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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第五章:彼方の獣を誘うモノ
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曇天の決着、後編

本日の投稿です、2本目は望み薄。

――ドドドドドドドッ――


〝殴り、蹴り、受けて、治す〟


――バチバチバチバチッ――


〝躱し、突き、蹴り、いなす〟


互いに語らずとも、〝ソレだけ〟と決めた絶対の〝縛り〟…。


ただ純粋に殴り合い、先に膝を突いた方が負けと言う〝意地の張り合い〟…。


互いに図らずも、暗黙の了解として…この最終決戦の勝敗を〝決定〟し…殴り合う。


「フッ…フフフッ♪」


全く…〝正気じゃない〟…まるで、合理的とは言えない〝戦い方〟だ…自然の理に則るならば、第一に優先するべきは〝生存〟…この戦いは、ソレを真っ向から〝否定している〟


――ドゴォッ――

――ブチブチブチッ――


負けた方は、〝生命を落とす〟…しかし、勝った方とて無事では済まない…事生存を前提とするならば、あまりにも割に合わない…そんな〝戦い〟に…〝酔狂な大馬鹿〟が2匹…興に耽っていた。


――ガガガッ!――


「メェッ!」

「ッ〜!!!」


私の拳を躱した彼が、私の脚を、横腹を、頭部を蹴り駆け上がり…〝鳴く〟


――ドパァッ!――


すると、雷光と共に衝撃を受けた部位は破裂し…紛い物の臓腑が零れ落ち…私は後方に倒れる――。


――グッ!――


寸前…私は両手で地面に手を付き…そのまま宙に飛び上がると…再生を終えた脚で立ち上がり…その腹を、頭蓋を修復する。


「〝12〟…残り〝8〟」

「ッ…!」


同時に、奴の方も限界が見えて来たらしい…以前からその兆候は有ったが…今では傍目から見て分かるほど、その存在は希薄になりつつ有る。


だと言う…彼は以前に増して滾る殺意と戦意をその身から醸し出し…その香りに誘われて、私も彼に負けじとその気配を高める。


「ッ――〝まだ、やれる?〟」

「ッ――〝メェェッ〟」


時間は残り僅か…今でももう〝満足感は得られる〟…一時の充足感は得た……けれども、もう〝止められない〟…今の私達は――。


「――〝全部、使い切ろうか〟!」

「メェェッ、メェェェッ――〝メェェェェェッ!!!〟」


もう…〝この程度の闘争では、止められない〟…。



●○●○●○


――バチバチッ、バチッ!――


〝消える〟…〝融ける〟…〝己の存在〟が…〝己の全て〟が…。


「――メェェェッ、メェェェッ!――〝メェェェェェッ!!!〟」


目の前の〝怪物〟を、愛おしき仇敵を、打ち倒す…その代償に。


――ドォッ――


それで良い、〝ソレが良い〟…空いた腹から、この殺意を詰め込もう、空いた脳に、甘美な戦意を詰め込もう…その為に言葉を捨て、その為に〝記憶を捨てよう〟…。


だから濃く、だから大きく、だから強く、だから長く…。


全身全霊の〝殴り合い〟を…。



――ドッ!――


「ウオォォォォォォォッ!!!」

「メェェェェェェェェッ!!!」


互いに真っ向から突進し、拳と頭突きを応酬する。


―――ドドドドドドドッ――

――バチバチバチバチバチッ――


衝突、血が滲み視界が歪む…肉が焼け、腕が落ちる。


――ドバァッ――


再生、からの追撃…頭突きは出来無い。


――ダダダッ――


地面を蹴って空へ跳び…躱し…曇天に〝命じる〟


「――〝メェェッ!(穿て)〟…!」

「ッ!――」


――ズドォォォンッ!――


放たれるのは恐ろしき雷光…極太い天の刃に奴は包まれ…一拍の猶予が生まれる。


――ダンッ!――


着地と共に、再度疾走…己の目は捉えている…あの一瞬の〝奴の行動〟を……奴はまだ、死んでいない。


――ジュウッ――


「――ハァァッ♪」


…果たして、その言葉は現実となり深い呼吸と共に黒煙を吐き捨て…焼けた皮膚に笑みを湛えた娘が飛び出す…その四肢は黒く焦げ、崩れ始めているが…奴の顔には一切の〝躊躇〟が無く、崩れ行く〝両腕〟を気にせず疾走する。


――ボロッ!――


その疾走に、やはり炭化した肉体は着いてこれずボロボロと崩れだす…しかしその瞬間彼女の両腕から、荒ぶる〝触手〟が飛び出し…ソレは周囲を切り裂きながら誇大化…〝収束〟する。


「――〝融合変形(キメラ・コンバート)〟」


その触手達は収束の最中…その身を絶え間なく変化させる…鱗の腕、狼の爪、猿の腕、鳥の脚…ソレは単に出鱈目に変化している…だけでは無い。


――グチュッ!――


ソレは、黒く輝く〝夜の鱗〟を持ち。


――ジャキンッ――


その爪は鋭く大きい――〝どの生物にも当てはまらない形状〟をしていた。


「〝――冒涜の竜腕キメラアーム・ドレイク〟」


その手から放たれる、夥しい量の魔力は…瞬時に、ソレが〝奴の切り札〟で有ると己の脳に理解させる。


そして…ソレが〝意味する事〟は…つまり。


『〝この一手〟で…〝決着を着ける〟』


――バチンッ!――


――バリバリバリッ――


「〝メェェッ〟…〝メェェッ!!!〟――〝メ"ェ"ェ"ェ"ェ"ッ!!!〟」


雷鳴を呼ぶ、空から振り注ぐ雷鳴を…己の元へと集めてゆく…そして、疾走する…。


――ダンッ!――


今度は〝遅く〟…彼女の意識を撹乱する為では無い…寧ろ、彼女の視線を己へ注がせる為に。


――ザッ!――


両者の距離は縮まり…互いに、この一瞬へ思いを馳せる…コレで〝終わる〟…。


泡沫の夢が、長時の切望が。


偶然に導かれた〝同類〟との…〝至福の戯れ〟が…。


――ブンッ!――


「「ッ―――!!!」」


その〝一撃の衝突〟によって……微睡みから目覚めた。








○●○●○●○●





――〝決着〟は……疑う余地もなく、現実逃避の術もなく…ただ、〝其処〟に有った…。


――ドサッ!――


全身を…焼けて炭に変える私。


「――フッ」


――パチッ…パチッ…――


最早、立ち上がる脚を構成する余力も失くした…〝老羊〟


「――メェッ」


ソレは〝相打ち〟…そのものに、見えた…だが。


「フフハハハッ♪」

「メェェェェッ♪」


――グッ!――


「――私の〝勝ち〟…それで、異論はないわね?」


生焼けの脚を奮い立たせ…散り行く〝老羊〟に近付く……そして、その瞳に問う。


――ジッ――


その視線は優しく、満ち足りた童の様に輝き…語らずの肯定を送る。


「……フフフッ♪」


そんな彼の死に際を…私はその目で捉え…彼の顔に最後まで映り込みながら…〝言葉を送る〟…。


「――〝また、地獄で逢おう〟…〝私の友〟」

「ッ!――〝メェ〟」


その言葉に、彼は一瞬驚いた様に私を見つめ…それから、小さく、噛み締める様にそう言い……魔力の塵となって消える…。


――ギュッ――


その手に、〝雷色に輝く魔石〟を…残して。


《〝曇天の高原〟のエリアボス、〝雷老羊〟を討伐しました!》

《レベルが上がりました!》

《〈異界の触手〉のレベルが上がりました!》

《〈捕食生命〉のレベルが上がりました!》

《新たな称号〈曇天の長〉を手に入れました!》

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