砂の中に潜むのは、潮干に狩られし復讐者
本日の投稿です。
前書きに何か書こうとしたけど書けなかった…あると思います。
――ボコッボコボコボコッ――
「ッ――しまった下だ!」
一人の男が、地面に浮かぶ〝小さな隆起〟の群れに、そう叫ぶ。
――バサッ!――
その刹那、そんな男の警告を嘲り笑うが如く、隆起した砂はポコポコと音を立て、そしてある〝一つ〟が…砂を撒き散らしたのを皮切りに――。
――バチンッバチンッバチンッバチンッ――
「「「ギャァァァッ!?!?!?」」」
「「「えぇ……何アレェ…?」」」
大量の〝貝類〟が、その強烈な双口で領域内に留まっていたプレイヤー達を、一切の区別無く鏖殺せしめた…その光景を、私達は遠巻きに眺めていた。
――――――
【無し】
【群罠貝】LV28
HP:3800/3800
MP:2800/2800
筋力:C−
速力:G
器用:G
物耐:D
魔耐:D
信仰:G
幸運:G
【能力】
〈指揮〉LV8/10、〈罠術〉LV8/10、〈気配察知〉LV4/10
〈気配隠蔽〉LV9/10
【称号】
〈潮干の復讐者〉
――――――
「貝って砂浜から飛び出したりすんだなぁ…」
「見たかよ今の…完全に退路封じた状態で動き出してたぞアレ…ドン引きなんだけど…」
「絵面がトンチキ過ぎるわね…」
――パキッパキッ!――
私達はそんな風に言葉を交わしながら其々武器を構えると…ドルがウェズに語り掛ける。
「――一々掘り返すのも面倒だ、ウェズ…お前は貝共巻き上げてくれよ」
「オケ、一発で何体割れるか賭けるか?」
「良いねぇ、そんじゃ俺は〝全狩り〟ベッドな♪」
「んじゃ俺7割以下で♪――お姉さんは?」
「ん…そうねぇ…〝7割以上9割以下〟でどう?」
「オッケ、完全に票数バラけたな…そんじゃ掛け金は?」
「10万zで」
「「乗った!」」
そして、即席で始まったギャンブルにドルは深呼吸をして集中し、ウェズが翼を広げて合図を待つ…私は、二人から賭け金を預かり…〝合図〟の役に付く。
「?…何してんだアンタ等――」
「静かに、今良い所なの♪」
そんな私達の様子に他のプレイヤー達が近付いてくるのを適当に〝散らし〟ながら…私は、〝ドルの様子〟をジッと見る。
(魔力の質も高く、フィジカルも頑強…あの構え…何か格闘技の心得が有るのかしら?)
ウェズもそうだったけれど、見た目に反してこの二人は〝堅実な強さ〟が備わっている…型に嵌まった〝堅い技術〟…立ち姿だけで、感じ取れる〝強者〟の気配――。
――ジュルッ――
「ッ……フフッ♪」
……〝堪らない〟わね♪。
そんな風にドルの精神統一を待っていると…機が熟したのか、ドルの身体からは自身の周囲に制限された魔力の奔流が纏わりつき…ソレが〝ドルの肉体〟を強化する。
「オーケー…〝準備完了〟…〝何時でも〟やってやんよ…!」
その言葉に私達も視線を交わし、〝構える〟…微風が髪を撫でつけ…潮の香りが風に乗る…次第に風の音が和らぎ、弱く細くなっていくのを限界まで感じ取りながら…完全な静寂とさざ波の音色だけが場を満たすのを待つ……そして。
――ヒュウゥゥゥ……ッ――
「〝ウェズ〟!」
「ッ!」
完全に〝風〟が消えた瞬間、私はウェズに合図を送り…瞬間、ウェズの翼に大きな魔力が集まると、ドルは大地に力強く蹴りを放った。
「〝旋風〟!」
ドルの直進とほぼ同時にウェズの翼が羽搏き…魔力を含んだ風が地面を吹き飛ばし、砂とその中に潜む罠貝達を巻き上げる。
「――〝縮地〟」
ソレが巻き上げられた瞬間、ドルの姿が掻き消え…巻き上げられた貝の群れの真ん中に、一瞬で移動したような〝動き〟を見せる。
(一瞬で距離を詰めた…〝短距離移動〟の能力、間合いを詰めるのに便利ね)
そして、巻き上げられた貝達が…陽光に照らされ白々しく輝き、舞い上がる砂の中から己の存在を強調した時…ドルの顔が凶暴に〝嗤う〟…。
「――フンッ!」
――ドドドドドドドッ!――
その瞬間、目にも止まらない速さでドルの拳が白々しい貝の殻を打ち砕く。
――ドドドドドドドッ――
――バキバキバキバキバキッ――
その動きは、私の目から見ても凄まじく…まるで腕の残像が阿修羅の如くドルの身体に生え…罠貝達の堅固な殻を容易く打ち砕く様には、見惚れる程の技量と身のこなしが詰まっていた。
その間僅か10秒にも満たずして…ドルは舞い散る砂と貝の破片を振り払い私達を見る…。
「ヘヘッ、どーよ…〝全殺〟だぜ?…賭けは俺の勝ちだな姉さん、ウェズ!」
「チッ…んだよ、姉さんが居るから張り切りやがって」
「テメェもだろうがウェズ!」
その光景にウェズは舌打ちし…私は、ドルへ賭け金を手渡しながら…二人へ言う。
「二人共…〝凄く強い〟わね?」
「「だろ!」」
「えぇ……〝もっと見たくなってきた〟わ♪」
私がそう言うと、二人はその言葉に上機嫌になり…私に言う。
「だったらもっと強い奴を探しに行こうぜ!」
「確かこっから先にデケェ洞窟が有るらしいし、其処ならもっと強いエネミーが居るんじゃね!?」
「良いわね♪…私もそろそろ〝戦いたくなってきた〟し…行きましょうか…〝大洞窟〟」
「「さんせーい!!!」」
その提案に私は承諾し…彼等の案内を受けながら…〝大洞窟〟なるエリアへと向かう…。
「…」
――チャプンッ――
道中感じる…〝何か〟の視線に、小さな疑問を思い浮かべながら…。
●○●○●○
――カチャン…カチャン…カチャン…――
「ッ…不味いわカルロ、もうそろそろ光源魔道具の魔石が切れる」
「ッ何?…もうなのか?……ついさっき付け換えたばかりだろう?」
大洞窟を、数人の調査員らしき風貌の者達が練り歩く…彼等は〝調査隊〟…正式な名は無く、ただ志同じくする聖獣、魔獣で寄り合い、知識を共有し、世界の謎、新たな力を解き明かす〝無名の探求者〟…プレイヤーは彼等を指して〝調査隊〟と呼び…何時しか、彼等は自身をそう呼称する様になった。
そんな調査隊達が練り歩くのは、浜辺を進んだ先…無数の魑魅魍魎達が蔓延る砂浜を越えた先にある〝青い海と喰らい闇が広がる大洞窟〟…その広さは広大で…彼等は上下左右に入り乱れた立体構造の迷路を進み、飛び、這って…〝エリアの詳細な地図〟を作り上げようとしていた。
――カチャッ――
「ッ…えぇ…確かにその筈よ…低級魔石…3時間は最大出力でも使用できる筈なのに…1時間も保っていない…明らかに〝異様〟よね、コレ」
「ッ…〝魔力を吸収する性質〟でもあるのかも知れんな…コレも検証要項に追加しておこう」
「現時点で大洞窟の規模は不明…加えてこの暗さだ…1度帰投するのが良いだろう」
そんな彼等の多くは突然のアクシデントと、現状の物資の兼ね合いで、1度撤退しようと全員へ提案する…その提案を拒否する程彼等は偏執的ではなかったのだろう…皆大人しくその提案を受け入れて帰ろうと目印を置いて立ち去ろうとする…。
『――』
そんな彼等を、真っ暗で先すら見えない暗がりの中から…じっと見つめる〝何か〟が居た。
因みにチャラ男二人と主人公はパーティーを組んでいません…イベント期間中はイベントボーナスでパーティープレイ中に手に入るイベント素材が増えるんですが、何故か主人公はパーティーを組まなかった様子…。
何ででしょうねぇ?




