正邪の分岐と獣の選択
どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地に御座います。
遅くなっての投稿、短くて申し訳無い。
代わりに次話の今章の最終話(予定)は少し長めの物を執筆するので少々お待ちを。
――パチッ――
――死んだ、呆気なく…いや、この世界に来てから殆どの敗北は呆気のない物だったが…それにしても、今回の死はソレ等と遜色無いほどに、呆気なく死んだ。
「ハァァ…何あの物量…卑怯でしょ…!」
恨み骨髄とあの忌々しい白鳥の彼の姿を脳裏に浮かべ、そう呪詛を紡ぐ…あの男の、あの薄ら笑いの顔!――アレを思い出すだけで湿気た炭の様な心から沸々と憤怒の熱が滲み出す様な気さえする。
「ソレもコレも〝アナタ等〟の所為かしら?」
起き上がり、頭を振りながら私は何とか感情の唸りを静めると、その視線を私の先に居る〝二つ〟へ向ける。
『汝に問おう』
『〝力〟が…欲しいか?』
其処は…と言うより、この世界は私の居る世界とは少し違う世界…何方かと言えば〝案内人〟の居たあの場所に近い雰囲気を纏わせる殺風景な黒と白の色彩の暴力…陰陽印の方がまだ見応えのある黒白の比率である。
「力?――それはまぁ、欲しいは欲しいわよ…コレでも最強の魔物を目指してるんだから、それよりアナタ達は誰?――と言うか〝何?〟…マトモな生き物じゃ無いわよね?」
そんな黒と白が暴力的な拡張と衝突を繰り広げる世界で、不親切にも同系色の中に佇み、同化する〝黒と白の何か〟に、私はそう答える…すると。
『我は〝恵みの祝福〟也、此の世の均衡を保つ調停の力也』
『我は〝混沌の穢れ〟也、此の世の均衡を砕く破壊の力也、』
「そう…私の名前は…必要なさそうね…この状況で私の前に現れた事を察すると…貴方達の何方かが、私に力をくれるって認識で良いのかしら?」
『『然り、彼方の獣よ…選ぶが良い』』
二つの〝力〟が、私へそう選択を求める。
(コレがあの〝黒いオーラ〟と〝白い魔力〟の原因…だとするなら)
思考と共に、私は分岐路を選択する。
―――カツッ…カツッ…カツッ…――
選んだのは…〝黒の道〟だった。
「――アナタ、あの〝白い魔力〟を打ち消せるの?」
『然り』
「なら、アナタにするわ――私に力を寄越しなさい」
『――良かろう』
私がそう言うと、黒の力が白を染め上げる…真っ暗な霧に包まれたように、私の周囲は黒で満たされていた。
『――彼方の獣よ、善と悪の境に在りし者よ…汝の選択を祝福しよう、新たな〝同胞〟を、我等は受け入れよう』
そんな暗闇の中で、私の目の前に居た〝ソレ〟は、淡々と…しかし悪意と嘲笑を込めた物言いで私に告げる。
『壊すが良い、人を、生命を、世界を…呪うが良い、世を、魂を、理を…邪に生きるがよい、その魂が黒く黒く染まった時…汝は〝世を滅ぼす厄災〟と成らん…精々励めよ、〝マオ・ディザイア〟』
「はいはい、精々好きにやらせてもらうわよー…御託は良いからさっさと寄越せ」
私がそう言うと、黒い空間が鳴動し…私の身体を黒が這い回る。
《新たな【称号】を獲得、〈穢れの獣〉を獲得しました!》
――――――
〈穢れの獣〉 レア度☆☆★★★
自ら望んで魔に堕ちた獣に与えられる称号。
効果1:自身に〈悪性〉の性質を付与する、夜間のステータスが大幅に上昇。
効果2:〈善性〉の性質を持つ生命への攻撃力が上昇。
――邪に堕ちし獣よ、生命を屠れ、喰らい、引き裂き穢れを纏え…闇の中に生きるには、汝は未だ眩し過ぎる――
――――――
――ドクンッ――
暗闇が私を独りにする…目の前にいた〝ソレ〟は既に消え…それと同時に空間全域が鳴動し、私の意識を引き上げる…。
――パチッ――
次に目覚めれば…其処は、何処かの洞穴だった…。
「ッ――呆けてる時間は無いわね…!」
意識を取り戻した瞬間、私は大地を駆け抜け…木々を触手で飛び回る。
「イベント終了まで、後30分…」
―――――
【マオ・ディザイア】 〈性質/悪性〉
【マーダースライム】LV18/20
HP:1150/1150
MP:1200/1200
満腹:147%
筋力:E(F+)
速力:F+(F−)
物耐:E−(F)
魔耐:F(G+)
知力:Eー(F)
信仰:G+(G−)
器用:F+(F−)
幸運:F―(G)
【能力】
〈再生〉LV4、〈変形〉LV2、〈生存強化〉LV5、〈突進〉LV4、〈跳躍〉LV6、〈雑食〉LV7、〈模倣〉LV2
【称号】
〈兎狩り〉、〈小鬼狩り〉、〈野蛮な獣〉、〈貪食〉、〈穢れの獣〉
――――――
――――――
【獣達の饗宴】
獲得ポイント:633p
――――――
「後もう少しでレベルは最大…このまま魔物狩りを続けても良いけど――」
遠くに目を向ける…少し離れた場所から響く、人の〝決死の攻撃〟…響き渡る獣たちの悲鳴…形成は完全に逆転し、今や〝白〟が辺りに拡がりつつある。
「――このまま〝出し抜かれたまま〟で、終わる訳には行かないわよね♪」
空を羽撃くアークの姿を捉え…私は、アークに出し抜かれたあの忌々しい記憶を思い出す。
「――周囲に魔力を分け与えて…随分と余裕じゃない」
――ガサッ!――
開けた草原に飛び出し、周囲の魔物達を足場に…私は突貫する…。
「――でも、その分…〝守り〟は手薄よね?」
その姿をアークは確かに捉える…再度の〝集中砲火〟を指示したのだろう、先程と同じ魔力の昂りと共に…空を大量の〝矢〟が埋め尽くした…。
既視感、同じ光景だ…このままでは先程の二の舞だろう…〝魔力壁〟モドキも、大した足止めにはならない。
「――良いわよ〝死んであげる〟」
その上で…私が選んだ選択は…この、形成逆転を果たした戦局に…大きな混沌を呼び込む一手と成った…。




