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穢れたる障りの邪気

どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地に御座います。


またも夜更けに投稿をば…しかし、早くも前書きに書き連ねる事が減って来た…いや、別に前書きが必ず必要って訳ではないでしょうが…。


さておき、本編へどぞ!

「弾かれた――」


――――――

【ラッセル】

【鋭牙猪】10/20

HP:1200/1500

MP:450/500

――――――


「――訳じゃないみたいね」


凄まじい速度で迫る猪を、寸前で回避しながら…私は考える。


(明らかにステータスが〝強化〟されてる…〈能力〉の類…の可能性は無いわね)


周囲を見渡す…この猪が先駆けとなった影響か…それともソレは関係ないのか…周囲の獣達が続々と〝黒いオーラ〟を纏い始め…周囲の〝生き残り〟達を狩り始める。


「な、何だ…此奴等、急に強く…!?」

「……」

(アークには〝着いてない〟?…アークだけじゃなく、他の子達も着いてない子が少ないけど居るわね)


――ブルンッ、ブルルンッ!――


考えを纏めながら、単調に突撃を続ける猪を避ける…やはり、この猪には〝赤黒いオーラ〟が纏わり付いている。


「チッ、避けんなや!」

「生憎だけど、私は単純な攻撃に当たってあげるほど御人好しじゃないの」

「――はぁん?…そうかよ、なら――」


適当に彼にそう答えていると…彼の視線から、そんな嘲笑を感じる…次の瞬間。


――バサッ!――


迫る羽音に、私は全身から鋭い棘を突き出し…〝ソレ〟に迎撃する。


「グッ…何で気付いた…!?」

「――恨むんなら馬鹿なトモダチを恨みなさいな」


黒い闇に同化していた鴉の翼をもぎ取り、首を跳ね飛ばすと…ソレの死骸からはあの赤黒いオーラが立ち込め始める。


「――ねぇ、このオーラは何かしら?…貴方、何か知らない?」


そのオーラと死骸を見ながら、私は目の前に居る彼へそう問う…しかし、当然彼はその問いに答えるはずもなく。


「チッ、知らねぇなぁ!?」


そう返しながら、再度私に突貫する…知らない、その返答は予想の内の物ではあった…しかし。


「そう、なら貴方で調べさせてもらうわね」


私はその返しにそう紡ぎ、回避と同時に彼の肌を触手の刃で切り裂く。


――ザシュッ――


しかし、本来ならば深々と傷口を拡げられた筈の一撃は、その想定の半分も行かない程の深さで止まり、猪に深手を与えるには至らない。


「硬いわね――〝ステータスの大幅な強化〟…主な効能はそれだけかしら?」

「グッ――オォラッ!」


猪の彼も学習したのだろう、突撃すると見せ掛けて減速し、反り返った牙で私を突き殺そうとする。


――ギリィンッ!――


その新しい一手に、私は体の一部を硬い膜で多い防御とする…けれど。


――バキッ!――


「ッ!?――硬ぇ…!?」

「グッ…防げた…けど…!」

(火力も段違いッ…でも、ソレは想定内…全体のステータスが上がってる以上火力の増加も想定済み…重要なのは、攻撃に耐え得るか否か…!)


その結晶は、相手の牙の一突きに耐え切れず砕け…私の身体を少し貫く。


「――良し、牙の一撃は耐えられる…突進以外は問題なさそうね」

(だったら考えろ私…この〝オーラ〟の正体、絡繰りを…)


周囲を見る…其処には無数のオーラに包まれた魔物…そして人、オーラに染まっていない魔物。


(〝纏う魔物〟と〝纏わない魔物〟の違いは何?)


単調な攻撃を交わしながら私と同じ〝健常な魔物〟を観察する…種族の差異は当然、しかしソレは〝オーラ持ち〟にも同じ事が言える。


「種族そのものは問題じゃない、レベル差も関係無い…私達と、彼等の違い…」


ソレに加え、オーラの出処を観察する…。


「――〝地面〟…いや…」


其処には、赤い生命のスープを啜る大地と…その上に浮かぶ死肉の袋…その山が至る所に転がっていた。


「――〝死体〟」


推理と言う連想ゲームから、ピースを拾う…それはこじつけの様でもあり、尤もらしい理屈を持った嘘か真かあやふやな〝推論〟――〝私達〟と…〝彼等〟の違い…それは――。


「〝死の経験〟の有無…かしら?」


このイベントで〝生き残っていた〟か否か…だ。


「――確かめて見る?」


思考の末、ポツリと口に出したのも束の間…私はソレに首を振る。


「いや、無しね…仮に〝そう〟だとして…この〝強化〟にどんなデメリットがあるか分からないもの」

(力が手に入るのは魅力だけど、そのためだけに態々生命を投げ出すのは馬鹿らしいわね)


幸いな事に、この程度の障害なら倒せない事も無いし…♪


「――うん、もう良いわ…貴方から搾り取れる情報はもう無さそうだし――」


――ビュンッ!――


「――死んでくれる?」

「グハッ!?」


再びの突進と牙を躱し…その横腹に触手の槍を撃ち込む、2本、3本、4本と…それはやはり、致命傷には成り得ないけれど…。


――ボトボトボトッ――


〝塵も積もれば何とやら〟…である。


「――〝殺せない〟訳じゃないなら、貴方に負ける道理がない♪」

「ゴホッゴホッ!?――クソッ…!」


私は…目の前で血の塊を吐き捨てる彼にそう言うと…彼が体勢を立て直すより早く、彼に襲い掛かる…その裏で起きる。


――パキッ、パキパキッ――


「……」


〝護る者〟達の変化にも、気付く事無く。



●○●○●○


無辜の人々が、血を流していた。


弱き人々が…魔物の脅威に晒されていた…。


僕が奮い立つには、それだけで十分だった…いや、或いは打算が有ったのかも知れないし――。


『アナタ、〝名前〟は?』


或いは…何時かの時、この世界のある少女に、目を焼かれてしまったのかも知れない。


そのどれが本心なのかを考える事に意味はない…ただ、僕は〝人を守る魔物〟であり、〝魔物の敵対者〟である事だけが重要だからだ…。


「とは、言え…コレは〝不味い〟ね…」


今し方押し倒し、凶弾から救った人から離れ…空の上から状況を推し量る…大地には〝異様な魔物〟で溢れかえっていた。


「――この空気、この〝力〟…間違いなく〝瘴気〟の類だ」


それはかつて見た〝災い〟…不浄の力類するモノ、生命を脅かす毒の魔力…ソレが魔物へと注がれ、その力を押し上げている。


「浄化…は、この村には聖職者は居ないか…せめて、次の進化まで持っていければ〈浄化〉の目処が立ったのに…!」


現行の状況ハかなり〝人間〟に不利に傾いている…何せ瘴気への対抗策が少なく、且つ戦力でも此方は分が悪いのだから…。


「彼女が〝連中〟の相手に夢中になってくれてるのは、此方にとっては都合が良い」


眼下で恐ろしい程の大立ち回りを見せる彼女に目を向ける…瘴気を纏わず、純粋な暴力で渡り合える彼女に…敬意さえ感じる程だ。


「彼女を利用しつつ、戦うしか無いか…!」


そう思考を整理し…僕が腹を括り…瘴気の怪物達に飛び込もうとした…その時。


「――〝聖獣〟様!」


ふと…人間の呼び声が、僕の耳に届いた。

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