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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第四章:喪失するは人の記憶、崩壊するは人の境界
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賞金首と賞金稼ぎ

2本目投稿、ヨシッ。

――バババッ!――


爆弾の猛攻を潜り抜けた先に待っていたのは、砲声奏でる鉄火の歓迎だった。


――ゴブッ!――


迫る凶弾を前に…私は脚部を強化し…地面を蹴り砕く。


――ドゴォッ!――


すると、その衝撃で迫り上がった岩石が迫る凶弾を食い止め、相手の手を止める。


(爆弾、重火器、装備も良い、集団で行動している…色々と気になるけど、先ずは――)


一瞬の硬直…次いで巡る思考を処理し…優先目標を定めると、私はその為の行動を開始する。


「――〝敵勢力の無力化〟…ね♪」


――ドゴォッ!――


迫り上がった岩石を蹴り飛ばす…地面を削りながらもその巨岩は凄まじい勢いで〝犬人間〟達を轢き潰さんと迫り…ソレを尻目に私は自らに羽根を生やし…空へ飛び上がる。


「(数は〝6〟…右4、左2…指揮官は右のあの子ね…他の〝犬人間(コボルト)〟より動きが良い)――残すなら〝あの子〟ね」




○●○●○●


――ガガガガッ!――


「チッ!――アレで死なねぇとか〝バグ〟だろ…!?」

「焦るなッ、標的を捕捉しろ!」


アレだけ集中砲火を受けて尚、健在に暴れる〝標的〟を前に…コボルト達はそう吐き捨てながら、迫る〝巨岩〟を寸前で回避する。


――ブンッ!――


その回避行動が遅ければ、恐らく地面に引き伸ばされた血肉の一部に成っていただろう…そう考えながら、指揮官の彼…〝戦犬人長ウォーコボルト・リーダー〟は直ぐにその視線を〝標的〟の居た場所へ向ける。


――……――


しかし、其処に〝標的〟の姿は無く…周囲を見渡していると、不意に己の頭上へ〝影〟が差す。


「ッ――チッ!」

「――フフッ!」


そして背筋を伝う悪寒に、彼は半ば反射的に、自身の得物を頭上へ向け…引き金を引こうとする…だか。


――ガッ、ガリガリカリッ!――


空から飛び込んで来た〝標的(ソレ)〟の手が、得物を握り締め無造作に投げ飛ばす…その妖艶な体躯と細腕からは想像も出来無い程凄まじい〝怪力〟に、彼は面食らい…そして。


――ドロォッ…!――


翼がドロドロの赤黒い〝泥〟に融解された刹那、その背からは無数の触手が其々の意志を持った〝尾〟の様に駆け巡り、周囲のコボルト達を意識外から仕留めて行く…。


「ッ――フフフッ♪…ゲームセット♡」

「ッ…舐めるな!」


倒れてゆく仲間達の死骸を横目に、見下ろす様に嗤う彼女の言葉、ソレを聞いたコボルトの指揮官は彼女へそう啖呵を切ると…自身の腰に着けたナイフを手に取り――。


――ドスッ!――


その心の臓腑に突き立てた…。


(獲った…!)


そう彼が実感したのも束の間…彼女の胸からは赤黒い血とも肉とも取れない粘液が溢れだし…コボルトのナイフと手を伝う…そして、その視線が彼女の顔へ向いた時…。


――クスッ♪――


その胸から零れ出た〝泥〟が…鋭い刃を持った触手となり…コボルトの腕を斬り落とした。


「〝残念〟…〝其処じゃない〟の♪」

「ッ……マジか」


彼女は、そう苦笑交じりにそう言い……コボルトの四肢を斬り落とし…地面へ放り投げる。


――ドシャッ!――


投げ捨てられたコボルトの男は、血溜まりに転がる己の四肢を枕に押し付けられ…見上げる様に、彼女への呪詛を紡ぐ。


「グッ……〝化物〟めッ…!」

「聞き飽きたわ、その言葉」


その、吐き捨てられた悪意の言葉に彼女はそう言い…そして、彼の持っていた〝銃〟に手を伸ばした。


●○●○●○


――ガチャガチャガチャッ――


軽く銃の出来を調べる…やや軽く、所々に不格好な〝修復〟の跡が見受けられる所を見るに、試作品と言った所かしら。


「――〝防具〟に使われてるのは〝岩鱗蜥蜴(ロック・リザード)〟の外皮…この辺りで取れる素材にしては悪く無い素材ね、軽く丈夫、オマケに安価で使い勝手が良いわ…問題は、さっきの〝手榴弾〟ね」


軽く調べた銃を鹵獲(インベントリにポイ)し、私は今にも死にかけな彼に、その装備の中に用意されてある〝回復薬〟を掛けながら問い掛ける。


「このエリア帯じゃ、既に敵無しに近い私にも十分な〝ダメージ〟を与えて来たって考えると、相当強い〝魔物〟の素材な筈…でも、貴方達は精々此処か、次のステージが狩場として妥当な所でしょう?……貴方達…〝何者〟かしら?」


私が問い掛けても、彼は答えない…まぁそうか…向こうはプレイヤーなんだから、態々敵に情報を落とす筈もないか…。


「――う〜ん…此処で殺しても良いけど…私が襲われる理由が分からないと…今後同じ様な手合いに狙われると面倒だしなぁ……良し」


口の硬い彼を見ながら、私は頭の中で考えを纏めると死にかけの彼の前にしゃがみ込み…彼へ〝交渉〟を持ち掛ける。


「ねぇ…〝取引〟しましょうか、〝ライカ・ドッグガン〟」

「……何?」

「私は情報が欲しい、けど貴方は口を割らないじゃない?…だから、〝対価〟を上げるから情報をくれないかな?」


私がそう言うと、初めてそのコボルトは興味を示した様に私を見て目の奥に生気を宿す…どうやら、交渉のテーブルに着く気は有るみたいだ。


「そうね…あまり深入りしても貴方は答えないでしょうし……〝私が狙われてる理由〟が知りたいわね…情報料として……そうね――」


私はそう言いながら、彼等の装備と…使った武器の費用を軽くイメージしながら〝硬貨〟を出す。


――ジャラジャラジャラッ――


「〝このくらい(100万z)〟なら、何とか出せるけど…どうかしら?」

「……」


私がそう言うと、彼は頭の中で算盤を弾き…それから私を見る。


「「……」」


その値踏みする様な視線に、私は〝強く見返す〟と…彼はその意図を汲み…首を小さく縦に動かす…。


「……仕方無い…交渉成立だ」


その言葉に、私は彼へ続きを話すように促すと…彼は、一呼吸置いて…語り始める。


「端的に言えば……今、お前達は〝賞金首〟に成ってるのさ…〝マオ・ディザイア〟」

「は?……〝賞金首〟?」

「あぁ…依頼主は〝ベルゼ〟…〝失楽園の支配者〟だよ――」

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