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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第二章:画して、少女は魔女となる
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目論む悪意

2本目投稿、デス。


――チクタクチクタクチクタク…カチンッ――


狂ったように回り始めた時計の針…ソレを眺める事暫くすると、トレーダー…〝ナイン〟の頭の秒針が零の刻で全て止まる。


「――〝ふ〜む〟…成る程、成る程…〈模倣〉…対象の肉体を取り込む事で肉体の構造を解析し、そ肉体を作り変えることでステータスや身体構造を拡縮する力…フムフム、フフフッそう…だねぇ…」


ナインはそう言い、何か含みの有る笑みを浮かべながらそう言うと、指を鳴らし…テーブルに宝石箱の様な、豪華な装飾の施された箱と、一枚の古びた地図…そして、もう一つは…何処か古めかしく、気味の悪い装飾が怪しく光るコンパスを机に並べる。


「――先ずは1つ、〝相談の対価〟を頂こうか」

「えぇ、分かってるわ」


彼の言葉に、私は〝相談料〟の提示されたウィンドウにサインする、すると私の持つ〝財貨〟が徴収され、ナインの手元に硬貨の束が集まる。


「――で、コレが私の求める条件に合致した〝商品〟かしら?」

「勿論その通りだとも♪…是非〈詳細〉を確認すると良い♪」


そして、私がテーブルに目を落とすとナインはそう言い…3つの品に表示された〝説明〟を手で示す。


「……」


その言葉と視線は胡散臭い物では有ったけれど、ソレを拒否する理由も無い私は大人しく商品の仔細に意識を集中させる。


――――――

・〈古羊皮紙の地図〉 (350z)

使い古された何の変哲もない羊皮紙の地図、この辺りの地形情報が記されており、幾つかの場所に記しが成されている。


・〈無垢の技玉×7〉(21000z)

種族固有の能力を強制的にレベルアップさせる技玉…その製法は謎に包まれ、多くの者がソレの解明に挑み、また敗れ去った。


・〈怪しげなコンパス〉(50000z)

怪しく不気味な気配を纏うコンパス、その針が何処を指し、何を指し示しているのかは誰にも分からない…嘗て何人もの所有者が存在していたが過去の所有者は暫く経つと姿を消し、このコンパスだけが遺されたと言う。


――――――


詳細を確認し終えた私は、愉しげに私に視線を送る彼に再び視線を向けると…地図を指差して問う。


「この地図は何を示しているのかしら?」

「――このエリアに有る〝人の村〟だよ、魔物にとって、〝人間〟は実に優れた〝力の源〟だからねぇ…上手くやれば君の持つ〈能力〉位は直ぐにレベルを上げられるだろう」

「……〝成る程〟」

「此方の〝技玉〟は単純な〝効果〟だよ…相応の対価を支払えばその場で君の能力を強化出来る…当然そんな〝ご都合アイテム〟に安値がつくはずもない…暴利だなんて思わないでくれよ?」


私の問いにナインはそう答えながら、この商品の説明をスラスラと綴る…その言葉に私は特に反論する訳でもなく…静かに、残る商品を見て…問う。


「……その〝コンパス〟は?」


すると…先程までクスクスと楽しげに笑っていたナインの笑みが更に深く…怪しくなり、彼はコンパスを手に、伝承を語り聞かせる語り部の様に…私へ言う。


「――この〝コンパス〟は…〝曰く付きの品〟でね…今まで何人もの人間の手に渡り、そして最後には此処に帰って来る…〝どういう理由〟かは教えられないが〝そう言う物〟でね…コレ又どういう理由かは言えないが…多くの人間が〝コレ〟を求めてもいる…コレが指し示す先に何が有るのかは私でさえ測れない…ただ、そんな代物を求める者に、商品を取り扱う者として最低限の警告は何時もしているよ…〝対価と代償〟は絶対だ…その順序が逆だろうと、その〝行動〟には必ずその因果に因んだ結末が待っている…コレを扱うなら、努々ソレを忘れない様に…ね♪」


ナインの言葉に耳を傾けながら、私は最後の警告を咀嚼し…それからナインを見て言う。


「――まぁどっちみち、今の私には〝地図〟以外の選択肢は無いわね…コンパスはまた資金に余裕が出たら買わせてもらうわ」

「――そうかい?…なら今回は取り下げておこう…とは言えコレは〝この世界に1つだけの道具〟だ…先客がコレを買うとなっても私にはソレを止める権利はない…〝早い物勝ち〟だからね♪」

「――えぇ、そうなったら潔く諦めるわよ」


私はナインの言葉にそう言葉を返しながら、不要物を売り払った資金で地図を購入する。

「それじゃあそろそろ退店だね…またの御利用をお待ちしているよ、お客様?」

「えぇ、次はそれなりの資金を貯めてから出向くわよ」


取引を終えた後…私はそれ以上長居する事無く、トレーダーに背を向け扉に手を掛ける…すると、意識は直ぐに沈み…次の瞬間、私は岩の天井を視界に入れて…体を起こす。


「ん…帰ってきたわね」

「お帰りなさい…いや、おはようございます?…マオさん…それで、〝何か〟手に入れたんですか?」


私が動くと直ぐ側に居たレイナが此方に近付きながらそう言う…流石、新たな魔術を数時間で会得する才女だ…私が〝何をしていたのか〟も御見通しらしい。


「えぇ、まぁね…ちょっとした情報を仕入れたから、〝第二エリア〟に行く前に其処に立ち寄って色々としておきたい事が有るの…そういう訳だから…本格的に動くのは用事を済ませてからね…早速明日から動くから、今の内に休んでなさいレイナ」


私はレイナの疑問に答えながら…そうレイナを諭し…眠りに就かせる。


「……さて、明日は〝忙しくなる〟わね」


そして、私は地図を眺めながら…頭の中で明日の行動指針を組み立てる作業に入るのだった。


○●○●○●


――ガヤガヤガヤッ――


「――やはり、〝追放〟は間違いだったのだ!」

「――〝ガーグ〟と〝エドン〟も、もう何週間も帰ってきてねぇ!」

「あの二人が死んだあの時に、〝魔女〟も焼き殺しておくべきだった!」


夜更けと言うのに、村の中心…集会場では村の有権者達が寄り集まり、其々に主張を叫んでいた。


「どうせ三人ともあの魔女に殺されたんだろうッ…どうするんだ?」

「決まってる、魔女に復讐される前に此方から仕掛けるべきだ!」

「魔女の居場所も分からないのにか?」


飛び交う言葉は、其々怒り、焦り、恐怖と様々な悪意が渦巻いていたが…彼等の憎むべき先には、何時も同じ〝存在〟が立っていた。


「――〝落ち着け〟」


ざわめく村民を、村長が諌め…静かに言う。


「――近年魔物の動きが活発化している…下手に村の若手を出して捜索に当たらせるのは時間とリスクのデメリットが大きい…捜索は却下だ」

「――だが、ならばどうする…何時また奴がやって来るか分かったものじゃないんだぞ?」 


村長の言葉に一時落ち着きを取り戻した村民達の中で…ふと一人の村民が村長にそう言うと…村長はソレを肯定しながら、彼等の中に満ちる〝悪意〟に言葉を紡ぐ。


「安心せい…〝魔女〟と言えども所詮は小娘よ…奴が魔女として育ち切る前にその生命を断ち切ってしまえば良いだろう」

「…何か、手は有るのか?」

「――あぁ、奴の精神を揺さぶる一手なら…既に思い付いている…儂に任せておけ」


村長の言葉に、村民達は感嘆の声を上げ…その顔に安堵の影を落とす…だが、そんな彼等は気付く由も無かった…。


――カチッ♪…カチッ♪…カチッ♪…――


己等がコレから成そうとしている行為が、自らの破滅を呼び込む一助になると、言う事を…。


《特殊クエスト発生――〈冤罪の魔女狩り〉を開始します》

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― 新着の感想 ―
…ここで、ハデスに出動要請したい。 あの双子の村と同じ目に合わせてあげてほしい。
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