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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第六章:人魚の恋は泡沫のように
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魔法店からの依頼

遅れ馳せながらの投稿です、ねむ…すや…。


新章はある程度の枠は決まってるんですが…さて、形にしていく過程でどう変わるやら…それなりに長めの物を掛けたら良いなと思いつつ、新章の幕開けと行きましょう!

――ギュム…ギュム…ギュム…ギュム…――


曇天の高原は最早泡沫の幻の様に、私の背からも消え去った…有るのは一面の白、白、白…何処を取っても真っ白な大地…空には青と、時折太陽を閉ざす雲集りが気ままに風に揺られ、この白銀世界で…私唯一人が、其処に立っていた…。


「……スゥゥゥゥゥッ―」


一息吸い込めば、内燃した空気は外気の凍える冷気を取り込み…生き物が生き物である為の〝熱〟を奪う…心地良ささえも感じるその冷気が快感を齎すのはほんの一瞬だけであり…心地良さを超過した寒気はその瞬間〝人を模しただけの粘液〟を急速に凍結させ…私は霜が着き離れない身体の奥底から…〝その一言〟を吐き捨てる。


「さっっっっっっむい!!!」


――ピキーンッ――


訃報、マオ・ディザイア―――雪原の大地に敗れ、氷像と化す。



〜〜〜〜〜〜


「――と、言うのを通算3度繰り返し…敢え無く退散した…と」


回想を終え、私はカウンターで商品を磨く〝トレーダー〟の言葉に、空になったグラスを置き…カウンターにもたれ掛かる。


「そう!――はぁぁぁッ…此方は今直ぐにでもレベリングが必要だって言うのに悪戯に時間と命を浪費してるだけだもの…対策が練れないと第四エリアの踏破すら難しいわ…」


――ニョニョニョニョッ――


未成年故に、当然酒は入っていない…しかし私はアルコールに脳を支配された酔っ払いの様に、自身の触手でトレーダーにだる絡みしながら、愚痴を垂れる…つまるところただの〝八つ当たり〟だ。


「――そういう訳で、〝対策①〟…〝耐寒装備〟を手に入れよう!…と言うわけで、早速装備を頂戴な♪」

「合計8000万zに成ります♪」

「高いッ!!!」


流れる様に取引を始め、これまた流れる様に取引は破綻し…私はその身体を溶かす。


「何で耐寒装備がそんなに高いのよ…!」

「〝耐寒〟だけならば、安上がりな装備でも可能ですよ?…〝民間人用の耐寒装備〟も取り扱っておりますし…〝環境性能〟だけでみれば、望み通りのモノが手にはいるでしょう…無論数十万z程で――しかし、貴方様は純正の人間では無く、かつ求められるのは単純な耐寒性能だけでは無い…〝環境〟による影響を無くし…普段と同等の行動が可能+第四エリア相当の魔物を相手に矛を交え矛から身を守る頑強さを考慮すれば…自ずと目的の装備に使われる素材は、それ相応の価値を帯びるのは、成る程当然の事」

「グギギッ…ぐうの音も出ない正論ね…」


コンコンと理詰めでそう言われれば、此方としては引き下がる他に無く…私は溶けた身体を再構築しつつ…彼から追加で注がれるサービスの〝ドリンク(試作魔力ポーション・オレンジ味)〟を受け取る。


「……オレンジの皮の味ね」

「ふむ、草を磨り潰した様な従来のポーションよりは進歩ですか…試しに仕入れ先の道端で売っていた物を買ってみたのですが…売れますかね?」

「従来のポーションよりは大分マシだし、競合に取られるより先に独占販売しても良いんじゃない?――それはそうと…〝此方の本題〟は速攻で潰されちゃったし…今度は〝ソッチの用件〟を伝えてくれるかしら?」


味の感想を述べつつ私は、トレーダーへそう言うと…彼は商品を磨く手を止めて改めて私へ向き直る…そう…今私が此処にいるのは、何も私が此処に用が有っただけでは無い。


「――始めに私へ通知が来た時はビックリしたわよ、【称号】を介して連絡が取れる何て知らなかったし…システムだと思ってた〝ショップ〟から私へ連絡を寄越すなんて予想外も良い所だったわ」


懐から封の切られた手紙を取り出し…それをカウンターの明かりである蝋燭の火で燃やす。


「――えぇ、【呼び掛け】は基本的には行われない機能ですので…私自身、この場所で商いを始めて幾歳か…この機能は知りこそすれど使った事は有りませんでしたよ…えぇ」

「――そんな〝初めて〟を使った理由をお聞きしても?」


私がそう言うと、トレーダー・ナインは私の目をジッと見ながら…懐から資料を取り出しカウンターへ並べる…其処には。


「えぇ、えぇ…勿論…至極単純な話に御座います…私…トレーダー・ナインはマオ・ディザイア様にとある〝依頼〟をお願いしたいのです」

「――へぇ、依頼?」


羊皮紙にインクで書かれた依頼文と、地図を含めた幾つかの図解があった。


「はい――マオ・ディザイア様は、つい先日全プレイヤーへ発信された〝イベントの告知〟について、ご存知でしょうか?」


その言葉に記憶を掘り返せば、そんな告知がデバイスに送付されていた様な居なかった様な気がする。


「ん……あぁそういえば…ログインする前にチラッと見たわね?…なんだっけ夏イベント――〝ファンタジア・サマーバケーション〟だっけ?」


確か、チラッと見た限りでは…7月から8月の期間限定でイベント用の小島に行き来出来て、山と海のフィールドで色んなイベントが眠ってるって話だったかしら?


「えぇ、その通りです…イベントとして開かれるある小島…その〝小島〟にてマオ様には〝ある偶像〟を回収して欲しいのです」


うろ覚えに紡いだその言葉に、トレーダー・ナインはそう言うと一つの資料に記された絵を指で指し、説明を続ける。


「コレはある時この世界にて猛威を影ながら奮っていたしていた〝邪教〟の崇拜用祭具です…信者への〝精神汚染〟、〝祝福とは名ばかりの呪い〟、〝非崇拝者への呪詛〟と、存在するだけで害を呼び込む忌物でしてね…邪教が壊滅した時、砕かれた以降消失した代物なのですよ」


其処には〝蛸〟の様な不気味な頭をした触手と鱗の化物の石像が有り…見ているだけで不快になりそうなその絵を眺めつつ、彼の言葉に耳を傾ける。


「――ソレがどうやら〝この小島〟に流れ着いて来たらしく…私はどうしても〝ソレ〟を回収したい…ですのでマオ様、貴方に個人的な依頼を発行した訳に御座います。」


トレーダーはそう言うと、私の返答を待つように場所の分からない目からの視線を私へ向ける。


「う〜ん……そうねぇ」


その依頼内容を確認しながら…私は次に紡ぐべき言葉を思考し…そして、吐き出した。

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