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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第二章:画して、少女は魔女となる
45/95

狂気に呑まれた戦場で、獣達は踊り狂う

2本目、ヨシッ!


3本目は19時〜20時辺りに出せる様頑張ります(`・ω・´)ゞ

――ドゴォッ!――


「あら、危ない危ない♪」

「――グルッ…!」


森眠熊の行動パターンは読めて来た。


(攻撃は〝振り下ろし〟、〝噛み付き〟、〝薙ぎ祓い〟…オーソドックスに〝身体能力〟を使った肉弾戦)


それだけ…後は攻撃の速度と範囲を見極める事さえ出来れば――。


――ブンッ――


紙一重の回避から、即反撃は難しくない。


「グルルッ――ガウッ!?」

「〝当たった〟…そう思った?」


前脚の薙ぎ祓いからに返す様に顎を触手の鎚で打ち上げる。


「――グルァッ!?」

「ダメージは無いけれど、〝響く〟でしょ?」


顎を捉えた一撃は、ボスに僅かな苦悶を与えるだけに留まったが…ほんの一瞬、私の前に晒した隙を見逃さない。


「――隙有り♪」


視界が外れた瞬間、私は地面スレスレを飛び出し、ボスの股下を駆け抜けながらその〝脚〟を刃で斬り裂いてゆく。


「――グガウッ!?」

「物耐が高いのは分かってる…でも、幾ら物理攻撃に耐性があると言ってもダメージは0じゃ無い…〝塵も積もれば山〟ってやつね…どうかしら、〝森眠熊〟――」


幾度目か分からぬこのやり取りを経て…私は遂に、その体毛を朱色に染め上げた〝彼〟を見る。


「――〝自分より弱い相手〟に、〝一方的な攻撃〟を食らう体験は?…きっと、得難い物だと思うのだけれど?」


私を忌々しく睨み付ける〝森眠熊〟の目を見ながら私はそう言う。


――――――

【森眠熊】LV28/30

HP:2321/4900

――――――


(とは言っても、実態は此方が一撃貰えば容易に優位が逆転する鬼畜仕様だから…有利とは言えないのだけど)


それに…と、私は静かに…胸の内の違和感に眉を顰める。


(――〝単純〟過ぎる、幾らボスで、ステータスがエリア難易度に比べて高い水準だとしても、明らかに動きのバリエーションが少な過ぎる)


初期エリアって事もあって、モーションが単純なのかとも一瞬考えたけど…ソレは絶対に無い。


(初手から死に戻り前提なゲームを作ってる様な運営が、そんなマトモな理由で単純なボスを置いてくる筈が無い――)


私の持つ違和感は、この1ヶ月にも満たない間に築き上げられた〝ケイオス・ドリーム社(運営)〟への負の信頼によって補強され…私は、今正にレイナの魔術によって爆炎の渦に呑まれた〝ソレ〟を…強く〝見据える〟…。


「考えられるのは―――〝やっぱり〟…」


爆炎の中…ソレは動かない…殺し切った筈が無い…今のレイナにそんな火力が出せない事は分かり切っている…だとするならば、ソレが〝動かない理由〟は、きっと…私の思っている通りだろう。


「〝第二形態〟…或いは〝暴走状態〟への移行…そんな所かしら?」


無論、確証は無かった…だが、そんな中で創り出した私の結論は――。


「グルルル――GURURURUuuuu…!」


その瞬間、陽炎の中で更に大きく身体を膨張させ…不気味に炎の中で唸る〝ボス〟の――。


――GURAAAAAaaaa――!!!!


そんな芯まで憎悪と殺意に染まった咆哮によって…確かな真実へと〝昇華〟されたのだった。


●○●○●○


「……嘘」


その姿を一目見た…その瞬間、レイナはポツリと…そう言葉を吐き出す。


――ドシンッ!…ドシンッ…!――


炎の中から現れたソレは…その〝化物〟は、あまりにも異質な変貌を遂げていたが為に。


「GURURURU…」


牙を剥き出しにし、口内に溜まった涎を地面に垂れ流す口、真っ赤に染まった視線…全身の筋肉が隆起し、元の何倍も大きさを増す巨躯…その手脚に生えた爪も…より長く、強靭に地面を抉っていた…。


誰がどう見ても、それは普通の生物の範疇を超えていた…その、正しく〝怪物〟と呼ぶべき化物は…再度、地面に空に響き渡る様な怒声の咆哮を、腹から吐き出し…その視線を〝目の前の敵〟へと向ける。


「マオさんッ、逃げた方が―――」


そんな〝怪物〟の姿に、レイナがそう言い…前線を張る仲間であり、盟友であるスライムへ撤退の諫言を紡ごうとする…だが。


「――え?」


そのスライムの〝姿〟を見た瞬間…レイナは思わず言葉を失い、スライムの姿を凝視する。


普通なら、目の前の〝怪物〟を前に恐怖するだろう…純粋な殺意と、悍ましい殺意のブレンドされた視線を受ければ肝の1つも冷やしてしまう物だ…それが、〝格上〟であれば尚の事…例え〝死から蘇る身体〟であっても、生物の根源的な恐怖には抗えない…筈だった…だが、今…レイナの目にした〝ソレ〟は…そんな〝恐怖〟の様相を1つと身に宿さないばかりか…寧ろその逆で――。


――フルフルフルッ♪――


「なんで…〝笑ってる〟の…?」


目の前の〝怪物〟を前に…新しい玩具を手にした童の様に愉しげに…その身を揺らしていた。


そんな盟友の姿に言葉を失ったレイナは、その警告を忘れ…その瞬間、2匹の〝獣〟は…真正面から〝敵〟目掛けて飛び掛る…そして。


――チラッ――


レイナを一瞥するスライムの…〝手を出すな〟と言う、その視線に…少女はただ…頷き、倒木の中に身を潜めるしか無いのだった。


○●○●○●


――バコンッ――


その瞬間…大地が〝爆ぜた〟…ソレを認識するより早く、私はその身を動かし――。


――ズドオォォッ!!!――


いつの間にか、もう目の前に迫っていた森眠熊の一撃を紙一重が躱した。


――ヒュンッ!――


躱し様に一撃、ボスの身体に攻撃を奔らせ…その巨体を足場に飛び退きながら、私はソレの〝力〟を確かめる。


「〝狂化〟…単純なステータスを限界以上に引き上げる〝状態〟かしら…とんでもないバ火力ね」

(レイナに隠れさせて正解ね…下手に参加させてたら大惨事になってたわ)

「〝自分の力〟の制御もままならないみたいね」


大地に減り込んだ自分の腕を引き抜く〝ソレ〟の様子を眺めながら…私は改めて、森眠熊のステータスを確認する。


―――――

【森眠熊ガイア・ベア】LV28/30〈狂戦化〉 

HP:2321/4900

MP:3280/3400

満腹:32%


筋力:B+(C +)

速力:C+(D+)

物耐:D−(C−)

魔耐:E(D)

知力:E(D)

信仰:G +

器用:F(E)

幸運:F−


【能力】

■■■

―――――


「火力の大幅強化と引き換えに防御力と知能を犠牲にする…正しく〝狂戦(バーサーク)〟ね…」


素早さが上がり、火力が上がるというのは…成る程、確かに〝厄介〟極まるだろう…しかし。


「―――とんだ〝失策〟ね、このバーカ♪」


速度が上がるのは厄介だ…しかし、それ以外はまるで問題にもなりはしない。


「――元々〝必殺の一撃〟だって言うのに、態々〝必殺〟に更にブーストなんて、馬鹿以外の何者でもないわよねぇ?」

(紙一重とは言え、相手の攻撃を避ける事は出来る…だったら)


――ブワッ――


魔力を放ち…ソレを操る…作り上げるのは〝魔力の弾丸〟じゃない。


「――〝耐久力〟も下がった今じゃ、純粋な物理攻撃も有効打――」


〝より鋭利〟に、自らの刃を補強する〝魔力の外装〟だ。


「〝魔力纏い(エンチャント・マナ)〟――〝魔術攻撃〟なら、超有利――此処まで来たら、やる事はシンプルね♪」


私は、目の前の〝ソレ〟を見ながら…胸の奥から掻き立てられる様な〝激情〟に笑みを零し…〝臨む〟…。


「〝避けて斬り刻む〟…その腸、ドロドロに刻み潰してやるわ♪」


そして…再び森眠熊は、その躍動を開始した。

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