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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第六章:人魚の恋は泡沫のように
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夏と島と海牛

本日遅めの投稿です、あい…すみません。


明日はきっと、早めに投稿出来るはず…!

――カッ!――


《〝イベントエリア〟――〈夏遊島サマーバケーション・アイランドイースリス〉へ到着しました!》

《第2イベント〈常夏遊島・イースリス大冒険〉をお楽しみ下さい!》


「ッ――暑いわね」


其処は一種の〝廃村〟…照り付ける陽光、飛沫を上げて揺れる青い波飛沫と…周囲には同じくプレイヤーらしき存在が、己等の身体を確かめ合い…其々に待ち合わせの場所へ向かい、或いはまだ見ぬ探索の世界に衝動を堪えきれず飛び出していた。


『ワイワイガヤガヤ』

「(ジ〜)…」


――ブンッ――


『此処は中立エリアです、プレイヤーへの攻撃は出来ません!』

「…チッ」


脳裏に響くそのアナウンスと共に、私の身体は硬直する…此処ではプレイヤー同士の殺し合いは不可能らしい。


「わ、お姉さん綺麗ッスねー!」

「俺達と遊ばないッスか?」


そんな風に、自身の置かれた状況を確認していると…不意に私の目の前に二人組の男が現れる。


「…ふむ……プレイヤー表示は有るけど聖獣と魔獣の区別は無い…諍いを防ぐ為かしら」

「ちょいちょいちょいッ、話し掛けてんのに無視は酷くねー!?」

「そうそう、俺達別に怪しくねぇって!」


ソレを無視して村の外に出ようとするも…その二人組はそう軽薄な言葉を重ねて私へ追いすがる…どうやら、他の人間と話している…と言うわけではないようだ…面倒ね。


「生憎、私はソロ専だから他を当たりなさい」

「え〜良いじゃ〜ん、ちょっとくらい付き合ってよお姉さ〜ん」

「そ〜そ〜、こう見えて俺達結構強いんだぜ〜?…もうすぐレベル〝50〟に成る上位ランカー何だぜ?…友達になった方が得だって!」


私が拒否の言葉を紡ぐも、二人のチャラ男共は意にも介さず、馴れ馴れしく私に触れる…成る程、ただ触れるだけなら問題無いのね…〝攻撃行為〟そのものが駄目なのか…そんな些細な発見は兎も角、目の前の〝コレ〟をどうしようかしら…。


「ハァ…上位ランカーねぇ…本当に強いんでしょうね?」

「へへ、ソイツぁ見てからのお楽しみよ!――ってことは俺達に付いてくるって事で良いの?」

「えぇ、まぁ……ちょっとだけなら〝遊んであげる〟」

「「よっしゃぁ!」」


考えた末、面倒になり承諾すると二人は互いに手を叩き…テンションの高い、馴れ馴れしい仕草で私を真ん中に進む。


「ソレじゃ海に行こうぜ!」

「イベントエネミーがどんな奴か早速確認しようぜ!」


そうして、私はナンパ男に連れられて〝海のエリア〟へと足を運ぶ事になるのだった。




〜〜〜〜〜〜〜




――ザァァッ…ザァァッ…――


「「うっひょ〜!――ガチで海じゃ〜ん!」」


廃村を出て暫く進めば、拓けた〝海辺〟へと辿り着く…其処には既に何人もの〝プレイヤー〟が人の姿のまま、或いは獣の姿に立ち返り、海辺を駆け抜けていた。


「やっべぇ、匂いもガチで海の匂いだわ、テンション上がる〜!」

「うっわ彼処の娘超可愛い!」


二人はそう口々に言葉を紡ぎ、忙しなく周囲を見渡す…確かに、夏のイベントと言うことも有ってか軽装…〝水着〟の装いをしたプレイヤーが多いが…それだけじゃ無いらしい。


「ッと…〝来た〟ぜ、〝敵襲〟だ!」


私が〝周囲の人間〟に視線を配っていると不意にチャラ男の一人がそう言い構える、それからほんの一瞬遅れてもう片方も戦闘隊形を取り…一人はその身体に翼と鳥の脚を、もう一人は狼の耳に鋭い爪を携え、〝敵意の主〟を見やる。


(へぇ…思ったより〝動ける〟わね…確かに、上位ランカーって言うのは間違いじゃ無さそうかな?)


そんな二人を観察しつつ、私もその手に得物の鉄槍を握り、敵意の先へ視線を向けると…其処に居た、この島に来て初めての〝敵モンスター〟を視界に収める…。


――ズリ…ズリ…ズリ…――


其処に居たのは、私達の半分は有ろうかと言うサイズの、〝ウミウシ〟だった。


『……』


――――――

【無し】

塩吐き海牛(ソルト・スラッグ)】LV18/20

HP:2300/2300

MP:1100/1100


筋力:F

速力:G

器用:G

物耐:E+

魔耐:E−

知力:G−

信仰:G−

幸運:G


【能力】

〈乾燥硬化〉、〈吸水遊泳〉、〈塩吐き〉


【称号】

〈無し〉


――――――


(レベルは低いわね…まぁ、序盤エリアの雑魚エネミーならこんな物か)


敵の能力を一瞥してそう言うと、私は槍をインベントリに放り込み…二人へ言う。


「それじゃあ、何方か〝アレ〟を倒してみて」

「オッケー!――おいドル!…コイツは俺が貰うぜ?」

「――しゃあねぇなぁ、んじゃ次の敵は俺が貰うぜ?」


私がそう言うと二人は一言二言会話を挟み…それから、ドルと呼ばれた獣人の彼は、その変化を解き元の人型へと戻る…それとほぼ同時に、翼の男は大地を蹴り進み…高い機動力でウミウシに接近する。


――バサッ!――


「ッ!!!」


その物音と、高速で接近する気配に気が付いたウミウシは、ブルリと身体を震わせて…その狙いを〝翼の男〟へと決定する。


――ドブゥゥゥゥッ!――


そして、その瞬間…ウミウシの身体が大きく震えたと同時に凄まじい白黄色の砂粒…〝塩〟がウミウシから吐き出され男へ振り掛かる…その範囲は広く、男に避けるのは困難かと、傍目にはそう見えるけれど…その考えとは裏腹に、男は取り乱した様子も無く直ぐ動きを変化させる。


――ドッ!――


「ッ……〝綺麗〟…」


地面を蹴り上げて、凄まじい跳躍と共に身を捻り塩のブレスを躱す…同時に、男は翼を広げ空へ仰向けに成ると…そのまま身体を反らし、グルリと地面に頭を向ける…その軌道に思わず私がそう言葉を紡ぎ…その瞬間、男はその姿勢から発達した鳥の鋭い足をウミウシへ目掛けて振り下ろす。


――ドゴッ!――


その、ただの一撃は…洗練された動きと共に繰り出され…ウミウシの身体はべシャリと、嫌な音を立てて潰れ…その一撃によって、ウミウシとの戦いは終わりを迎えた…。


「へへっ、どうよ俺の動き…超クールっしょ?」


戦闘が終わり、男は此方へやって来て早々に私へアピールを始める…その雰囲気は相変わらずチャラく軽薄そうだったが…しかし。


「えぇ…〝格好良かった〟わよ」


先程の戦い振りは、紛うことなく〝格好いい物〟であった。


「はい、1ポイントゲット〜!」


そう言うと、彼は獣人の彼…ドルにドヤ顔でそう宣言すると、ドルはそのドヤ顔を鼻で笑いながら言い返す。


「ハッ、次は俺の番だからなウェズ!――お姉さんも見ててくれよ?」

「えぇ…貴方の戦い振りも期待してるわね」


そう言うとドルと翼の彼、ウェズは私を挟み…海辺の更なる奥へと歩を進め…〝敵〟を求めて彷徨うのだった。

イベント早々主人公がチャラ男にナンパされてしまう展開…主人公美人(設定)だからね、仕方ないね…。

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― 新着の感想 ―
背後から襲って嬲り殺しにする展開が約束されているような気がしますが、逆に助ける展開が恐怖とともにあってもよいと思います。
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