醜い獣
どうもどうも、泥陀羅没地に御座います。
本日1本目をば…短くて申し訳ない…代わりに2本目は長めに(3000字)程のモノを執筆する予定なので、お待ちを。
――ザッ…ザッ…ザッ…――
「――一体、何処に向かっているんですか?」
翌日の昼下がり…私とレイナは森を踏み荒らしながら…〝ある場所〟へと向かう。
「――〝人間の村〟よ」
その問いに私はそう答えながら、地図の印を目指して道を進んでゆく。
「人間ですか?…でも、昨日は人間とは極力関わらない方針だと…」
「えぇそうね…〝脅威となる人間〟には関わらない様にしたい…だから、そんな〝脅威〟に対応する為に…〝人間〟を使うのよ」
「……?」
私の言葉にレイナは首を傾げる…流石にこの説明では伝わらないか…仕方無い、この際ハッキリと目的を告げよう。
「村人達を皆殺しにして、その経験値と肉体を手に入れる」
「ッ!…それは」
私の言葉に、レイナの瞳が揺れる…今明かされた目的に、レイナは暫くの間沈黙し…何かを言おうとするが…その言葉を紡ぐ事は出来無い…何故なら、彼女は知っているからだ…私が、〝人殺し〟に躊躇が無い事を。
「――貴女が止めようが、止めなかろうが…やる事は変わらない…けれど、もし…貴女が〝人で在りたい〟なら…私との〝契約〟は解除しなさい」
レイナに私はそう言いながら、再び歩みを開始する…もし、仮にレイナが私との契約を解除すると…言うのなら。
「――その時は…〝一度だけ見逃してあげる〟」
「……」
私の言葉に、レイナは沈黙する…そんなレイナの葛藤など気にも留めず、陽だまりも私も、己の役割を、目的を果たす為に歩を進めるのだった。
○●○●○●
――パチッ、パチパチッ…パチッ…――
燃え盛る炎の破片が、音を立てて舞い散る…陽射しの中に生まれた炎は熱気を立ち上らせ…黒煙を上げる。
「村長…言われた通り、〝魔女の家〟を焼き払いましたが…次は何をすれば良いのでしょう?」
燃え盛るのは、ある一軒の家…その家は炎に覆われ、陽炎に成り果てながら、その身体を灰燼へと帰して行く…その光景を見ながら、村民の一人が、この村の長に報告と、次の指示を問う。
「魔女が姿を現すまで、外の警戒を怠るな…現れたなら周囲に知らせ、魔女を迎撃せよ」
その問いに村長はそう返しながら…燃え盛る炎を眺め、思考の海に沈む。
「――了解しました」
その様子に、村人は特段何かを思う事も無く…村の住民に指示を伝えに向かう…。
「……神よ…我等に魔女を討つ力を与え給え…」
村長はただ、立ち込める炎を眺めながら…魔女の死を祈り…神に祈りを捧げる…その頭上には、陽を遮る様に薄暗い雲のヴェールが広がり始めていた…。
●○●○●○
――ヒュンッ!――
「ガッァァッ!?」
《レベルが上がりました!》
――ザシュッ!――
「キャアァッ!?」
《レベルが上がりました!》
迫り来る〝敵〟を…逃げ惑う〝敵〟を…等しく、斬り殺す。
「――ふぅ、コレで粗方殺したかな?」
築き上げた屍の上で、溢れんばかりにこの器に注ぎ込まれる〝糧〟を喰らいながら…私は周囲に目を配る。
「――この…〝化け物〟…!」
そんな中…ふと、屍の中から一人の少年が現れ…死体から槍を拾い、私に迫る。
「――嗚呼、残ってたのね」
――ドスッ!――
そんな少年の蛮勇を、私は無造作に振るった触手の槍の一突きで処理する。
「グゥゥッ…クソッ…クソッ――」
「ッ――!」
「〝魔女〟…共…め、許さない…赦さない…ユルサナ――」
――バクンッ――
「五月蝿いわね…レイナ、大丈夫?」
「ッ…はい」
「そう…それじゃ、〝コレ〟を処理したら次の村に行きましょう…次で最後ね」
周囲に人の気配は無い…どうやら、此処に有る死体で全てらしい。
――グググググッ――
身体を伸ばし…上から下へと〝屍〟を取り込んでいく。
《〈模倣〉のレベルが上がりました、〈戦技:骨格模倣〉を獲得しました!》
一つ二つじゃ数え切れない、人の骸を取り込む…取り込む度に、能力は取り込んだ獲物の肉体を解析し、自らをより高みに昇華する様に、力を付けてゆく。
《〈模倣〉のレベルが上がりました!》
その度に、私の形成する〝肉体〟は、より精度を高め…ただの肉の塊が不出来な人の形を取ろうとする様な…そんな不完全な模倣から、不要な要素を剥ぎ落とし、外も内もを〝洗錬〟していく。
《模倣のレベルが上がりました、〈戦技:内臓模倣〉を獲得しました!》
――ゴクンッ――
「アー…あー…んん…あぁ、うん…ちゃんと〝話せてる〟わね」
全てを取り込む頃には、私の模倣は見違える程の〝レベル〟に達し…あと一つ…〝外装〟を人で覆えば完全に〝人〟に成り変われる程だった。
「さぁ後〝一つ〟……〝人の皮膚〟を手に入れましょうか」
私は、平らになった大地と、私を見詰めるレイナの視線にそう返し…自らの身体を、〝人〟から――〝獣〟に変形させる。
――グググッ、ゴキッ…ミキミキミキッ――
「〝感動的〟ね…前の模倣じゃ、姿形も不完全、歩く事さえままならない有様だったのに…」
ソレは、人の何倍も大きく、強い筋肉を備えた…〝人と共に歩む獣〟…その〝似姿〟…。
――カポッ…カッ…カッ…――
「――今じゃこうして、〝走る事〟も簡単に出来る…自身の成長に涙すら出そうね」
〝駆け回る馬〟…その成れの果ての姿形であった…。
「さ、私の背に乗ってレイナ…最後の村を〝襲う〟わよ♪」
「……はい」
私は、レイナを背に乗せてそう言うと…地図を一目見て、〝最後の村〟を目指して、森の中を駆けてゆく…。
(最後の村は……〝彼処〟ね)
心の中でそう呟いて。




