攻撃〟よりも〝魔術〟…もっと言えば〝魔力の付加された攻撃〟ならば有効打に成り得るのね?」


だとすれば、今この手に持っている双槍は正しく有効な手段と言えるだろう。


「――〝攻撃の目処〟が立ったなら、勝機は十二分に存在するわね」

「ッ…グルゥ…!?」


高密度な魔術攻撃を押し付けられた狼は、其処で始めて、焦りの声色を口に出す…だが、そんな声色を出した所で攻撃は止まらない。


「――案外、早くカタが着きそうで助かるわ♪」


私はそう言いながら風の刃の隙間からソレへ飛び出し…持っている双槍を奴へと振り下ろした…。

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