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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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佳境の頂

本日の投稿!


そして、今章は次かその次話で終わる予定!…2本目投稿は、未定…切りよく今日で書き切りたいですね。

――バチィッ――


炎と、虹色の魔力が衝突する一瞬…反発し合う様な衝突音が周囲に響き渡る。


「――〝色彩指定(エレメント・チェンジ)〟…〝(アクア)〟」

「ッ――!」


その衝突音に掻き消されて、その言葉は聞き取れなかったが、ファニルはその瞬間…衝突する魔力の色彩が変化した事に気付き…吐き捨てる様に呟く…。


「〝属性変化〟か」


――ジュオォォォォォッ!――


そして、その瞬間ファニルが放った魔術が莫大な量の水に蝕まれ…凄まじい蒸気が空から大地へと降り注ぐ…。


――ボフンッ!――


視界に霧が覆われ、各々は自らの五感による標的の察知が困難に陥り、自己の魔力による対象の魔力を探知する必要に駆られるだろう…。


「――ッ!」


その為に、いの一番に魔力探知へ移行しまた、優れた魔力探知の精度を誇るチサトは、〝ソレ〟に気付くと…シュテンに告げる。


「シュテン…ドクターの反応が〝増えた〟…四羽、直ぐ其処!」

「あ?――ッ!」


ソレを事実とするには、彼等の根が未だ〝現代文明〟に取り残され過ぎていた…その言葉にその場のほぼ全員が疑問符に顔を傾げ、その報告をした彼女自身、己が何を言っているのか半ば理解しておらず…ただ己の認識が捉えた事実を告げて、仲間へ警告を発する…そんな刹那。


――ブワッ!――


霧の世界を掻き分けて、強力な魔力を身に纏ったドクターが一羽現れる…その狙いは彼女を守っていたシュテンへと定められ、今まさにその生命を掠め取ろうと鋭い爪を伸ばしていた。


「ッフン…!」


ソレが、あわやシュテンの顔を引っ掻き…肉を裂こうとした時、寸前で反応を間に合わせたシュテンが回避と共に身を捻り、勢いを利用して拳を振るう…。


――バキンッ!――


すると、ドクターの身体はそんなガラスの様な硬質的な物体を砕いた様な音を響かせ、その肉体を魔力の破片に変え、破片は粒子に変わり消えていく。


――ブンッ!――


そして、自慢の巨体を振るうファニルが…無数のドクターへ尾の一振を振り抜き、そのついでと言わんばかりに霧のカーテンを取り払う…そして、霧は晴れ…空に舞う虫共の天幕から木洩れ日の様に漏れ出す日が、彼等の世界を照らした…その時…彼等は気付く…その場に、己等の〝驚異〟…聖獣の賢者、ドクターの姿が何処にも無い事に…。


――『バサッ!』――


そして、またも遅れて気付くだろう…無数の魔力反応に踊らされた彼らの耳は、己等の背後…メキメキと音を立て、自らの根を拡大させ、成長していく霊樹の…その、樹皮と根が交わり作り上げた〝深部へ至る洞〟の中へ進む、その羽音を耳にし…自らの〝過ち〟を理解する…。


――カチッ…カチッ…カチッ…カチッ…――


秒針は、平等に…聖者も愚者も、善も悪も区別なく、均しい〝カウントダウン〟を刻む…舞台のフィナーレは…もう、直ぐ其処にまで、迫っていた。



●○●○●○


――ザンッ!――

――ゴトンッ!――


「ハァッ…ハァッ…!」


虫の羽音が目障りな、最早見る影もない荒れ果てた街の中を…大男、〝レリック〟は進んでいた…。


――ジィッ!――


目的は何か?…見るに堪えない傷と、疲労を顔に張り付けたまま、闘争に明け暮れる理由とは?


「ハァッ…ハァッ…」


荒い息を吐きながら、血の滲んだ包帯に顔を歪める…当然だ、その体たらくで1人、魔物蔓延る地獄に飛び込んだのだから、傷が開かぬ筈もない。


――ザッ…ザッ…ザッ…――


血の匂いに釣られてか、将又偶然か?…一歩進む他事に多くなる気配に、レリックは忌々しげに顔を歪ませる。


「……クソが」


そう、ぽつりと呟くレリックは…自らの大剣を振り抜き…そして、再び大剣を振り抜いた…。


「……」


その光景を、無数の鴉達が見詰める…そして、何を思ったのか…ソレはレリックを一瞥すると何処かに飛び立ち…やがて、其処には戦火だけが残された…。



○●○●○●


――パラパラパラッ――


「ハァッ…ハァッ…さ、流石に…強いなッ」

「ふん…ソレは此方の台詞だ金獅子…お前は相変わらず、〝しぶとい〟男だ」


瓦礫の山…いつの間にやら消え失せた家屋の残骸とだだっ広い更地の上で…1人の騎士と、黒い化物はそう言い…互いを見上げ、見下ろす。


「――だが、そろそろ貴様も限界だろう?」

「ッ――ハハハッ!…さて、どうかな?」


黒い化物…ベルゼはそう言い…傷だらけ、血だらけな金獅子の佇まいに言及する…しかし、その問いに帰ってくるのは相変わらずの爽やかな声と勇ましい言葉…ソレに、ベルゼは再び鼻を鳴らして金獅子レオナルドの綻びを突く。


「強がるな、その体たらくとその魔力の陰りを見れば誰でも分かる…そろそろ、この馬鹿踊りも潮時だ…」


その言葉に、レオナルドは相変わらず強気な笑みで返す…しかし、その対応にはもう慣れたのだろう…ベルゼは特段悪態をつくことも無く、淡々と己の〝力〟を操り、レオナルドへ向ける。


――ズオォォッ!――


ソレは、このイベント始まって以来…この戦い始まって以来の〝ベルゼの最高の攻撃〟…とどのつまり〝貪食の牙(グラトニー・バイツ)〟ではあるが…そのデカさは己が作り上げたそれの何倍かと思わせる程の大きさであり、其処に込められたものも…凡そ今まで見てきたものの比ではない〝密度〟をしていた…。


「避けるつもりならば避けてみせろ…もっとも、この先にある〝教会〟が、どうなるかは知らんがな」

「ッ…!」


其れを手に…ベルゼはそう言い、レオナルドの背後へと視線を注ぐ…其処には、瓦礫の更地の遥か先…唯一魔物達があまり寄り付かない〝神々の祈り場(教会)〟が射線上に通っていた。


――バチバチッ――

――ゴオォォォッ!!!――


「――成る程、此処まで計画通りか…凄まじい知略だな…ベルゼ」


爆ぜる魔力、渦巻く破壊…溢れんばかりの殺意を一身に受けながら…レオナルドは、ベルゼへ賞賛を贈りながら…己の愛剣に手を掛ける。


「――だが、その程度の危機…乗り越えて見せようじゃないか!」


そして、そう言うと…その身に有り余った魔力を放出し…その剣にありったけの魔力を込める…。


「――来いッ、〝貪食のベルゼ〟…!」

「そうか…ならば――」


その啖呵に、ベルゼは一瞬そう淡々とした表情で伝え…その目を閉じる…そして、次にその目を開いた時。


「――〝死ね〟!!!」


その目に嘲笑と、敵意と、殺意と、敬意を込めて…〝貪食の牙〟を…解き放った…。

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