頂から滑落し、天幕は下ろされる。
どうも皆様こんにちは、作者の泥陀羅没地に御座います。
どうやら、前話のサブタイトルを設定し忘れた大たわけが居るらしいですね?…はい、すみません。
一応次で今話の最終話の予定です…が、もしかすれば追加で1話程延びるかも知れません。
さて、こんな大した面白みもない前書きは兎も角、早速本編をお楽しみ下さいm(_ _)m
――『――ッ!』――
迫り来る…黒い〝破滅〟へ…金獅子は渾身の一撃を見舞おうとした…自らの破滅を…予感して。
恐らくは…己が勝つ事は無いだろう…負けか、いや最悪相討ちに持ち込みたい…そう、戦意と高揚、焦りと恐怖、怒りと正義に燃えるレオナルドの〝理性〟は、激情の中でも酷く冷静に事態を見据えていた。
互いの一撃が放たれてから、数秒と立たず…決着は着く…恐らくはベルゼも同じ事を考えていた筈だ…それは、レオナルドも変わらない…いや、〝変わらなかった〟――。
――『バサッ!』――
「〝悪禍癒すは秩序の聖鳥〟!」
〝彼〟が…その場にやって来るまでは…。
「ッレオナルド!――〝仕留めろ〟…!」
「ッ――出来した〝アーク〟!」
乱入者であり、己が同胞でもあるアークの、その叱責にも似た口振りに、レオナルドはハッと我に返る…そして、己の代わりに一時、ベルゼの魔力を押し留めるアークへそう一言礼を言うと…その剣に込められた魔力を…より鋭く〝研磨〟する。
「〝殉じろ〟!―――〝戦獅子の王矜〟…!」
そして、改めて…アークの一時の抑留は限界を迎え…ものの数秒でその防波堤は押し留められる…しかし、瘴気の濁流に呑まれるアークと、視線を交わしながら〝仕込み〟を終わらせたレオナルドは…今度は先程よりも強く〝鋭利〟な剣と魔力を両手に…突きの様に貪食の濁流へと振り抜いた…。
●○●○●○
衝撃…それは〝魔力と魔力の衝突〟から起きた余波…その衝撃波は凄まじい勢いとなって周辺一帯を駆け巡る。
レオナルドと同じ様に…ベルゼもまた、彼と同じ〝思考〟を辿っていた…〝己の勝利〟を。
「……」
慢心は有ったのだろう…散々戦いを優勢に進めてきた、策も練った…やはり、凡そ完璧とは言えないまでも、上出来と言えるレベルに、事を運んでいたのだから無理も無い。
――『バチンッ!』――
弾ける様なエネルギーの叫びにベルゼは耳を傾けながら…その衝突の行く末を夢想していた…故に。
――『ゴォッ!』――
不意に爆ぜた、不自然な〝聖浄な魔力〟の昂りに気付くのを遅れさせ…それを認識した時…ベルゼの目に映っていたのは――。
――ズオォォッ…!――
真っ黒な魔力の奥から、此方へと迫る〝浄化の光〟が…今まさに己へ触れようとしていた…その光景だけだった。
○●○●○●
――バサッ、バサッ、バサッ――
脇目も振らず、霊樹の木の洞の中を飛び進む。
「行かせるか!」
「ッ――」
そんな私を、背後からシュテンが襲い掛かるその拳は私の身体を精確に捉え、ソレは直撃の軌道を描いて迫り来た…しかし。
――ザクッ!――
その拳は私へ触れるその前に、頭上から飛び出し…シュテンの腕目掛けて振るわれた擬態色の刃によって軌道を逸らされる。
「ッグゥ!?」
「――此処は拙者に任せるで御座るよドクター殿!」
「ッ…感謝する…!」
其処に居たのは、いつの間にやら霊樹の中に侵入していた同胞の姿…私はソレに対し、そう感謝の意を告げるとそのまま彼を置いて霊樹の中を只管に突き進んだ…。
――ズドンッ――
――ゴオッ!――
――ドゴンッ、ドゴンッ!――
霊樹の中を鈍く響き渡る、〝戦闘〟の叫声が仲間の努力を知らしめる…気付けば、霊樹の通路を進んだ先に、私は怪しい光がある事を確認する…直感で、ソレは〝出口〟…この通路が外と繋ぐ、〝霊樹の中枢〟であると理解し…私は、より一層強く翼を羽ばたかせて…其処を〝抜け出た〟…。
――バサッ!――
その瞬間、周囲を壁面で封鎖されていた木の洞の道は…開放感を感じる程広い空間に私を送り出す…その場所は、正しく〝絶景〟だった。
――ドクンッ、ドクンッ!――
鼓動を鳴らしながら、この空間の中心には赤黒い魔力の…人間一人を容易に包み込める程の結晶と、その器たる霊樹が鎮座し、侵入者を迎え入れる。
――ピコンッ!――
その瞬間、自身の視界に一文が送られてくる…恐らくは、この場所に入った事で何かの条件を満たしたのだろう…その一文には――。
『〝霊樹核を破壊せよ〟』
のメッセージが少しの間映り込み…そして、10秒程でメッセージは消える…そのメッセージの内容に、私は残った魔力を…徐々に回復しつつ有った魔力を込めて…〝魔術〟を構築しようとする。
「〝魔弾〟――〝拡散〟!」
――ズドンッ!――
そして、その魔術が核目掛けて発射される…その一撃は、その狙いに外れることは無く…核の硬質な肌を砕こうと空を駆ける…そして、その弾丸の牙が、核の肉体にその歯を突き立てようとした…その刹那。
「〝多重障壁〟」
核を包み込む様に展開された障壁と…その障壁を紡ぐ声が…ドクターの試みを阻み――。
――コンッ!――
「〝貫け〟――〝土塊の串刺し槍〟」
――ドドドドドッ――
ドクターの肉体を、土塊で創り上げた槍の群れで貫き、串刺しにした。
「ッ――カハッ…!……そう、か…やはり――」
その唐突な展開にドクターは一瞬驚きと共に血を吐き捨てる…しかし、直ぐに状況を理解したのか、その顔は依然冷汗を流していたが…その眼は努めて冷静に…この術の使用者を捉えていた。
「――〝君〟は…〝敵〟だったのか…〝レイナ・ハーレー〟」
其処には…この部屋の木々の狭間から這い出すように己を見据えていた…〝レイナ・ハーレー〟…〝魔術師の少女〟が…その目に冷徹を宿し…ドクターの言葉に耳を傾けていた。
●○●○●○
――パラパラパラッ!――
その瞬間…黒と白の魔力が…霧散する…激しい、果てしない衝突の結末は、なんとも奇妙な事に…〝相討ち〟となったのだった…。
「……」
金獅子は…自身の盾と成り…その大半の瘴気を一身に受け、無残に食い荒らされたアークへ沈黙の感謝を送り…そして、視線を己の先に〝動く〟…ソレへ向ける。
「ハァッ、ハァッ…ハァッ!」
其処には、金獅子の傷よりも遥かに重篤な…しかし、未だ死に至る事無く生存に意識を向ける〝魔獣の王〟が立ち…傷を虫で埋めながら、忌々しげにレオナルドを睨みつけていた…。
「……金獅子…貴様…よくも…!」




