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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第五章:彼方の獣を誘うモノ
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荒野と湿地と不思議な出会い①

1日空けの投稿…不甲斐無い作者ですまない…泥陀羅没地どす。


いや、ホント…ただの風邪だと思ってたらインフルエンザでして…41度の発熱でブッ倒れてました…おのれ。


山場は超えて、微妙に熱は続いているものの執筆は出来そうなので投稿再会します。


今日は2本目も考えてます。

――ドドドドドドドッ――


大地が揺れる…荒れた北東の荒野の大地を砂粒が踊り、その地響きに小さな生命は皆一目散にその場から離れる…。


「ハッハッハッ!――おいおい、何で逃げるんだよ〜!!!」


地響きの〝元凶〟は…今や魔の街として、確たる地位を築きつつある【キムラヌート】の〝大樹〟が見下ろす、〝穢れ飢える荒野〟の、その中心に居た。


「――チィッ!?…クソッ、何で〝テメェ(聖獣)〟が此処に居るんだよッ、ってか追ってくんな!!!」


〝追う者〟と…〝追われる者〟として…。


「――随分と鍛えたじゃないか〝ファニル〟!…また一段進化したんだろう?――だったらオレと戦おう!」

「お断りだクソッタレッ――テメェにかまけてる暇はねぇんだよ俺はッ!」


一人と一匹はそう言って荒野を爆走する…一見コントや漫才の様に見えるソレは…しかし、実際の所は強者と強者による本気の逃走劇であり、その余波は周囲の生き物の生命を刈り取るには十分だった。


「ックッソ!――こんな所でテメェと遊んでたらカルマが上がるッ!…マジで巫山戯んなよレオナルドッ!」


ファニル…黒鱗の大蜥蜴は苛立ちを吐き捨てて…その身から魔力を解き放つ。


「〝肉体変換(ボディ・コンバート)〟――〝早駆けの蜥蜴人ランナー・リザードマン!〟」


――ボォォッ――


そして、ファニルがそう言うと…解き放たれた魔力は炎を帯び…辺り一帯を焼き尽くす…その炎を前にレオナルドは足を止める、己の得物を抜き放つ。


「目眩ましか!?――だが甘いッ!」


――グォンッ!――


「この程度の炎では、足止めにもなりはしないぞ!」


そしてレオナルドの横ぶりが炎を巻き上げて空へ散らす…数秒の足止めにしかならなかった炎は晴れ、開いた道に、レオナルドの視線がファニルを探すように彷徨う…すると。


――タンッ!――


「――チッ、んなこた知ってんだよ」

「ッ!?」


その瞬間、全身を黒い鱗で覆った二足歩行の人型の蜥蜴がレオナルドの眼の前に肉薄し…脇をすり抜ける。


「ハハッ、なんだソレ!」


そのファニルの姿にレオナルドは楽しげに笑い…ファニルから少し遅れて走り出す…だが。


(速いな…〝肉体変換(ボディ・コンバート)〟…肉体強化とは別口のステータス変化系の能力か…〝黒炎蜥蜴ブラック・サラマンダー〟…レベル〝50帯〟の魔獣がレベル〝60帯〟のオレと同等以上の機動力を有している)


彼我の距離は小さく、小さくだが〝離れている〟…ファニルの機動力が、金獅子レオナルドの脚力を凌駕しているのだ。


「――進化前の種族から逆算して、速力補正系の能力はそう多く無い……察するに〝自己ステータスの一時的な調整〟…〝他ステータスの値を速力に加算している〟と見た」


ファニルの、小さく消えて行く背を見ながら…金獅子レオナルドの、金色の髪から覗く赤い瞳が興奮に輝く。


――カチャッ――


「――面白い〝進化〟だ、何処まで出来るか試してみよう♪――〝唸れ〟、〝獅子の心臓〟!」


そして、己が得物を握り直し…そう言葉を紡いだ瞬間…金獅子のオーラが、レオナルドを包み込み…レオナルドは、以前に増して速く…その足を踏み込んだ。



○●○●○●


――ヒュオォォォォォッ――


其処は、蒼空が覗く〝大地の割れ目〟…切り立つ崖の遥か底…〝暗がりを這う者達〟の、根城。


――ズル…ズル…ズル…――


その崖底の中にある大空洞に…〝ソレ〟は居た。


『――む?…この気配、この匂い…〝彼方の者〟か?』


其処に居たのは、骨の玉座に腰掛け…巨大な蛇の半身を持つ〝半人半蛇〟の男…その男は白い長髪を揺らし、蒼い瞳を空へ向けながら…何かを探るように目を閉じる。


『ふむ、ふむ!――なんと、〝因子〟を持つ者が我が根城に近付いているのか…コレは僥倖ッ――是が非でも〝我が眷属〟にしなければ!』


そして探りを終えると、男は興奮に色白の肌を朱に染めてそう言い、魔力を放つ。


――ビキビキビキッ!――


その魔力が大空洞を満たすと…不意に現れた紋様が空洞の内部にビッシリと現れ、その魔力を吸い上げる。


「――行け、我が子よ…〝我が眷属〟をこの地に誘い出すのだ!」


男の言葉に、男の側に居た数匹の大蛇達はそそくさとその場を這い進み…数分とせぬ内に、空洞の中には半人半蛇の男のみが残される。


「……でも、一匹位は我の側に居ても良いのだぞ?」




●○●○●○


――ボウッ――


「〝偉大なる神よ〟――〝我が声に耳を傾けよ〟!」


其処は薄暗く、不気味な様相をした地下堂…蝋燭の明かりがか細く照らすその空間には…赤く黒く刻まれた〝血の紋様〟が…大地に円を作り…其処の中心には、夥しい数の人間の死肉が山積みにされていた。


「〝我等が供物を捧げます〟――偉大なる〝異邦の神〟――〝貪食の大地神〟様!」

「「「「贄を此処に、我等の眼前に姿を御現し下さい!!!」」」」


その山積みの死肉を前に…無数の怪し気なローブを纏った者共が、口を揃えてそう言う…その言葉は虚空に響き…それから少しした、その時。


――フッ――


蝋燭の光が全て消え…暗闇が彼等を包み込む…その異常に、彼等が期待に視線を集めた…その時。


――ボウッ――


1つの蝋燭に火が付き…その蒼白い炎に皆の視線が吸い寄せられた…その瞬間。


「〝殺せ〟――〝亡霊騎士(ゴーストパラディン)〟」

『『『ッ―――!!!!』』』


その言葉と共に、蒼い炎の上に冷たい少女の顔が現れ…ローブ達が状況を理解する間もなく――。


――ザシュッ!――


その首は…何処からとも無く現れた半透明の血濡れた騎士達の刃によって斬り落とされ…物言わぬ骸と化した。


――バァァンッ――


その光景を見つめていた彼女が、ふぅ…と、一息付いて魔術で周辺に明かりを灯していたその時、不意に地下堂の入り口が明け放たれ…外の明かりから一人の少女のシルエットが映る。


「――んにゃ?…チサっちの方も終わったの?」

「ん…ニャミィの方も終わったの」


現れたのは、猫耳の少女ニャミィ…その少女の言葉にエルフ耳の少女がそう言いニャミィの背後を見ると…其処には幾匹も首輪を嵌められた猟犬達が顔を引き裂かれて息絶えていた。


「まさか湿原の外縁に人間の集落が有ったなんてニャア♪――良い経験値にゃね♪」

「ん…此処には魔術触媒や魔導書の複製も多い…後で解析して換金と研究に使う♪」


二人は目の前の骸の山を気にも留めずに姦しく笑い、ソレから身ぐるみを剥ぐ為に骸の方に向き直る…そして。


――モグモグモグッ――


「ん、ん、ンッ…ん?……何か用?」


二人は目にする…魔法陣の中心に積まれた死肉の山…その山の上で屍肉を食む…一人の〝藍色の髪の少年〟の姿を。

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