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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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舞台は未だ交わらず、されど月は等しく照らす

2・本・目、クククッ…この調子で後1本だしたいぜ。

――シャラララ〜ン♪――


何という事でしょう、あんなに殺風景で土と埃に満ち溢れていた洞窟が見違える程の文明レベルを手に入れたでは有りませんか!


――ポォッ――


「先ずは、文明の最たる〝光〟!…奮発して松明掛けじゃなく魔力点灯式のランタンに…コレで薄暗い部屋とはおさらば!」


まぁ、洞窟内部に設置するのと魔力供給用の統括機器で10万zは軽く超えたのは秘密だ。


――ズンッ!――


「そして、生活を助ける〝家具〟!…質素だけどそこそこの質、絨毯椅子にテーブル、クローゼット…トイレはちゃんと洋式ですとも、合わせて15万z!」


さぁさぁ、お次は目玉ッ…それは勿論彼女!


「そして可愛い同居人!…見習い魔女っ娘レイナちゃん!」


――――――

【レイナ・ハーレー】

【人間】

【黒魔術師】LV7/30

HP:1750/1700

MP:3350/3350(2850/2850)

満腹:99%


筋力:F+

速力:F+

物耐:F

魔耐:D+

知力:C−(D+)

信仰:F+

器用:E+

幸運:F


【能力】

〈魔力掌握〉LV1/10、〈三属性魔術(無/火/風)〉LV3/10、〈精神強化〉LV8/10、〈簡易制作:木工〉LV4/10、〈看破〉LV5/10


【称号】

〈魔女〉、〈才有る魔術師〉、〈殺人鬼〉

――――――

――――――

【装着済み装備】

・〈純魔の礼装一式〉(無名魔導書/霊呼びの黒装/魔喰らいの首飾り)

【詳細】

〈装備要項〉:知力E+以上

MP+500/消費MP減少/術式構築速度+5%/知力&魔耐のステータスを1段階上昇

――――――


「うんうん、実に可愛らしい服装ね…以前も魔女っ娘っていう見た目だったけど、更に一回り大きい外套と魔女の帽子が更に可愛らしさを引き立ててるわ…ギャップ萌えって奴かしら?」

「え、えへへ…そんなに褒められると照れますね…」


目深に帽子を被り、頬を染めるレイナに母性にも似た感覚を覚えながら…私も自分の装備を入れ替える。


――パサッ――


「うん、良い感じ…どうかしらレイナ?…私の服装は…似合ってるかしら?」

「は、はいっ…とても良く、似合っています…綺麗です」

「フフッ、有り難う」


――――――

【マオ・ディザイア】

【イビル・スライム〈人間:槍使い〉】LV29/30

HP:3100/3100

MP:3500/3500

満腹:101%(0%)


筋力:C(D+)

速力:C(D+)

物耐:C−(D−)

魔耐:D

知力:D

信仰:F−

器用:E+

幸運:F


【能力】

〈狩人の軽業〉LV4/10、〈健啖家〉LV5/10、〈生命の炉心〉LV4/10、〈変形〉LV5/10、〈生物変形〉LV3/10、〈無属性魔術〉LV3/10、〈看破〉LV6/10、〈契約〉LV1/10


【称号】

〈兎狩り〉、〈小鬼狩り〉、〈野蛮な獣〉、〈貪食〉、〈大物狩り〉、〈殺人鬼〉

――――――

――――――

・魔鴉の絹衣一式〉(鉄糸蜘蛛の絹衣/夜鴉の外套/夜蝶の首飾り)

【詳細】

〈装備要項〉筋力E+以上、知力E−以上


HP+200/筋力、速力、物耐のステータスを2段階上昇/装備者に〈隠密(小)〉を付与/物理攻撃の被ダメージ−5%

――――――


「――良し、装備の更新もステータスの確認も済んだ…行くよ〝レイナ〟…最後の〝商品〟を試そう♪」

「はい……え?…まだ何か有るんですか?」


私は改めて、自身の身に纏う装備の着心地を試しながらレイナを連れて外に出向く…そんな私に、レイナはそう言いながら首を傾げる…そう言えば、レイナにはまだ言ってなかったね。


「ンフフ〜…余った金で、ちょっと〝面白いモノ〟を買ったんだ♪」


そう言い、レイナに隠れていた右手を見せる…其処には、怪しい気配を放つ、紫色のコンパスが握られていた。



●○●○●○


――カツッ…カツッ…カツッ…――


日が落ちて来たニュートの街、人の営みが落ち着いたとは言っても完全に消えた訳でもなく…日々労働に励む者、日々人の為金の為に体を張る者達の為に開かれた酒場からは、男共の笑い声や、女の艶声が夜の静けさに微かな華を添えていた。


「……」


そんな夜の街、人気の無い街道を…一人の女性が進む…その様相は微かな疲労感を滲ませており…その美しい容貌と草臥れた色気が、この街の雰囲気により一層馴染んでいた。 


――カツッ…カツッ…カツッ…――


恐らくは帰路に着こうという彼女の足取りを示す音だけが、静寂な街に響く…彼女にとっては普段と変わりない行動に過ぎないその行動の中…彼女はふと、身に感じた視線に身体を反応させる。


「……ッ」


人の街とは言っても、其処に住む者が善良ばかりではない…それは何処も変わらず、警戒心を捨てていない強かさ故にこそ、彼女はこの〝薄暗い夜の街〟を今まで生きてこれた…そんな彼女の警戒心は鋭く、彼女の視線が己のけいかいを刺激する〝何者か〟を捉えた…其処には〝人〟が居た。


「……」

「……」


対岸を進むその男が、ノロノロと歩を進める…その姿に彼女は一抹の警戒心を覚えつつも、その場を歩き去ろうと無関心を装う。


――カツッ…カツッ…カツッ…――

――ザッ……ザッ……ザッ……――


石畳を進む二つの足音が、どんどんと距離を縮めてゆく…女性の警戒心はその度に高まり…彼女はそっと、懐に有る〝護身具〟に手を伸ばす…そうする間に数メートルの距離に近付いた二人の緊張が、限界にまで達したその瞬間。


「……どうも」

「ッ……(ペコリ)」


男は言葉短にそう言うと、何事も無く通り過ぎてゆく…そんな彼に、彼女も会釈し…それから何事も無く立ち去ると…張り詰めた沈黙が…彼女を満たす。


――カツッ……カツッ……――


それから、数歩歩を進めても…彼女に何かトラブルが降り掛かる事は無い…その事実に、彼女は漸く肩の力を抜き…溜息と共に、夜の同居人への微かな謝罪を吐き出し…進む……その瞬間。


――ドサッ――


彼女の背後…数メートル先から…そんな、〝何か〟が倒れる音が響いた…その音に、彼女は半ば反射的に振り返り…その音の正体を探る…ソレは――。


――……――


暗い夜道に、街灯に照らされて倒れ込み…ピクリとも動く事のない男の姿…ソレを見た瞬間、彼女はその場での最善の行動を取る…ソレは。


「――キャアァァァァッ!?!?!?」


〝悲鳴を上げ〟…人の注意を惹きつける事だった…程なくして、声に引き寄せられて〝人〟が押し寄せる。


――ブブッ…――


そうして、この一件を切っ掛けに…このニュートの街に、恐ろしい悪夢の劇場が幕を上げる事となったのだ。



○●○●○●


そんな人の街などさておいて、暗い夜道を少女と美女が並んで歩く。


――カチカチカチッ――


その手に怪し気なコンパスを持って。


「マオさん…そのコンパスは何なんですか?」


少女はそのコンパスの音を聞きながら黒衣の美女に問う…すると、美女は含みの有る笑顔でコンパスを見つめながら、少女の質問に答える。


「〝不思議なコンパス〟だよ…ある伝手から聞いた…曰く付きの品…何でも、このコンパスは〝持ち主に富と力と権威〟を与えるらしいわよ?」


美女の口から発されたその眉唾な噂話は…少女の心を動かさなかったのだろう…少女は胡乱な目でコンパスを見て、その純真な姿に違わない率直な意見を紡ぎ上げる。


「……本当なんですか?」


それに対して、彼女はごく平然と首を横に振り…少女の意見を肯定する。


「さぁ?…結局噂話止まりの眉唾話だからね…嘘かも知れないね…だけど」


そして、肯定と共に美女は手元のコンパスの動きに魅入りながら…赤い視線を楽しげに歪ませる。


「真偽は兎も角…この〝コンパス〟は〝ある方角〟を指し示している…その先に有るのが〝何か〟を解き明かしてから、噂話の真偽を判断すれば良いじゃない♪」

「……そうですね」


そんな、楽しげな美女の言葉に…少女は反論する術も、意味も見出だせず…彼女に肯定し、それ以上何を言うこともなく…彼女の横を並び歩き…コンパスの指し示す方角へと歩を進めてゆく…。


そんな二つの世界を照らす、月の輝きは…何方も変わらない朱で染まっていた。

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