第87食 下ネタが苦手な方は読み飛ばしてオーケー! 男たちがおちんちんをつまみながら、ひたすらおちんちんの話が進んでいくだけの回!
フルコースで腹を満たせば、お次は身を清めたくなるというもの。
簡素ではあるが、『うみぶた』には温泉施設が併設されている。
受付を済ませ、廊下を進み、突き当りを右に曲がれば、見えてくるのは男女に分かれた二つの暖簾。
「じゃあね、みちゅ!」
「はい。ごゆっくりどうぞ」
華やかではあるが、やかましいところもある。
そんな女子たちとは一時別れ、ミツルはコゴローと二人で、濃紺に染まる暖簾をくぐった。
カルキのニオイがうっすらと漂う脱衣所は、板張りの床にいくつかのコインロッカーが並べられ、壁際に鏡と洗面台があるだけのシンプルな作りをしている。
温泉は芳賀町民なら無料で入浴できるとのことだったが、さすがに閉館時間直前ともなると、貸し切り状態になっていた。
脱衣をパパっと済ませたミツルは、鏡の前に進み出て、セルフチェック。
――ちょっとだけ、見れる体になってきたな。
今にして思えば、栄養失調気味だった過去の自分。
あの日々を遠く思い、同時にノイチに対する感謝の念が湧き起こる。
「……どうした?」
ツルツルお兄さん、見参。
女子受けのよさそうな体毛事情を引っ提げて、滑るように横に立ってきたのは、もちろんコゴローだった。
鏡に映る彼に視線を合わせながら、ミツルは答える。
「いや、なんかこう……平均的なボディに寄ってきたな、って思って」
「……平均?」
「そう。普通が一番ですから」
言いながら、ミツルが目をやったのは、もちろんコゴローのおちんちんだった。
やはり、でかい。
誰と比べてみても、自分が平均より控えめなサイズであることに変わりない。
普段は表に出すことのない、ミツルの繊細な部分にスポットライトが当たり始める。
「……はたして、そうかな?」
意味深な言葉と共に流し目をぶち込んできたコゴローは、ゲレンデのように白い尻をミツルに向け、大浴場へ続くドアをスライドさせた。
どういう意味だろう。
哲学的な気分にさせられたミツルは、一点の曇りもない純白なその尻を追いかけた。
シャカシャカ、アワアワ、ザッブザブ。
体についた汚れを洗い落としたミツルは、そう広くはない浴槽の奥にいるコゴローのもとに近づく。
「隣、いいですか?」
「……もちろんだ」
他に客の姿はないというのに、わざわざ固まって行動するのはどうしてなんだ、真菜ミツル。
「あ゛ぁ~……」
立ち込める湯気の中、肩までお湯に浸かり、声まで出しちゃう。
「あの、運転とか支払いのこととか、どうもありがとうございます」
「……性器の話でもするか」
段階的にそこを聞き出そうと世間話などを始めてみたミツルであったが、コゴローとしてはそんなもの待っていられないようだった。
コゴローはその場で「ザブン」と、豪快に波しぶきを立てながら立ち上がった。
「……立ってみろ」
ビッグサイズ・カミング。
スーパーサイズ・ミー。
ガンズ・アンド・ローゼズ。
自分の二倍はあろうかという規格を誇る男性器が、ミツルの目の前で「ぶるん」と揺れ動く。
「いや、そのぅ」
「……立て」
乙女のように恥じらうミツルの腕を掴み、コゴローは無理やり彼を立たせた。
対峙したのは「チョロン」と「ぶるん」。
これより、世紀の対決の火ぶたが切られる。
「……ここに恥骨という骨がある」
棒の上側の根元を、普通に触られた。
「な、なにを?」
「……先をつまんでみろ」
戸惑うばかりのミツルを見て、業を煮やしたコゴロー。
彼は「こうだ」と言わんばかりに自らの恥骨を押さえながら、もう一方の手で棒の先をつまむ。
それから腹と垂直になるように、男性自身を伸ばしていった。
「うわーい!?」
ミツルの声援を受け、伸びるコゴローのおちんちんは、元よりも50%増しの長さになった。
「……俺の場合、生殖行為時には、少なくともこれよりは大きくなるということだ。やってみろ」
「えぇ?」
「……いいから、騙されたと思ってやってみろ」
絶対に騙されてる。
そう思いながらも、ミツルは同じように、両手を使って謎のおちんちん伸ばしを決行した。
次の瞬間、奇跡は起きる。
「あ、えぇ!?」
伸びる伸びるミニマム・マジック。
どこまで伸びるの?
ジャックと豆の木?
如意棒と化したミツルのおちんちんは、50%増しはおろか、2倍を超えて、3倍近くまでその長さを伸ばした。
「……やはり、な」
「どういうことですか、これ?」
正面にはコゴロー。両手にはおちんちん。
摩訶不思議な格好のまま、ミツルは会話を続ける羽目になった。
「……それが、秋風ノイチと生殖行為をするときの最小規模になるわけだ。小さいと思うか?」
長すぎない?
いや、そんなことよりも――。
「太さは?」
「……知らん」
なんだそれ。
「……あくまで膨張したときの、おおよその計測方法に過ぎん」
「医学的な、話だったんですね」
「……そうだ。だが、そもそも性器というのは個人差が大きい部分でもある。お前が気にしている『普通』という形は、どこにも存在しない」
よくわからないけど、妙に説得力がある。
ミツルはおちんちんから手を放し、しみじみとした気持ちで再び湯船に体を沈ませた。
後を追うように、コゴローも肩までお湯に浸かる。
「なんか、ありがとうございます」
「……気にするな」
胸を張って、人に言えるような交流ではなかった。
しかし、こういうことをするのもまた、青春なのかもしれない。
そう考えたミツルの心は軽くなり、薄くであるが、表情には笑みが浮かんでいた。




