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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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紛い物な蟲の女帝

2本目出来た!


現在のイベント進捗は大体中盤後半〜終盤前半位ですね!


それでは本編どうぞ!

――パァンッ!――


「―――は…?」


乾いた音を立てて、聖鴉の幻影は粒子に変わる。


――ジュウゥゥゥッ――


「ん……流石に死にかけの搾りかすでもかなり〝効く〟わね…まぁ、この程度なら誤差の範囲か」


焼け爛れた腕を契り、触手で埋め直すその様をアークは呆然と…有り得ないものを見るようにその目に収め、立ち尽くす…いや、崩れ行く身体では立ち尽くすこともままならず、塵と化してゆく。


「――フフフッ、流石に分が悪い勝負だったわねアーク…それじゃ、暫く退場してちょうだいね?」


立ち上がる足も、羽撃く翼も塵に消え…アークの顔がただ絶望の焦りに満ちてゆく…ソレを、赤く熱に揺れる瞳は流し目に捉え…既に死人となったアークに背を向け、領主館の門へと手を伸ばす…。


――〝待て…!〟――


アークが叫ぶ…しかし悲しいかな、声帯を塵に変えたアークの身体では最早世界に何かを語り掛ける事も出来ず…ただアークは、己に最後許された〝視界〟をもって、去り行く彼女を傍観する……そして、その視界さえ…。


――ブツンッ――


途切れた視界は暗転し…其処には、ただ次の器へ再構築される迄の刻限を示す、無常の空間が広がっていた。



○●○●○●


「…さて、ソレじゃあ早速――」


アークとの戯れを終えて、私は領主館へと手を掛け様とする…まさにその時。


「ギィィィニャァァァッ!?!?!?――誰かァァァ、へ―ルプミーィィッ!!!」

「……次から次へと何か来るわね?」


そんな叫び声と共に、〝それなりの魔力反応〟と…1つの大きな…〝何かの反応〟が私の方に…と言うより街の中心にやって来る。


「何が――」


その叫び声に呆れ半分、興味半分で振り返り…私はそのトラブルに向き合う…そして、瞬きの後目にした光景は…酷く〝愉快な光景〟だった。


――ドドドドドドドドッ!――


先ず目に付くのは、此方へ駆け寄る三人…いや、精確には二人と荷物一人かしら…涙目で戦闘を掛ける猫娘と、小脇に青白い小柄のエルフを抱える鬼の男…とどのつまり【此方側の指揮官】達が…皆焦りに汗を流しながら頻りに後ろを確認し逃げていた…そして、そんな彼等を捉えると、次はやはりその後ろが気になり目を向ける…が、しかし其処には〝何も無い〟…。


「…?」


妙だなと、一瞬眉をしかめたが…それから直ぐに〝ソレ〟は姿を現した。


――ゴォッ!――


曲がり角から姿を現したソレは…〝蟲〟とはまた違った〝死のカタチ〟…とでも言えば良いのだろうか…例えるなら黒い霧の狼…悪霊の獣…兎も角〝穢れや災いの類〟の様に実態無く…触れた魔獣の身体を〝呪詛〟で侵す様は正しく〝呪い〟だった。


「――うぅん…コレは〝魔獣側〟…じゃ、無いわよねぇ…」


そのあまりに禍々しい見た目に思わずそんな思考に見舞われる私を、三人は発見したのか…まるで希望を見出したかの様に私へ叫ぶ。


「「「マオ姐、助けて!」」」

「―――ん…まぁ、明らかにあの3人狙いだってのは分かるわね」


そんな彼等の言葉に、逸れかけた思考を戻し…私は全身の魔力を滾らせ…その力を行使する。


「――それはそれとして…折角の御披露目でマトモに動かせなかったし…実践での所感も試してみないとね♪」


――ズオォォッ!――


私は魔力を周囲に散布し…自身の下に〝蟲達〟を参集させる。


「――いい子ね、〝魔人の子供達〟…それじゃ、早速で悪いんだけど…その生命…〝使わせてもらう〟わね?」


そして、集めた蟲達を全て圧縮し…その魔力で〝黒い塊〟を構築する…やはり、ベルゼの劣化コピーである為か、その規模も精度も低いが…それでも、上位の聖獣を相手にしても致命傷を与えられるレベルの魔力は内包している。


「――〝貪食の牙(グラトニー・バイツ)〟」


その圧縮した魔力を…私はその手で握り砕き…それから指向性を持たせ…3人の方に解き放つ。


「「「ちょっ!?」」」

「――大丈夫、〝死なない〟わよ…走りなさい」




●○●○●○


迫り来る蟲の群れに…3人の顔が強張る…一瞬、3人の頭にはマオ・ディザイアの裏切りが過ったが…3人の思考は直ぐに〝現状〟への対応に切替わる。


背後に迫るのは〝確実な死〟…対して、前方は〝仲間の攻撃〟…確かに、裏切りの可能性はあり得るだろう…しかし、前者の〝確実な死〟と秤に賭けるなら…何方に進むべきかは言うまでも無いだろう。



「……行く?」

「…そりゃオメェ」

「行くしか無いニャッ!」


3人は短くそう言葉を交わし…それから、腹を括って一歩…蟲達へと飛び込む。


――ボッ!――


その瞬間3人は黒い蟲の濁流に呑み込まれ…生暖かい不快感に包まれる。


――ギチギチギチギチギチッ――

――ブブブブブブブブブブッ――

――カチカチカチカチカチッ――


犇めき擦れ合い音、耳元に響き続ける羽音、鳴り響く顎を打ち鳴らす音が…体感にして1分、現実にして10秒程続く…そして。


――ドバッ!――


まるで何も無い暗闇に差し込んだ光明の様に、3人に希望の光が現れ…3人は蟲の中から吐き出される…。


「ゲホッゲホッゲホッ!…チサト、大丈夫か?」

「ん…うん…まだ、耳に羽音が残ってるけど」

「此方は耳に虫がッ、プヘッ口にもォォォ…!!!」


そして、3人は其々自身や仲間の不快感を取り除く様徹していると…ふと、背後の様子が気になり、3人は振り返る…そして…振り向いた瞬間…3人は引き攣った顔で、目を見開き呟く。


「「「凄…」」」


其処には…先程まで牙を向いて迫っていた〝黒靄の狼〟と…その場に転がっていた筈の〝死肉達〟が綺麗さっぱり食い尽くされ、吸い尽くされ…まるで其処だけ闘争の余波等無い…〝日常の形跡〟が遺されていた…。


――ボトボトボトッ!――


「んー♪…良い一撃♡――でも、やっぱりベルゼみたいには行かないわね」


驚き固まる3人の背後で、そんな馬鹿げた攻撃を仕掛けた本人は満足気にそう言いながら、自身の弾けとんだ右腕を作り直していたのだった……。





〜〜〜〜〜〜


『ゴォォォォォッ!』

「ッ!――〝外〟から凄い魔力反応…マオさんが、何かしたんですね…」


一方その頃、マオ・ディザイアが領主館の前でアークと戯れ、3人組へのフォローに入っていた間に…一足先に領主館にやって来ていたレイナはそう言い…余所見をする…。


――ザッ…ザッ…ザッ…――


「――それはそうと…此方は此方で、予定通り進めましょうか…」


そして、そう言い進むレイナの足跡は…赤く〝濡れていた〟…。

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