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獣の宴も酣に

どうも、作者の泥陀羅没地に御座います。


最終話君ちゃん、ドコ?…ココ?…。


次が今章の最終話になる筈、多分きっと恐らくメイビー…次回を、待て!

――ドゴオォォォォンッ!――


静まり返った戦場に響く破壊音、ドス黒い魔力の熱と衝撃が、重厚な木で作り上げられた門を崩壊させる…。


『……』


その一手は、先程まで戦勝ムードだった人間と、聖獣達に大きな呆然を齎し。


『……』


形勢逆転により、諦めの空気で満ちていた魔物達の目を釘付けにした。


1秒、2秒、3秒…数秒の間、人も魔物も皆が爆発で立ち登る煙と、崩れ落ちる門の破片…大きな穴を空けた壁面を凝視する…そして。


《イベント終了まで、残り30分を切りました!》


この饗宴を催した世界の声が、驚きと非現実に満ち…停止した戦場を再び動かした。


『『『ウオォォォォォッ!!!』』』


その瞬間、魔物達が雄叫びを上げ我が、俺が先だと言わんばかりの全力疾走を開始する。


「ッ――総員撃て、撃てッ、絶対に奴等を村に近付けるなァ!」

「聖獣様、助けてくれ!」


「ウッソだろオイッ、なんつー自爆だよ!?」

「んな事より行くぞ、このままじゃ折角助けた村人が全滅だ!」


それと同時に、瓦解した優勢を立て直さんと人と聖獣達が魔物達へと立ち向かう。


朝日が昇る少し前、最も闇が深くなる〝黎明〟に…人は未曾有の危機に直面し、魔物は饗宴の贄にありつく好機を与えられた。


辛うじて保っていた〝戦場〟の形は、この一手により崩れ去り…〝殺戮と同士討ち、裏切りと殉職〟の入り乱れる混沌の〝乱戦〟が…幕を開ける…その〝元凶〟は…。


『うっは〜…デスペナルティ〝5分〟!?――流石に重いなぁ…!』


現世と黄泉の間から、饗宴の盛況を眺め…ほくそ笑んでいたのだった。



●○●○●○


「――やってくれたなあの女ッ!」


アークは口に広がる苦い思いを吐き捨てながら、自らの死をも恐れず矢の雨を突貫する魔物達を見て、焦りを口にする。


(このまま行けば、あの女が復活する…あの女に標的を絞ると他の魔物への攻撃が手薄になって押し負ける…〝此方側〟のプレイヤーが少ない以上、プレイヤー同士での戦いは圧倒的に不利だッ)


思考を高速で巡らせながら、アークは自身の残り少ない魔力を見る。


(魔力が足りない…戦局が加速した所為で人間達の攻撃が増えた影響か…!)


先程までの、緩やかな〝抑制射撃〟と違い、今は射れば次を、そのまた次をと矢継ぎ早に繰り出し、〝決死の行軍〟に抗っている…当然、その変化によってリソースの消費は爆発的に増加し…人類のリソースが底を尽きかけ始めていた。


「どうする…僕…!」


アークは考える…現行の場で最も強いだろう己が主導せねば負けると、理解している為に。


「――一度死んで魔力を全快に…いや、駄目か…!」


アークはそう言い、自身の死とその復活までの間を確認する…其処に有ったのは〝デスペナルティ10分〟の表示…その表示を見た瞬間、自死による肉体の一新を諦める。


「なら、残る魔力で戦いを引き延ばすしか…」

(この中で〝魔術〟を使えるのは僕だけ…どうにか他プレイヤーから魔力を貰いたいけど…違う属性の魔力から魔力を貰うのは効率が悪い…!)


考えれば考える程、絶体絶命に近付くこの状況で…アークの思慮が煮詰まりつつある…その影響か、人類の士気が低迷し始め…皆の顔に恐怖が宿り始める…。


「考えろ…何か…無いか…」


そうして考える事数分…ジリジリと戦端が迫る中…アークが呟く。


「〝全員を助ける〟…方法は――」


その言葉は、別に誰かへ紡いだ訳では無い…ただ焦りからアークが口に出した、それだけの言葉だった…だが。


「――〝残念〟…〝考え過ぎた〟わね…〝アーク〟」


その聖鳥アークの独り言に返答したのは…この場で最も危険な〝魔物〟――。


「ッ――!?」

「――フフッ♪」


赤黒い血のようなスライムの姿だった。


――ビュンッ!――


いつの間にか塀の上に居たスライムが、触手を撓らせて獲物を狙う…だが、その狙いは空を舞う聖鳥では無く――。


――ザン、ザザザンッ!――


塀の上、櫓の上から獣達を抑えていた〝人間達〟へと振るわれたのだった。


「〝マオ・ディザイア〟…!」



○●○●○●


《レベルが上がりました!》


「なッ!?――お前…!」

「あら?…何か言いたい事でも?――〝人類の味方〟さん?」


私は、首を斬りつけ地面に倒れる人間へと歩み寄りながらアークへ問い返す…その目の奥に深々と根付く感情から、言いたいことは理解出来るけどね。


「ッ…クソッ…!」


私の問いに、アークは悪態をつき羽撃く…きっと〝羽の刃〟を降らせる腹積もりなのだろう…しかし。


「あら、良いのかしらMr.アーク…〝人間への支援〟を切って、自分の攻撃に使っても?」


私がそう言うと、アークの身体が固まり…アークが私を凝視する…どうやら、気付かれているとは思いもしなかったらしい。


「そりゃあ、ずっと見ていたもの…分かるわよ、貴方…〝同時に複数の魔術〟は使えないわよね?…私は試した事ないけれど、少なくとも貴方が今は、人間への付与に力を割いていること…その状態では私に強化した〝翼〟の攻撃を使うことが出来ない事くらい推測出来るわよ」


――ドスッ!――


「ガァッ…ァッ…!?」

「止めろ…!」


苦悶に人間の顔が歪む…その顔に、アークが私を睨み付け、そう告げる…止めろ、ですって?


――ドスドスッ!――


彼の言葉に、私は更に周囲の人の腹を貫く…まさか、この期に及んでただの〝お願い〟なんて。


「――要求を受け入れる道理が無いわね、何処かの誰かさんは不可侵を破ってくれた訳だし」

「……報復のつもりか?」

「アハハッ、まさか…と、言いたい所だけど、どうかしらね…3割はそんな思いもあるかも知れないけれど…でも、一番の理由はね?」


私の言葉に怖い顔をして問うアークの姿に、私は湧き出す愉悦に口端を緩めながら…彼へ告げる。


「――私は…貴方を〝殺したい〟の…〝アーク〟…貴方の生命が欲しい♪」

「…〝人質〟のつもりか」


私がそう言うと、逡巡するアークは推測を私へ告げる…しかし、残念だけれどそうじゃない。


――ドスッ!――


《レベルが、上がりました!》

《最大レベルに到達しました、〝進化〟を行いますか?》


「――頭が硬いわねぇ、アーク…それでも魔術師なの?…もっと柔らかく物事を考えなさいよ」

「何?…」

「此処で私と貴方が戦って、貴方にメリットは有るのかしら?…私にリソースを割けば必然、前線は瓦解し、村は壊滅する…運が良ければ生き残りが何人か残るでしょうけど…大半は確実に死ぬわよね?」

「…」

「――私の言いたい事…〝分かる〟わよね?」


私がそう言うと…アークは再び目を閉じる…それから数秒は、葛藤に顔を顰めていたが…遂に、この状況に両手を挙げ…私を見る。


「――〝取引〟を…結びたい…と?」

「その通り♪」


その問いに…私はそう頷き…彼を見返した…。

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