略奪品でお買い物
本日の1本目、今日は3本投稿したい。
――ドサドサ、ドサッ――
「お〜大量大量♪――こんなにお宝持ってるのによくもまぁ山賊稼業を続けたものねぇ…傭兵でも何でも、他にやりようは有ったでしょうに」
地面に倒れ伏す頭領の亡骸にそう言いながら私は、奥の部屋から続々と出てくる金と宝石の詰まった麻袋をインベントリに押し込んでゆく。
「――探した所、コレで最後ですマオさん」
「そう…お疲れ様レイナ」
伽藍洞になった洞窟で、死骸と血を掃除しながら…私は、この洞窟を魔力で満たす。
「取り敢えず、この洞窟も頂いちゃいましょうか…街から程々に近いし、他のエリアに行くのにも悪く無い経由地だし♪」
(ソレは兎も角…困ったわねぇ…)
――――――
【マオ・ディザイア】
【イビル・スライム】LV29/30
――――――
「己、妖怪イチタリナイ…あの頭領を倒せば丁度足りると思ってたんだけど、少し足りなかったか」
歯痒くもレベル不足を訴え掛けるウィンドウに、溜息が漏れる…とは言え、足りない以上、やる事は変わらない。
「次の獲物を探しましょうか…でも、まずその前に――」
気持ちを切り替えつつ、私はインベントリに収められた〝財宝の袋〟に視線を移し、それから目を閉じる…折角お宝を手に入れたんだから、コレを使わない手はない…。
「――〝装備〟のグレードを、1段階上に上げましょうか♪」
そう意気込んで、私は目を閉じる〝ショップ〟を選択する…すると、私の意識は眠る様に暗い奥に沈み――。
――カランカランカランッ――
澄んだ鈴の音と共に意識を呼び戻されると…其処は見覚えのある〝宇宙空間〟だった。
『ヤスイヨー、ヤスイヨー…今なら〝黒煙獣の外套〟1つ7000万zが5000万zダヨー!』
『本日のオススメ買取サービスは〝毛皮系〟をオススメ!』
「……ナニコレ」
そして、宇宙空間に有るには奇妙な〝雑貨店〟の様な風体のカウンターと商品棚が私を出迎え、機械頭の奇妙な店主が…足元でグルグルと回りながら店のイベントを喧伝する黒い光の塊に対して疑問を浮かばせる私の方を楽しげに見ていた。
「――やぁやぁお客様…その子達は最近新たに〝雇った〟店の〝看板妖精〟だよ…公式ホームページにシステムアップデートの話が上がってた筈だけど?」
私の疑問にそう答えながら機械頭の店主、ナインは私へ問いを投げ掛ける。
「あー……そう言えば、そんなの有ったわね…雑貨店の新機能とか聖獣と魔獣に専用掲示板が出来たとか…今まで忘れてたわ」
私がそう言うと、ナインはやれやれと肩を竦ませながら指を鳴らし、足元の妖精たちを何処かに飛ばす。
「――まぁ、それは兎も角いらっしゃい、商品を御買い求めかな?…それとも買取?」
「両方よ、先ずは買取から…此処って財宝の換金も出来るわよね?」
そして始まる〝取引〟に、私が換金したい旨を伝えると、ナインは何処か楽しげに私を見る。
「ほぉ、財宝か…実に結構じゃないか…無論、換金した後は何かを買うのだろうね?」
「勿論、装備をそろそろ新調したいわね」
「大変結構♪――ではでは換金したい物を取り出してくれたまえ、しっかりと査定して進ぜよう♪」
私は、何処か上機嫌なナインの様子に首を傾げながらも、インベントリから六つの財宝袋を取り出し…ソレをナインに見せる。
「ほぉぉ…大した宝だねぇ、金に銀、宝石…確かに、凡そ財宝と呼ぶに相応しい〝宝物〟だねぇ」
――パチンッ――
ナインが指を鳴らし…私の目の前に黄金色の秤を置くと、どうやったのか小さくなった財宝の袋達を片方の秤に乗せて、何処かから金の延べ棒を取り出し、もう片方の秤に乗せていく。
――カチャン…カチャン…カチャン…――
「纏めてと換金と言う事で…少々色を付けて端数は切り上げよう…財宝袋一つに付き凡そ50万z…ソレが六つで凡そ300万zだよ」
そうして、秤が均等になった時、ナインが買い上げの金額を紡ぐと、私にチラリと視線を送る…。
「そう、それでいいわ」
「毎度あり♪」
――パンッ♪――
彼が手を叩くと、秤と財宝は消失し…私の財布の中に換金した金額がそのまま振り込まれる。
――ピンッ!――
「それじゃあ何時も通り、商品の精査宜しく…予算は…ざっくり100万で、それで私と私の契約者の装備を揃えて欲しい」
そして私は何時も通り彼に相談料を渡し、買い求める商品の要望を彼に送る。
「――成る程?…お客様の扱えるレベル帯での装備と成ると…余裕で買い揃えられますね」
すると、彼は直ぐにそう言い…私の目の前に装備のカタログを表示する。
「この中なら、この選択かな?」
私はそう言い、選ばれた装備に目を通し…数ある装備の中から、特に私達のスタイルにマッチしたモノを選択する。
――――――
・〈純魔の礼装一式〉(無名魔導書/霊呼びの黒装/魔喰らいの首飾り)・・・25万z
【詳細】
〈装備要項〉:知力E+以上
MP+500/消費MP減少/術式構築速度+5%/知力&魔耐のステータスを1段階上昇。
・〈各色魔術師一式〉
〈例:赤色魔術師一式〉(赤魔宝の指輪/溶岩蜥蜴の外套/火精の耳飾り)・・・30万z
【詳細】
〈装備要項〉知力E+以上
MP+300/火属性魔術のダメージ+10%/術式構築速度+5%/知力のステータスを1段階上昇/物理攻撃の被ダメージ−5%/水属性魔術の被ダメージ−5%
・〈魔鴉の絹衣一式〉(鉄糸蜘蛛の絹衣/夜鴉の外套/夜蝶の首飾り)・・・30万z
【詳細】
〈装備要項〉筋力E+以上、知力E−以上
HP+200/筋力、速力、物耐のステータスを1段階上昇/装備者に〈隠密(小)〉を付与/物理攻撃の被ダメージ−5%
・〈悪獣の心臓(血濡れた骨爪/肉束の鎧/渇望の刻印)〉・・・35万z
【詳細】
〈装備要項〉信仰F以上、知力E−以上、筋力E+以上
HP+300/物理攻撃のダメージ+15%/筋力、/ダメージを与えた敵に〈出血(小)〉を付与/筋力、速力のステータスを1段階上昇/被ダメージ+10%/HPが25%の時、〈狂化(中)〉を付与。
――――――
「今のレイナの主力魔術は火属性だけど…何れ他の魔術も覚えさせたいし…そうなると、火属性に特化した装備より全属性に作用する純魔装備の方が良いかな」
実際に、今のレイナは無属性、火属性、風属性を習得している…全属性修得するのも時間の問題だろう。
「〈悪獣の心臓〉も興味が有るけれど…デメリットが目に余るわね…〈魔鴉の絹衣〉かな」
総額55万z…予算はまだまだ余裕ね。
「――では、〝拠点〟を彩る家具や設備等はどうかな?…営巣内部に様々な恩恵を付与する事が出来るよ?」
「あらそう?――それは良いわね…拠点の有効活用方法を悩んでいたのよ」
私は、取り敢えず装備品を購入しながらナインの言葉に、家具の種類に目を通す。
「先ずは防犯対策に〝偽装の壁扉〟は必須だろう…設置すれば外からの侵入は防げるし、レベル40以上の看破は弾ける…おまけに軽い人避け効果も付いてるから、捜索隊でも組まれない限りは見つかる心配は無い…その分、値段は30万zとそれなりにはなるが」
「買うわ、拠点の安全性を考えるならコレでも安い方でしょう?…後は、流石にそろそろベットの1つは買いたいわね…何時迄もレイナを草藁の上には寝させられないし、椅子とテーブル、クローゼット何かも買おうかしら?」
「だったら〈基本の家具セット〉が良いだろう…合計20万zだ」
「オーケー、買うわ…あぁソレと―」
私とナインはそれから、色々と取引を交わし…結果的に手にした金の半分が買い物に消える…その代価として。
《新たな【称号】を獲得、〈ラック・パールとの繋がり〉》
「それでは〝マオ・ディザイア〟様…今後共我がラック・パール魔法店を御贔屓に♪」
私は大量の有益な商品と、ラック・パール魔法店との強い繋がりを獲得するのだった。




