荒野と湿地と不思議な出会い③
本日の投稿…2本目は今日中に出せたらいいなぁ、と言う感じですはい。
――ポタッ…ポタッ…ポタッ…――
「さて…それで?…君達は一体ボクに何を望むのかな?」
鍾乳洞から水滴が落ちる…その音が嫌に響く大空洞の中で…少年は岩の寝床に横になりながら2人を見据える。
「?……君がニャミィ等を此処に運んだでしょ?」
その問いに二人は顔を見合わせた後…猫娘のニャミィが困惑気味にそう言うと、少年は不思議そうに眉を曲げて二人を見る。
「???…ボクは〝喚ばれた〟から来ただけだよ?…君達がボクを喚んだんじゃないの?」
その言葉に二人は再度顔を見合わせ…それから少年の問いに首を横に振ると、少年は考える様に顎を手で擦りながら…思い出した様に言葉を吐く。
「あぁ、ひょっとしてボクが食べた〝あの死体〟が喚び主だったのかな?…お粗末な儀式とお粗末な祈りだったけど、贄の量は量だから喚び主を確認せずに来ちゃったんだよね〜…って事は君達――」
――ジッ――
「――〝ボクの喚び主を殺した〟…つまり〝部外者〟って事で良いのかな〜?」
「「ッ……!?」」
そして、二人を黄金色の瞳に収めながら紡ぐその言葉に…二人は言い知れない恐怖を覚え、身を固め冷や汗を流す…目の前のたかが少年から放たれる言い様のない不安な魔力と…少年自身が放つ〝気質〟と言うのだろうか…掴み所が無く、且つ底が知れない不気味さに二人は焦燥感に駆られ…得物に力が籠る。
「――ま、いっか〜」
しかし、そんな雰囲気と先程までの鋭い視線は一転し…少年の周りの空気が緩み空間は和やかな気配が漂い始める。
「うん…〝記録〟を読み返すと、ボクの信者って言うより〝ボクを従えようとする魔術師モドキ〟が首謀者みたいだし…〝信者〟じゃないならボクが制裁する必要も無いしね〜」
その少年の言葉に、二人は悟られないようにホッと一息安堵を吐く…少年は、そんな二人へにこやかに微笑みかけながら言葉を紡ぐ。
「まぁ、どうせ此処に来たならボクとお話でもするかい?…ボクも君達には興味が有るし」
そうしは言うと、二人へ質問は無いかと投げ掛ける…その様子にニャミィとチサトは一瞬相方を見るが、特に害意を感じないと判断すると最初にチサトが質問する。
「じゃあ…私から………アナタは、〝神様〟なの?」
チサトはそう、おずおずと…言葉を選ぶ様に質問する…そんな彼女の質問に対して少年は――。
「うん、そうだよ」
そうあっさりと認め、納得と驚愕を浮かべる二人へ捕捉するように言葉を続ける。
「ま、正規の神様じゃ無いんだけどね?…この世界における区分としては〝邪神〟に類する者ではあるかな」
少年がそう言うと、今度はニャミィが少年へ問い掛ける。
「じゃ、じゃあ神様はどんな神様なんですかニャ?」
その言葉に少年は少し考え…それからニャミィへ視線を送りながら言葉を続ける。
「う〜ん…ボクが何を出来るのか教えれば良いのかな?…この世界の魔術は一通り収めているよ、他には寿命を延ばしたりとか、加護を与えて守る事も出来るね〜…寿命に関しては君達には必要なさそうだけど」
ニャミィの質問に彼はそう答えると…それから、次は少年から彼女等へ質問…と言うよりは、〝提案〟を投げ掛けた。
「それじゃあ次はボクから質問させて貰うね?…〝彼方の獣〟……君達、ボクの〝信者〟にならない?」
●○●○●○
――ヒュウゥゥゥゥッ――
「ウオォォォォォォォッ、落ちる落ちる落ちるッ!」
一難去ってまた一難とはこの事か、俺は今…自らの選択を後悔しながら崖底へと落下していた。
(――畜生、やっとあの化物から逃れたと思ったのに、こんな所で死んでたまるかッ!!!)
――ガリガリガリガリッ――
「〝肉体変換〟――〝堅牢〟!」
――ガリガリガリ……〝ドシャァァッ!!!〟――
崖を爪で削りながら、自身のステータスを変換する…より重く、硬く…無我夢中で生きる為に足掻いていると、その甲斐あってか己は勢い良く崖底に衝突したものの、生きており…崖底からの景色を眺めながら地面に四肢を広げ…こんな目に遭わさた金獅子と、謎の蛇に悪態を吐き捨てた。
「ッ……ハァァッ、あっっっぶねぇぇ…クソが、レオナルドめ…次遭ったら絶対殺すッ……ッあと、あの蛇は何処言ったんだ?」
そう言いファニルが、よろよろと起き上がると…レオナルドの背後から急に影が差す。
「?…何だ、急に暗く――」
そうして、ファニルが振り向いたその時…己の背後にいた〝ソレ〟を見上げ…ファニルは目を見開いて固まる…何故ならば。
『……シィィィッ』
2メートルは有りそうなファニルの体躯を優に超える…凄まじい巨躯を誇る大蛇が鎌首を擡げてファニルを見下ろし…金色の瞳でファニルを捉えていたのだから。
「……OK…オーケイ…おーけいぃぃ……へい兄弟、アンタ何か勘違いしてるぜ、俺はただの迷子だ…黒い鱗の黄金色のオトモダチに呼ばれて此処に来たんだ、本当だぜ?」
『……』
「だから、その物騒な牙は閉まってくれよ…な?」
『……』
「……駄目?」
絶体絶命の状況の中、ファニルはそう言い目の前で品定めする大蛇に飄々とした軽薄そうな雰囲気で場の空気を濁らせようとする…しかし、目の前の大蛇が何も反応しないので、その額には徐々に焦りの粒が現れ…最後には、上目遣いにそう問い…身体を屈める。
微妙な沈黙が続く中…ファニルはジリジリと後退りし…大蛇が消える事を願う…しかし、そんなファニルの祈りとは裏腹に、大蛇はその目に敵意を纏いファニルに飛び掛かる。
『シャァァァッ!!!』
「畜生、やっぱり駄目かよッ!」
そして、ファニルは何度目かの絶体絶命に対してそう怒りを吐き捨てながらも何とか逃れようと背後に飛び退こうとした…その時。
「シャァァッ!!!」
不意に、一人と一匹の間に現れた黒い鱗の蛇が、威嚇の鳴き声と共にファニルのに立つ。
「ッお前…!」
その蛇の登場に、ファニルは驚きに思わずそう言い…それから慌てて其処へ目掛けて牙を剥き出しに飛び掛かった大蛇の方を見る…すると。
『ッ―――!?!?!?』
その大蛇は、目の前に現れた黒蛇に驚いた様にその場に固まり…ソレから、直ぐに牙を仕舞い黒蛇を見る。
「シャア、シャァァァッ!――シィィッ!!!」
その様は、差し詰め…〝子に怒られる親〟と言えば良いか…自身の何十分の一程の体格しか持たない〝黒蛇〟を前に、巨躯の白蛇が身を縮ませて頭を下げる…その光景にファニルの理解が追い付かず呆然とそのやり取りを見つめていると…叱責が一段落したのか、黒蛇の黄金色の瞳がファニルへ向く。
「〝シャァァッ!〟」
そして、黒蛇はファニルの側を歩き…叱責の時の鋭い威嚇音と違う、何処か明るい様な〝鳴き声〟を一つ上げると、ファニルを一瞥し…崖底の地面を這って進んでゆく…。
「付いていけば良い……のか?」
そんな黒蛇の身振り手振りにファニルはそう困惑気味に呟き…何処かしょんぼりとした巨躯の大蛇に憐れみを送りながら、黒蛇の後を着いて行くのだった。




