↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/129

第120食 いつの間にか、すっかり虜に! スローライフゲームはおそろしい!

 

 テレビ画面に向かって、なにやら一生懸命になっている二人。


 その様子をちらりと見て、ブチ猫が大きくあくびをする。


 秋風家の愛猫であるカフェオレ大福もち丸は、座布団の上で深い眠りに入った。


 一方で、ノイチは出された飲み物にも手を付けず、ゲームに夢中になっている。


 その横にいるミツルは、すっかり水差し野郎と化していた。



 ――指示厨、再開。



 さあ、無事ではないけれど、バカみたいな量の種もまき終わって。


 いよいよ、うちのノンちゃんがジョウロを手に取りました。


 ここでも、心配なのはスタミナ管理ですね。


 キャラが倒れないように、ちゃんと計算して行動できるのでしょうか。


 注意深く、見ていきましょう。


「あっ!?」


 ダメみたいですね。


 キャラがくるくる回って、その場に倒れこんじゃった。


「…………」


 いや、俺の顔見たって、ダメなものはダメなんだよ。


 なんか困ってるけど、逆にこっちが困っちゃう。


 しゃあないなぁ、もう……。


「ドンマイ、ドンマイ。ちょうどよかった。スタミナがなくなったら、どうなるか見てみたかったから」

「だよね!?」


 すぐ機嫌が良くなる。


 失敗を引きずらない。


 だから好き。


 言わないけど。


 その代わり、ルーズなところはありますよ。


 ほら、今だって、ジュース一気飲みして、空になったコップを置いたでしょ?


 これ、放っておくと、明日までこのままですから。


 結局、俺が片付けますから。


 甘いミルクティーばっかり飲んで……まったく。


「おかわりは?」

「いる!」


 基礎代謝どうなってんだろうね。


 もし俺が彼女と同じ量を飲み食いしたら、確実にぷにょですよ。


「ねえ、疲れて倒れても、死ななかったよ?」

「おぉ……ラッキーじゃん。またタンポポで回復しないとね」

「オッケー」


 いきなり、『死』って。


 普段、あんまそういう強い言葉を使わない子だから、ちょっとドキッとしちゃったのは内緒の話。


「回復したら、水やって終わりだね。俺、飲み物取ってくるから、進めておいて」

「えぇ~?」


 すぐ機嫌が悪くなる。


 無視しちゃうけどね。


 ミルクティー切らしたままだったら、もっと機嫌悪くなりますから。


 そろそろ『お菓子も欲しい』とか、言い出す頃でしょう。


 ――――――


 ――――


 ――


 しかし、夏場の台所っていうのは地獄だね。


 さっさとなにか探して……あ、これなんかいいんじゃない?


 チョコチップクッキー。


 おっ?


 チョコチップ繋がりで、メロンパンまである。


 さて、どちらを持っていくべきか。


 ………………


 …………


 ……


 いや、どっちも違うかな。


 冷凍庫に、アイスが入ってるでしょう。


 チョコミントアイス。


 これです。


 もちろん、ミルクティーも忘れちゃダメ。


 たっぷり氷も入れてあげなきゃ。


 甘いですからね、このままだと。


 ノンちゃんの体が心配なの。


 なるべく、長生きしてほしい。


 もっというと、俺より先に死なないでほしい。


「……ふぅ」


 この、飲み物を注いだときの、氷がパキパキって鳴る音が、聞いてて気持ちがいい。


 風流だね。


 これが我が家の夏の風物詩、ってか?


「みちゅ~?」

「はいはい、今行くから」


 アイスと、ミルクティーと、完璧だね。


 急がなきゃ。


 ………………


 …………


 ……


 スプーンを忘れてるね?


 危ない、危ない。


 慌ててはいけない。


「みちゅ~?」


 うるっせぇなぁ。


 大した用もねぇのに、しつけぇんだよ。


 いいから、黙って待ってろ。


 って、言えたらなぁ……。


 ――――――


 ――――


 ――


「どうしたの?」

「アイスも持ってきてくれたの!? ありがとう! さすが、みちゅ! ちょうど食べたかったんだよね!」


 質問に答えろよ。


 実は、ゲームの進行が気になってしょうがないんだよ、俺は。


「水やった?」

「あげたよ。あとなんか、いっぱい物を拾ってたら、アイテムが一杯になって持てなくなっちゃった」


 ……なんだと?


 俺がいない間に、なにがあったっていうんだ。


 ノンちゃんがアイスに夢中になっているこの間にも、ゲームの時計は進んでる。


 これはダメです。


「ちょっと貸して」


 はい、行政介入。


 どれどれ……。


 タンポポ、10。


 頑張ってたんじゃん。


 えらい。


 アイテムは……。


 なんだか、よくわかんねぇなぁ。


 トンボとか、絶対いらないだろ、これ。


 売りだ、売りだ。


 あとは……なにがいるのか、正直さっぱりわからないな。


 マインクラフトみたいに、収納用のチェストとかないのか?


「これって、家具とか作れたりしないの?」

「あ~……なんか、そんなこと言ってたかも」


 ええい、探せ、探せぇい。


 どっかにあるぞぉ?


「おっ……これか?」


 なんとか発見。


 よし、これで……。


 今持ってるアイテムで作れるのは、収納箱三個。


 とりあえず、作って置いておくか。


 木材やら石材やらのクラフト系と、それから農作物系と、あとはガラクタ専用にまとめて……。


 はい、きれいになりました。


「オッケー。これでまた、アイテムが拾えるようになったよ」

「ん~!」


 スプーンくわえたまま……小学生かな?


 まあまあ、なんにせよ、これで観戦側に戻れるね。


 またじっくりと、彼女のプレイを見ていきましょう。


「ちょうちょ、発見! ……オオムラサキ、だって。あっ! あっちにもなんかいる! ……オニヤンマ!? 鬼!? なんか、強そう!」


 こうやってガラクタが増えていったわけね。


 っていうか虫、嫌いだったでしょ。


 なんでそんな、昆虫採集に本気なの?


 それはともかく、またアイテムが一杯になってもかわいそうだから、さっき学んだばかりのシステムを教えてあげようかな。


「……虫は、畑の前にある収穫箱に入れると、売れるみたいだよ?」

「へぇ~、あ、ホントだ」


 そうそう、そこ。


 吸収が早くて、なによりです。



【オニヤンマ 売値:800円】



 たっか!


 オニヤンマ、たっか!


 え!?


 俺が売ったトンボは、20円とかだったのに!?


「ついでに、オオムラサキも売っちゃお」


 国蝶だぞ!?


 そんなもん、気軽に売買するんじゃねぇ!!



【オオムラサキ 売値:2500円】



 売りだ、売りだ!!


 カブの種、これで何個買えるんだ!?


「アツくなってきたねぇ! ちょっと、トイレ行ってきていい?」


 興奮しすぎて、催しちゃったよ。


 なんだ、このゲーム。


 楽しすぎるだろ。



 ――さらにつづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。