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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第四章:喪失するは人の記憶、崩壊するは人の境界
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賞金首は捕らえられず

2本目。

「ッさせん!」


――ブンッ!――


両足を膨張させ…凄まじい推進力を背に駆け抜ける〝ソレ〟に、ヨミノが立ちはだかる。


――ガッ!――


「〝破脚撃〟!」


彼女は振るわれた拳に脚撃を放ち…その魔力を暴発させる…しかし、その拳に魔力が伝わり切るより早く――。


――グチャッ!――


「ッ!?」


その拳は形を失い崩壊する。


「――♪」


その様子を〝ソレ〟は歪な笑みを浮かべながら見つめ…当惑する彼女に手を伸ばす。


「ッ――!」


その行動に、ヨミノは辛うじて反応し後方に飛び退く…そして、〝ソレの攻撃〟を躱したと安堵した…その時。


「ッまだだ――〝硬めろ!〟」

「ッ!?」

「――♪」


後方から飛ぶ鋭い命令と、前方で捉えた〝弄ぶ様な笑み〟に…ヨミノは数秒遅れて動き出す。


――グジュジュジュッ!――


伸ばされた手は空を掠めた…かと思えば、その腕はボコボコと膨れ上がり…腕は腕の機能を一切捨て…肉塊の中から〝硬質化した粘液の槍〟が数本飛び出す。


――バツンッ!――


「クッ!」


辛うじて、ヨミノは身体を反らしてソレを躱す…しかし、無理な体勢から無理やり避けた為に、バランスが傾き、この局面において致命的な〝隙〟を晒す事に成る…。


「ッ――♪」

「ッ……!?」


声無く…しかし、〝ソレ〟は嘲笑を浮かべて空いた腕を振り上げる…その腕は膨張と変質を繰り返し、鋭い刃に変形すると、そのまま空を仰ぐヨミノの身体へと刃を振り下ろした。



――ゾワッ!――


「ッ――〝発芽しろ〟…〝血塗れの霊樹(ブラッディ・トレント)〟」


その一撃がヨミノの身体を真っ二つに切り捨てる…その寸前、その声と共に、彼女の身体からライツでも、ヨミノでもない魔力の反応が現れ…ヨミノの腹を突き破って…禍々しい血塗れの〝樹木〟が姿を見せる。


「ガハッ…ライツ……お前…!」


己の体内を掻き分け、抉り出しながら…自身の魔力を啜り急成長する〝霊樹〟に、ヨミノはライツを睨む…そんなヨミノの恨み節を涼し気な顔で受け流しながら…ライツは串刺しにされ、四肢を腹を頭部を貫かれた〝異形〟に視線を送る。


「――いやぁ、もしもの為にと取っておいた〝隠し玉〟…本当は懸賞金を独り占めする為に植え付けたが…結果オーライってね♪」


微動だにしないソレへ、視線を送りながらライツはそう言うと…地面に倒れる…腹に大きな穴を開けたヨミノを見下ろし…手を伸ばす。


「ッ…!?」


その手にヨミノは死を覚悟し、ライツへの怒り、裏切りへの屈辱…その他渦巻く負の感情を煮立たせて目を閉じる…しかし。


――ポゥッ――


そんな彼女を、優しい魔力が行き渡り…腹に空いた大穴が温かな熱と共に傷口を癒し始めると…ヨミノはライツを驚いた様に見上げる。


「――このままアンタを見殺しにして、懸賞金独り占めってのも悪か無いが……俺とアンタは相性が良い…諸々の損得勘定を考えた結果、山分けしてアンタと〝手を組む〟方向で結論が出た訳だが…さて、どうかな?」


そんなヨミノへ、ライツはその透かしたグラサン越しにそう戯けて言うと…ヨミノは少し呆気にとられ…ソレからフッと笑みを浮かべ…ライツに告げる。


「フッ…私に種を埋め込んだ事は許し難いが…良いだろう…お前と手を組んでやるぞ、ライツ」

「嬉しいね♪」


そして二人は手を伸ばし…その手を握る……。


「さて、そんじゃ〝懸賞金〟を回収しようか――」


そして、治療を終えて、メキメキと成長を続ける赤濡れた樹木の上…葉を付けない枝に貫かれた〝ソレ〟の姿を確認した…その時。


――コポッ、コポコポッ――

「――〝召喚〟――〝不可視の触腕〟」


掠れた、不気味な声と…爛々と光を失わない赤い視線がそう言い魔力を発する…その瞬間。


――ゴゴゴゴゴゴゴッ――


空間が歪み…彼等は行動に起こす間も無く…不可視の〝何か〟に押し潰された。



●○●○●○


――ピロンッ――


何処かから、そんな音が聞こえる…あぁいや、〝私〟の頭の中からか。


――グジュッ、グジュジュジュジュジュッ――


『レベルが上がりました!』

《〈無属性魔術〉の昇華を確認――〈不可視の触腕インビジブル・テンタクル〉を獲得しました!》


「――フフッ、フフフフフッ!」


自身の身体を融解させる…本当に、〝ギリギリだった〟…。


HP残り10%(赤い視界)〟の目の前に広がる〝潰れた肉塊〟を捕食し、飢えを満たしながら…漸く肉体に追いついた〝実感〟が私に甘い〝悦楽〟を運び…その身悶えする程に心地良い〝快感〟に笑みが自然と零れ出す。


「フフフッ、アハハハハッ!」


――アッハッハッハッハッハッハッ♪――


ともすればソレは〝狂笑〟と成り、この暗い月の無い夜に木霊する…ソレは少しの間続き…漸くこの身に余る〝愉悦〟を吐き出すと…私は、新たに手に入れた〝力〟へ意識を向ける。


――――――

不可視の触腕インビジブル・テンタクル】 レア度☆☆★★★

能力系統:任意型

消費魔力:250(基本値)


無属性魔術から派生し、またどの系統にも属さない〝固有の魔術〟…魔力で構築した不可視の触手で敵を押し潰し、薙ぎ祓い、絡め取り、防ぐ。

――――――


「――フフフッ、無属性魔術とは燃費が段違いに多いけれど…〝攻防両立〟できて、且つ〝細かい操作〟も可能…伸縮、拡縮、分裂…基本操作は〝異界の触魔〟と変わらないのも良い調整ね」


まさに求めていた〝魔術の発展型〟…言う事無しね♪…。


「あぁ、楽しかった!……それはそうと、レイナの方はちゃんと〝脱出〟出来たかしら?」


自身の身体の傷を埋め直しながら私はそう言い、喧騒のすっかり静まり返った〝山岳〟の先を見る…そして、遙か先に居るだろうレイナの動向に意識を咲いていると。


――ピカッ!――


不意に私の腕に刻まれた紋様が輝き、私を怪しい紫の魔力が包み渦に飲み込まれてゆく。


「ッ――あら、ちゃんと〝生きてる〟わね…良かった良かった♪」


「――満足したし、此処に用は無いわね♪」


その渦の中入りながら私はそう言い…目を閉じる――。


「――それじゃあ、暫くはサヨウナラ♪…また〝遊びましょうね♪〟」


その場を立ち去る間際に…此方を遠巻きに眺め、しかし挑むことはしない〝彼等(弱者)〟へ、そう言い捨てながら。



そうして、賞金首と私達の〝追いかけっこ〟は〝私達〟の勝利で幕を下ろした…しかし。



『特殊クエスト発生』


勝利に酔う私を、遥か暗い〝暗闇〟の中から覗いていた存在が居ることに…私は、気付く由もなかった。


《〈〝無名の忌子と忘却の魔女〉を受注しました!》





――――――

【マオ・ディザイア】

【異界の触魔〈人間:槍使い〉】LV33 /50

HP:23500/23500 (23500/23500)

MP:24300/24300

満腹:61%


筋力:B+(B−)

速力:B+(B−)

物耐:B−(C)

魔耐:C+

知力:C+

信仰:E+

器用:E+

幸運:D


【保有能力】

〈異界の触手〉LV2/10、〈捕食生命〉LV2/10、〈不可視の触手〉LV1/10、〈看破〉LV9/10、〈契約〉LV3/10


【保有称号】

〈野蛮な獣〉、〈貪食〉、〈邪道の獣〉、〈ラック・パールとの繋がり〉

――――――

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― 新着の感想 ―
野蛮な獣〉、前半のカッコがないです。 …無名の忌み子、ねぇ…どんな結末に行くことか。
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