獣の宴は幕を閉じ、混沌の序章は刻まれる
2本目ェ、そして今章の最終話お待ちッ。
明日からは新章開始、いよいよ本格的に主人公を〝主人公〟にしないとね!…あと、イベントで獲得した〝ポイント〟の消費もしないとですね…フフフッ、ワクワクが止まらねぇぜ。
――ザッ…ザッ…ザッ…――
笛の音が木霊する空に…人の声が新たに響く。
「おい、おい、おい…〝緊急依頼〟だってんで来てみりゃ、何だこりゃぁ?」
「まるで小規模な〝獣災〟じゃない…!」
その声、その笛の音に獣達は振り返り…その〝光景〟に、人と獣は其々の立場に沿った反応を示す。
「Bランク以上の冒険者パーティーを集めてた理由も道理だねぇ」
「他の村にも似た被害が続出してるらしいですし…調査するのは悪くない手かと…」
人には窮地に差し込む光明への希望を。
――チャキンッ!――
「それは兎も角…早く加勢致しましょう」
「おう、そうだな…!」
魔物達には、己等の狂宴のツケを支払わせんとする処刑人への恐怖を。
凄まじい魔力を放ちながら、高速で迫り来る〝処刑者〟達の乱入により…この宴は終息へと向かう…。
○●○●○●
――ズドオォォンッ!――
高速で迫る〝彼等〟の蹂躙を…聖鳥と魔獣は村の中心で見守る。
「――アハハッ圧倒的ねあの子達!――10?…20?…どれだけのレベル差が有ると、こんな〝差〟が生まれるのかしら!?」
魔獣は、己が同胞を蹂躙する彼等に強く、強く視線を注ぎながらそう笑い…この宴の終わりをジワリジワリと認識する…このままでは彼女もまた、彼等の刃によって切り裂かれてしまうだろう。
「――彼等に目を付けられる前に〝退散〟しないと…あぁ、そうだ…その前に1つ、忘れる所だった♪」
彼女はそう言うと、背後に佇む白鳥の…翼に刻まれた妖しい〝紋様〟を見つめ…視線を送る。
「〝宴は終わった〟…貴方の契約者として、〝同盟〟として…人の側に立ち、可能な限りの人命を護り、魔物を討った…〝無力な民〟の犠牲は無い、兵士達は…十何人かは、死んじゃったかも知れないけれど、半分以上は生きている…戦果として見るならば上々…〝最善でなくとも最優〟の結果には、落ち着いたんじゃないかしら?」
彼女の言葉に、彼は沈黙する…それに彼女は何を言うでもなく…ただ、彼女は彼女の〝目的を果たす〟為に、彼へ告げる。
「さぁ…〝約束〟は果たした…だから、私の〝契約〟も、果たしてもらうわよ?」
「…あぁ……〝分かっている〟…」
すると、聖鳥は自らの首を差し出し…頭を垂れる…その瞳は熱く網膜に焼き付ける様に、彼女の姿を捉え…その瞳にこもった熱のある〝屈辱〟を、彼女は理解し…笑う。
「――それじゃあ〝頂く〟わね?…貴方の〝生命〟…アフフッ…何れは貴方も、あの子達も等しく〝私の力1つ〟で倒せる様になりたいわね♪」
そして、独り言の様にそう呟くと…自身の身体から生やした、幾つもの槍で、刃で…聖鳥アークの身体を貫き、剥ぎ取り…解体していく…その〝解体〟は凡そ数分に及び…漸く聖鳥の生命を、彼女が手にした時――。
――カッ!――
眩い〝太陽〟が…月の世界、暗闇の中に隠された〝悍ましい血と死肉の大海〟を世に晒し出した。
《白魔鴉を討伐しました!》
《戦利品:〝白魔鴉の翼〟、〝白色魔石〟を獲得しました!》
《レベルが上がりました!》
《レベルが上がりました!》
《レベルが上がりました!》
《レベルが上がりました!》
《レベルが―――》
朽ち果てた白鳥の姿を見下ろし、彼女はその視線を騒がしい眼下の〝惨状〟に映し…息を深く吸う。
――スウゥゥゥッ――
電子の世界だと言うのに色濃く香る〝血の匂い〟が、彼女の身体を駆け巡る…獣の悲鳴が彼女の心を満たし…瞳を開いた…彼女の目の奥には――。
「――全く…〝最ッ高の世界〟ね♪」
赤黒く蠢く…〝狂気〟が有った。
――ゾクッ!――
「ッ――!?」
獣達を、処理していた冒険者の1人…剣士の男は、ふと己の身を貫く…〝不気味な視線〟に空を見上げる。
「―――……誰も…〝居ない〟か?」
見上げる先には、櫓が有り…其処には人っ子一人の気配が無く…その為に、彼は不思議そうに首を傾げ…そう呟く。
「どうしたの〝ニック〟?…何か居た?」
「――あぁ、レミーラ…いや、ただの気の所為だ…それよりどうだ、村の人間は?」
「やっぱり何人かは死んでるわね…残念だけど…でも、この規模を数時間凌ぎ切る…それも正規兵や私達みたいな冒険者でもない村人達が戦ってこの程度の被害なのは、奇跡を通り越して気味が悪いわね…」
そして、そんな冒険者達は漸く静まり返ったこの地獄の中で起きた…〝摩訶不思議な状況〟に意識を移す…。
「――村人の話じゃ、〝言葉を話す聖獣様〟や、他の〝聖獣〟達が村を守ってくれたらしいけれど…まだ詳しくは聞けてないわ」
「うん?…聖獣?…面白そうな話だな…アニスは聖職者だし、何か分かるかもな…その村人の話を聞きに行くか」
宴は終わる…しかし人々はまだ知らない…否、コレから知る事となる…己等の世界に舞い降りた…別世界からの〝異物達〟…その存在を。
●○●○●○
――カチッ…カチッ…カチッ……――
暗い、星と虚空の世界の中で…一人の〝男〟は、ただジッと…己には無い眼の、網膜に焼き付いた無数の〝空間〟で起きた〝事象〟を観測する。
「――〝自己定義〟は成された…正邪は分かたれ、〝対立と共存〟はその第一歩を歩んだ…コレにより、世界はまた〝1つ〟…〝延々の停滞〟を外れるだろう」
――カチンッ!――
高らかに紡ぐその言葉、クルクルと逆さに巻き戻る時計を弄りながら…時計頭の紳士は、その皮を剥ぎ…浅ましい〝本質〟を零す。
「――フフッ、フフフフハッ♪…いよいよ、いよいよ〝世界〟は動き出す!――その、〝切っ掛け〟は――」
その声色は歓喜と興奮を帯び、静かな宇宙はその声と男の動きに呼応し不気味な駆動音を発する…そんな中で――。
「――一体…〝誰〟の手から紡がれるだろうか♪」
彼の目の中には、無数の光景が広がっていた…。
〝人も味方も隔てなく蝕み殺す白蛇〟
〝人を護り、魔を鏖殺せしめた獅子の群れ〟
〝影を操り全てを噛み砕く魔狼〟
〝人と共に抗う聖鳥〟
〝智慧を授ける賢梟〟
…そして。
――『〜〜♪〜〜♪』――
御機嫌に鼻歌を歌いながら…その姿を無数の〝獣〟のカタチに象る…邪悪な魔物の姿が…時計頭の彼…〝案内人〟の目には映っていた。




