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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第五章:彼方の獣を誘うモノ
155/173

曇天の決着、前編

ヤベーイ、執筆作業が驚く程進まなかった。


申し訳ないですが、短めの投稿を…後編は明日に投稿します…!

――ジュウッ――


「肉蔦の溶解液を自分で作って、皮膚に纏わせた…精霊体に効くかは分からなかったけれど――」


――バチバチバチッ――


「一応…少しは効果が有るみたいね」


へばり付く瘴気を、雷光が焼き取る様を見て…私は笑う…〝表面上〟は。


(〝一対一〟に持ち込まれてしまった…眷属共も完全に萎縮している)


相対するのは雷鳴そのものと化した〝格上の怪物〟…対して此方は、全力の7割にも満たないリソース量。


(再生が済んだとは言え、焼け石に水と言って良い状況――なにより)


――タンッ!――


小耳に捉えた〝軽やかな足音〟に…全力で横へ跳ぶ…そう、〝コレ〟だ。


――ザリッ!――


「ぃッ!?」

「――メェッ!」


――ドゴォッ――


聴覚は研ぎ澄まされている…反応速度だって悪く無い…だが、それでも〝出遅れる〟…。


それほどまでに、()()には速さの差が有った。


――ザザザザッ!――


辛うじて、〝何かを犠牲にして防御する〟…その選択肢が取れている…しかし、それだけだ…己には攻撃する転機が無い。


――ジュウゥゥゥゥッ――


「ッ!……クソッ、やってくれる…!」


どうする、どうすると、焦りを呼び込む様な意味の無い問答がグルグルと響く…しかし、その問いに返す返答は無く…そうこうと悩んでいると、また〝奴〟は姿ん消す。


「――チィッ!」

「〝メェッ〟…!」


そして、奴の蹄が私の頭蓋へ触れた時――〝戦況〟は…再び奴の支配下に有ると…私は悟った。



○●○●○●


――バチンッ!――


蹄で打ち据えた…その腕は爆ぜる。


――ガゴッ――


大地を踏み砕き…音を越え、攻撃を繰り出し続ける。


――バチンッ!――


その度に、奴の紛い物な皮膚は裂け、血を模した粘液は零れ落ち、異臭と共に塵と化す。


何度も、何度も、何度も…己の持つ力を存分に奴へ振るう…だと言うのに、奴は未だ〝食らいついてくる〟…。


防戦一方…しかし、1度だって背を向けていない…ソレが堪らなく嬉しい。


「メェッ、メェッェッ!」


だが、まだ足りない…ただの蹂躙では、満足出来無い。


――ドゴッ、バキッ、バチバチッ!――


殺意を込めて、刃を突き立て合う〝苦痛〟…戦意の雄叫び、拳と拳、刃と刃、生命と生命の衝突が足りない…まだまだまだッ!


――グラッ…!――


「――〝メェェェェェッ!!!〟」


さぁ、さぁッ…闘争は此処からが本番だッ――。



――ドサッ…――


「ッ―――」


そう、昂りかけていた己の思考が…急速に冷え込む…先程までの全能感で浮足立っていた己の眼は、漸くその〝現実〟を受け止める…。


声を発する喉は無い…立ち上がる足は無い…拳を握る事は出来ず…そも、〝生命〟としての体裁を保つ事も…最早〝ソレ〟には、難しかった…。


――ドロォッ――


肉片が浮かぶ、血泥…〝好敵手だったモノ〟の、成れの果ては…その姿を融解させ…その中から、赤く染まった…宝石の様な〝魔石〟を浮かび上がらせる…。


「……」


アレが…〝核〟だ…今にも崩れそうな程、弱々しく輝く〝ソレ〟が…〝奴の核〟であり…ソレが露出したと言う事は…つまり、奴にはもう…この状況を打破する手立ては無いと、言う事…。


――シュウゥゥゥゥッ――


その事実に、目の前が暗くなる…あぁ、嗚呼…長年を経て手に入れたと思っていた〝極上の闘争〟が…漸く叶ったと思った夢物語が…まさにソレこそが己の〝夢見る理想の世界〟だったのだと…否が応に理解させられる。


――パキッ…パキパキパキッ…――


このまま、己は…未練を果たす事もままならずに…その生涯を終えるのか?…このまま、全ての命を使い果たし…雷鳴の一部に消えるのか…。


あぁ…やはり、〝そうなのか〟…。


そう思うと…己の意識は、深い…深い〝絶望の闇〟に呑まれ…沈んでいく様に…その全てが〝空虚〟へと塗り替えられていった……。



――『ドクンッ』――


――〝その時〟までは。


○●○●○●


明滅する視界に目を閉じる…視界は黒く染まり…己の〝生命〟が、度重なる闘争の末に風前の灯と化している事も…この身体は懸命に知らせてくれていた。


『勝てない』


死にゆく身体が、ソレを知らしめ…薄れ行く意識が思考を零す。


見るも無残な蹂躙を思い出す、肉が千切れ、皮膚が焼け…骨が砕け、臓腑が溢れ出す…あの〝蹂躙〟…全く……。


「――」


全く……〝何て楽しい地獄〟だろうか。


――ドクンッ――


〝ソレでこそ〟…それでこそ〝闘争〟の在るべき姿だ…絶対強者が弱者を蹂躙する…それこそ、この自然に在るべき理であり、真理だろう…。


だからこそ…そう、だからこそ…〝思わずに入られない〟


〝まだ〟…〝物足りない〟


蹂躙されたままでは終われない、弱者のままでは終わりたくない。


このまま終わらせたくは無い、もっともっと…〝地獄の中を生きていたい〟…。


〝もっと〟……〝心地良い死闘〟を。


――パチンッ――


その思考が脳を満たした時…私の身体は、必然と動き出していた。


――ドクンッ…ドクンッ…――


余分を削ぎ落とす…必要な物は〝速さと硬さ〟…その為の形を模れ。


角は要らない、羽は要らない、脚と、拳…だけで良い…細かい造形等必要無い…〝奴に太刀打ち出来る器〟を作り出す。


――グチュッ…グチュッ…グチュッ…!――


「――ッ♪」


そうして、創り上げられた〝ソレ〟を見て…私は満足感に笑みを浮かべると…ソレに近付き――。


――ドプンッ――


〝最後の闘争〟の為に…沈み掛けた意識を覚醒させて…跳ね起きた。

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