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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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山賊狩り

本日2本目、バチバチに睡魔に襲われてる泥陀羅没地さんです…すっごい眠い。

「――〝獲った〟…!」


部下を犠牲に致命の一撃を与えたと…そう確信する…それほどまでに、この一射は狙い通りの一撃を奴の胸に叩き込んだ。


「ッ――!」


一瞬の空白の後…奴は口から赤い血を吐き出しながらも動き出し…己にもたれ掛かる部下の身体を掴んで炎の中に飛び込む。


――ボォッ――


化物と部下が、炎の中に消え…陽炎も失せる…この炎の檻に残されたのは己ただ一人…問題は〝コレ〟だけだった。


(〝複合魔術〟――異なる属性の魔術を組み合わせ、より強力な術法に昇華する高等技術…あの餓鬼がそんな技術(テク)を使えるのは驚いたが…今となっちゃ、もう〝此方〟のもんだ)


――シャッ――


弓を仕舞い、懐から短剣を取り出して炎が消え去るのを待つ。


「〝複合魔術〟は高度な分消費魔力と魔力制御に凄まじいコストが掛かるッ…その位、魔術師と戦った人間なら知ってて当然の知識だ」

(餓鬼の年齢は宛にはならんが、装備の質と戦闘時の様子から見て〝中位魔術師(ミディア・ウィザード)〟以上ってこたぁねぇだろ…持って後一分って所か?)


直に魔術の効果が切れる…それまで、周囲からの奇襲を警戒し、残った餓鬼から杖と動きを封じれば俺の勝ち。


「――この勝負…貰ったぜ…!」



●○●○●○


「……」

(1120…1098…1052 …1011…)


私は…頭の中で数える…自身の有する〝魔力〟の総量を…。


「〝984〟」

(まだ…〝魔術〟は解かない)


このまま〝魔術〟を維持するのは悪手だろう…既にマオさんも瀕死な状態で、残るは山賊のリーダー1人だけ。


「〝877〟」

(限界まで時間を稼いで…相手の集中を削ぐ)


相手が油断した所を魔術で一息に仕留めきる…ソレが私達の最善手。


「〝701〟――勝つ為には、相手に確実な必殺を撃ち込む事が最重要」

(その為にも…此処で〝もう一押し〟…相手に撃ち込む)


「〝635〟――〝炎嵐〟…〝解除〟」


意思を新たに、私は維持していた炎嵐を解除する…すると、渦巻いていた炎が一斉に散り散りになって消えてゆき…その円の中には、此方を見据えていた〝山賊〟が此方を見ていた。


「「ッ―!」」


――ダッ!――

――スッ!――


互いが互いを認識したその瞬間、私と山賊が同時に動き出す…当然、互いの動きを無力化する為に。


「――〝魔弾〟!」


詠唱はしない…ただ持ち得る魔力の全てを注ぎ、高速で打ち出し、敵の身体を破壊する事を目的とした一撃は、凡そ私が考え得る最高の速さで放たれた。


「ッ!」

「――〝当たる〟…!」


その一撃は、此方に直進する山賊のリーダーの眼前にまで迫り…その一撃が敵を粉砕する事を確信する――。


「――〝甘えな餓鬼〟」


――ガクッ――


しかし、その一撃が奴の頭蓋を打ち砕かんとしたその瞬間…山賊のリーダーは直進し前へ倒していた身体を更に低くしてダメージを掠り傷に抑えると…そのまま私へ肉薄し、下から短剣を振り上げる。


――ガンッ!――


「キャッ!?」


その一撃は私の握っていた杖を捉えると、その衝撃に思わず私は尻餅をついて杖を手放す。


――カランッ――


「――ふぃぃ…危ない危ない…中々やるじゃねぇか餓鬼…その年でそれなりに実戦を積んでやがるな…不意を付いた一撃に急所狙いの一撃も大したもんだ…ただ、〝運が無かった〟な…♪」


私を見下ろしながら山賊はそう言うと、掠めた頭部に手を当てながら牙を剥いて笑い…私へ勝者の余裕を見せる。


「お前が悪かった訳じゃねぇ…ただテメェより上の奴が相手だっただけだ…残念だったな?」

「……そうですか」

「――まぁ、運が悪かったと諦めな」


そして、勝利の美酒の余韻を味わいながら私に手を伸ばす…そんな山賊のリーダーをジッと、睨みつけていた…その瞬間。


――ズドォッ!――


山賊の胸に、赤黒い触手の華が咲き誇った。


「――あ?」

「――〝運が悪かった〟…正しく、その通りねカーロ?」


理解の追い付かない山賊の声に重ねる様に、山賊の背後からそんな声が響き…それに山賊が振り返ろうとした、その瞬間。


――ズボッ!――


山賊の身体が倒れ…私の目の前に〝異形の腕〟をしたマオさんが現れ…その手にドクドクと鼓動を打つ心臓を握っていた。



○●○●○●


「――テメ…〝何で〟…ガハッ!?」

「〝人間に擬態している〟からといって、必ずしも〝人間と同じ弱点〟じゃないわよ」


心臓を触手の掌から取り込みながら私はそう言い、崩れ落ちるカーロへ告げる。


「でも実際、貴方の一撃は惜しい所まで行ってたわよ?…後数センチ右だったら、私も即死していたかも知れないわね」


カーロに空けられた穴に触れながら、私はカーロに言う。


「――兎も角、コレで〝決着〟は着いたわね?…貴方が死んで、私達が〝生きる〟」

「……あぁ」

「貴方には色々な意味で感謝しているわ…このエリアには、私達の糧に成り得る獲物が居ると知れたし…このエリアに居る連中の強さの指標としても、貴方の存在は活きるもの…だから、ありがとうね?」


私の言葉に、カーロは息も続かなくなったのか、短くそう返しながら…目の生気を薄れさせていく。


「それじゃあ、〝頂きます〟」


そんなカーロを抱き上げながら…私は大事に大事に、〝カーロ(獲物)〟の身体を貪り…その糧を啜る。


《山賊弓兵を討伐しました、戦利品〈山賊の外套〉/〈カーロの古弓〉/〈回復ポーション(低)〉を獲得しました!》

《レベルが上がりました!》

《レベルが上がりました!》

《レベルが上がりました!》



〜〜〜〜〜〜〜



「さ〜〜て、休憩バッチリ、レベルアップもウマウマと、第二エリアの初戦闘は概ね大満足と言った所で!」


山賊の死骸を余すこと無く腹に収めると…私は暫くの休息の後、大量魔力共に全快な状況でレイナに言う。


「――新たな〝経験値(山賊達)〟の目処が経った所で、たった今からこのエリア…コホンコホン、この辺り一帯の〝山賊狩り〟を敢行します!」

「賛成です…この辺りでは山賊達は手頃な獲物ですし…何より山賊は〝人間〟同様の潤沢な経験値を持っていますので…レベル上げを目的にしている私達にはまさに渡りに船ですね」

「その通り、流石レイナ賢いッ、天才ッ、可愛い!」


レイナの言葉に私はそう言いレイナの頭を撫でる…レイナも満更ではなさそうに頬を朱に染め照れる…そんな癒しを目に映しながら…私はレイナを連れて歩き出す。


「さぁさぁそう言う訳だから、張り切って山賊連中を殲滅しましょ〜♪」


そうして私達は、開けた草原に敷かれた人の道を外れ…不気味な程静かで、怪しい〝鬼の潜む林道〟へと突き進み…姿を消すのだった。

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