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イスランデ大武闘会開催

 魔導科学ケイオステックにおいて、現代のものが必ずしも古代のものに勝っているという確証はない。

 魔法とは通常の科学技術とは異なる技術で、研究が進めば必ずしも進歩するというものでもないのだ。汎用魔導技術に用いられる詠唱や術文は、より洗練されはするが、再現性は高くない。

 同じ設計図で作られた兵器が、誰が作製したかによってスペックが変化する。

 魔導による技術とは、例えば刀鍛冶(かたなかじ)の作り上げる名刀のようなものだろう。


 ───イスランデは鍛冶かじの盛んな国だ。


 種族的にはドワーフと呼ばれる職人気質(しょくにんかたぎ)の人類が、かれこれ数千年以上に渡って、武器をつくりつづけてきた歴史のある土地で、彼らの作製する武具は昔ながらの製法できたえ上げられており、今なお東魔の鬼人たちをはじめとする武人たちに愛されている。

 魔導術式を武具に付与できる魔導加工エンチャント技法というものもあって、魔導の武器や防具を求めるにはうってつけの国だ。 

 僕はというと、武具そのものにはあまり興味がないのだが、兵器としてのスペックには興味がある。

 とても。

 イスランデ行きの鉄道列車の個室コンパートメントの窓から、赤茶色の大地を見渡す。

 東魔国を経由すれば、飛行機でイスランデへと行けるのだが、()()()()()を抱えるレイヴンのため、今回は鉄道列車を使うことにした。

 通路と座席をガラス戸で分けられた個室は時代がかった内装で、向かい合うように設置された座席はすすけていたし、車窓にかけられたカーテンもほこりっぽい。

 座席は窮屈きゅうくつで、身動みじろぎすると足下に置いたトランクに靴がぶつかるほどだ。

 快適とはいえない車内だが、かまわなかった。

 この先に待つイベントにワクワクしていた。

 今回、僕がほしいのは、この土地から出土された魔王兵器ラグナロク。

 どんな能力を秘めているかは未知数だが、魔王兵器の性能を解析(かいせき)するのは、きっとすごく楽しいに違いない。

 向かいに座ったレイヴンは僕とは対照的に、憂鬱そうだった。

 いつもの東魔刀を抱えて、傍目はためにも警戒心丸出しだ。

 まあ、レイヴンは心配性なのだろう、と僕は気軽に考えた。

 レイヴンの事情は知らない。とくに聞きだそうとも思わない。

 大切なのは、目的が()たされるかどうかだ。

 おし黙っていたレイヴンがふいに口を開いた。

「なんか、さわがしくないか」

「え。そう?」

 指摘(してき)されてはじめて僕は周囲に注意を向けた。

 たしかに、車内は騒がしい。

 乾いた銃声の音や怒鳴どなり声、それに悲鳴なんかも聞こえる。

 レイヴンが言った。

「……どうも、血の気の多い連中が乗ってるようだ。イスランデは気の荒い連中が多い街だが、普段はここまで活気がある方じゃない、大武闘会ってやつのせいか?」

 トランクケースの中から、キャンディの小さいビンを取り出し、ふたを外す。

 このキャンディの瓶は外出用に僕がいつも持ち歩いているもので、味わいはいろいろだ。

「十中八九、そうだろうね。勝てば一国の王様だ! ついでに、これが一番重要だけどイスランデから発見された魔王兵器までついてくるんだから、世界各国の諜報機関やらなにやら、みんな集まるに決まってるよ。どうにかして、兵器を我がものにしようってね。魔王兵器の争奪そうだつ戦はもう始まってるってことさ」

 車内の喧騒けんそうはそういうことだ。

 目的地であるイスランデに辿たどりつく前に、すこしでも競争相手を減らしておこうってところだろう。

 魔王兵器を手に入れるものは最終的にはたった一人なのだから。この列車に乗っている人間を手当たり次第しだいおそう連中だって出るよね。

 ここは魔界だ。

「その大武闘会とやら、どうも乗り気がしないな。いやな予感がする、俺のかんは当たる。やめておいた方がいい、後悔することになるぞ、50%くらいで」

 レイヴンが天気予報みたいなことを言っている。

「イスランデは今、大騒動だから、君がどこにいようと、どうでもいいことだよ。君を追ってくる人なんていないさ。いたとしても、みんな兵器の奪い合いに夢中だ」

「……そういう問題ではなくてだな」

 いまいち納得なっとくしていない様子のレイヴンを余所よそに、個室のドアが乱暴な勢いで開かれる。

 あらわれたのは、サブマシンガンを片手にかついだモヒカン姿の男が数名。

「ここで死んでもらうぜぇ、お二人さん、この列車は天国行きだぁ!!!」

 とか何とかわめく男に向けて、レイヴンが刀を放った。

「うるせえ」

 目に見えない速さでさやごと刀が直撃。

 モヒカン男が後ろ向きに倒れる。

「くそっ、治安が悪い……! アルビレオ、ここで動かず、じっとしてろよ。すこし()()()()くる」

 レイヴンはそう言いおいて、個室の外へ向かった。

 外の廊下に向かって倒れた男の頭部から刀を取り上げ、ドアをぴしゃりと閉める。

 数秒後、喧騒けんそうが悲鳴に変わる。

 僕は飴玉をめつつ、窓の外に視線をもどす。

 延々《えんえん》と赤茶けた大地が続いている。

 まったく、すばらしい旅路だ。


 *

 東魔国、首都緋州郊外にある古ぼけた教会。

 人外魔境の強者たちのあつまるギルド“魔獣の巣”の現在の拠点だ。

 今にも朽ち果てそうな聖堂に置かれた木製の円卓には、女が座っていた。

 クオン・アシュレイ。

 戦争管理官ウォーマスターの1人───時針剣のクオンである。

 そのかたわらに、男が影のようにたたずんでいる。

 黒の長衣をまとった壮年の男───教父レッドチャーチ。

 ギルドの指導者である男の言葉を、クオンは目を伏せて待つ。

「クオン、お前に命じたレイヴン討伐任務の件だが、すでに2度失敗しているな」

 沈黙。

 事実だ。

「1度目はクレイワーズ雪渓せっけい、2度目はセント・レガリア号の単独任務」

 頭を下げる。

「申しわけありません」

 彼女の謝罪には関心がなさそうに、レッドチャーチは言う。 

「あの男に情をかけたか」

 クオンがはじかれたように顔を上げる。

 たしかに、自分は失態をおかしたが、個人的な感情のせいではない。

「まさか、ありえません。あちらが上手うわてだっただけです」

 レッドチャーチは意外にも、クオンの言い分を認めた。

「そうだな。あちらには特殊な事情がある。2度の失敗は、それゆえだ」

「特殊な事情……先輩の連れている少年についてですか」

 2度の任務の失敗。その両方に、あの少年はいた。

 たぐいまれな魔術の才を持つ、正体不明の魔術師。

「そうだ。レイヴンは魔導協会の選帝侯の一人、アルビレオの元にいる」

「アルビレオ、あの少年がですか。以前、セレモニーの時に訪れていたという、13人の選帝侯のうちの1人」

 神出鬼没で、傲岸不遜。

 最も新しく選帝侯の座に(のぼ)()めた天才魔導士───それが、彼だった、というのか。

 エリザベス号で見かけた時は、普通のこどものようにしか見えなかったものだが、彼の行使(こうし)した転移魔術を思えば、納得なっとくはできる。

 だが、わからないのは、そこではない。

「なぜ、先輩が彼といるんですか。その理由は、一体(いったい)……」

「理由は不明だ、だが」

 男は、続けた。

「あるものはこういう、王の座を狙う野心があるとな」

 選帝侯とは次代の魔王を選ぶもの。

 その彼と共にいるということは、自らこそが魔王になろうという下心あってのことだ。

 そう周囲から(うたが)われるのも自然なことだ。

 つまり、大逆の疑いだ。


 ───下衆げす勘繰(かんぐ)りだ。


 クオンは思わず、声を()り上げた。

「そんな、あるわけないでしょうっ、あの人にかぎって」

 レッドチャーチは言った。

「そうはいうが、貴様は()()のことについてどれだけ知っていると言うのだ」

 炯々《けいけい》とした眼光が光る。

「い、いえ、言葉が過ぎました」

「アレは気まぐれだぞ。お前が思うよりな。どうも勘違(かんちが)いしているようだが、アレの本性は獣だ、見た目にだまされるものも多いが、人の言葉を話す獣だと思ってかかってちょうどいい」

 アレと呼ぶのはレイヴンのことだ。

「そんな言い方は……」

「師の言葉が信用ならんか」

「いえ、そういうわけでは」

 クオンが口をつぐむ。

「レイヴンの逃亡により、我々は(むずか)しい立場におかれている。選帝侯と組んだことを重要視するものもいる。大逆(たいぎゃく)の疑いありとな、よって殺さねばならん。では、次の任務だ、これを見なさい」

 そう言って、男は円卓の向かいに置いてあった封筒(ふうとう)を取り上げた。

 クオンは顔をあげて、教父から封筒を受け取る。

 中身を見ると、今回の任務の資料のようだ。

「……大武闘会、ですか?」

 資料には、イスランデで行われる大武闘会の日程が記されている。

「そうだ。次、向かうのはここだ。中央魔導院の呪師によると、アルビレオの出現場所はここが最も可能性が高いそうだ」

「……私の任務とは?」

「元・戦争管理官レイヴンの討伐(とうばつ)。および魔王兵器ラグナロクの獲得だ」

「魔王兵器は中央情報局の管轄(かんかつ)だと思っていましたが、我々が出ばって良いのですか」

 魔王兵器───数千年前の古代遺物。

 その力は未知数だが、中央情報局は優先的に情報を収集しているという。

 魔王兵器の獲得は戦争管理官の任を離れているように思うのだが、返ってきた答えはこうだった。

「かまわぬ。優れた剣はいくらあっても足りぬ」

仔細しさい、承りました」

 内心を表情には出さず、クオンは資料を持って立ち上がると、教会の出口へときびすを返す。 

 不本意(ふほんい)であろうとも、仕事に取りかからねばならない。


 *

 イスランデ首都ロスガルに到着したのは午後三時ごろ。

 イスランデ行きの鉄道列車に乗りこんだ乗客のうち、無事に到着できたのは、二人だけだった。

 僕とレイヴンだけ。

 残りは列車内の戦闘により、リタイアしたようだ。

 一体、何があったものかわからないが、レイヴンは傷ひとつない。

 ピンピンしている。

 黒い外套コートの長身の男は、自販機でお茶なんかを買って一息つこうとしている。


 ───これって、僕らが他のライバルたちを消してしまった、ということにならないだろうか。


 僕は考えた。

 ま、いいか!

「それで、どうするんだ。これから」

 レイヴンが一息つきながら言った。

「そりゃ決まってるよ! イスランデ大武闘会の予選会場に行くんだよ!」

 レイヴンが苦虫を噛み(つぶ)したような顔をしているが無視だ。

 僕は大武闘会の予選会場───イスランデ国立競技場への道を急いだ。


 *

 駅から、歩いて30分ほど。

 イスランデ国立競技場に僕はやってきていた。

 これから、ここが血に()れた祭典、イスランデ大武闘会の開催地になる場所だ。

 国立競技場前の広場はすごい人だかりだった。

 ここまでの道のりもすごかった。

 街中ではなんと複数の武装集団が互いに牽制けんせいしあって、火花を飛ばしているという状態で、ちょっとでも触れたら爆発しそうだ。

 イスランデ王の座、そんなものが本当にもらえるのか、はなはだあやしいと思うけど、どうやら王になりたい人たちはたくさんいるみたいだ。

 そんなわけで、ドームになった国立競技場の予選大会受付には、武装した男女の魔族たちで、ギスギスした雰囲気だ。

 自動小銃で武装した人たちもいれば、大薙刀おおなぎなたを背にたずさえた人もいる。


「まるでサーカスだな」


 これはレイヴンの言だ。

 レイヴンも、今日はいつになくイラついている。

 僕はといえば受付のお姉さんから、大会参加のための書類へのサインを求められているところだった。

 さすがに、大武闘会だ。

 大会に参加するための契約書と、死んだ時のための免責(めんせき)同意書だ。

「ここに参加する方のお名前と、大会参加者様用のアプリのダウンロードをお願いします」

 書類を手渡しつつ、お姉さんが説明することには、イスランデ大武闘会は参加者を専用のアプリで管理するらしい。

 国籍不明の参加者がゾロゾロいるので、替え玉を防いだり、個人を特定するのに必要なものだ。

「だってさ、レイヴン」

 僕はとなりであたりを警戒しまくっている男に言った。

「なんだって」

「この契約書と免責同意書にサインしてね」

「アルビレオ、言っておくが」

 レイヴンが物憂ものうげな顔をしている。

 それで、ピンと来たね。

 僕は彼の気持ちを理解した。それはもう、完璧に、理解したと言っていい。

 レイヴンはきっと大会への参加が心配なのだろう。それも、しょうがない。たしかに参加者は死ぬかもしれないからね。

 僕は被雇用者の心配をぬぐい去るために、明るい笑顔を作った。

「大丈夫! 君にはこの僕がついているんだからね! 治癒ちゆ術はイマイチだけど、蘇生そせい術なら完璧なんだ。魔術師アルビレオの完全復元蘇生術クローニングは、傷一つつけずに蘇生することが可能で、施術せじゅつの列なんて十数年待ちなんだよ。だから、安心してくれたまえ! ぎゃっ…!」

 レイヴンが僕のひたいを高速でデコピンした。

 衝撃。

 脳が軽くれる。

「なっ、この暴力ドラゴン! なにをする、いきなりっ!」

「すまん。久しぶりのサイコ発言につい……」

「失礼な。僕はただ、人を心配しただけだというのに……」

 ジンジンする額を指でおさえる。痛すぎる。

 血が出てないだろうか。血が出たら回復術リキュアだな。とか僕が考えていると、レイヴンはため息をつきつつ言った。

「アルビレオ、言っておくが、俺は出場しないぞ」

「えっ、なんで」

 僕はおどろいた。

 レイヴンの顔を見る。

「出るわけないだろ。こんなあやしげな大会に、絶対ろくなことにならないぞ」

「でも、勝ったら王になれるって、魔王兵器だってついてくるんだよ」

「いいか、教えといてやる。アルビレオ、勝者に国だの、魔王兵器だの、そういう、うまい話は、たいてい、詐欺って相場が決まってるもんだ」

「詐欺」

 男がうなずく。

「そうだ。特殊詐欺だ」

「でもこの大会って、イスランデ行政府の主催するとてもクリーンな武闘大会だよ」

「クリーンな武闘大会ってなんだ。そこからしてすでに怪しいだろ。こういう、一見うまい話に乗ったら、そのうちもっとデカいもんを取られちまうんだ。(あや)しげな契約には手を出すな、わかったか」

「そんなものかな」

「そんなもんだ。だから、いくぞ」

「でも、予選始まっちゃうよ? 締切30分前だし」

 レイヴンがふらりと受付をけ出す。

「予選なんか勝手にやらせとけ。で、どうする、観客席の入場列はあっちだが、ポップコーンとか買っとくか? 売店はんでるから早く並んだほうがいい。お前の好きそうな、アイスの出店もある」

 すっかり観戦者気分だ、このドラゴン。

 レイヴンはそう言って、広場に集まった屋台の方へ、スタスタ歩き去ってしまう。

 僕は受付の人に、書類とペンを返してから、彼の後を追った。

「なんで? 君は王様になりたくないの?」

「王なんて、それこそ超級の厄介やっかいごとだ。そういう面倒めんどうな役目は誰かに押しつけて、俺は三食昼寝つき、毎日11時間睡眠の生活を満喫まんきつしたい」

 レイヴンが自堕落じだらくな願いを口に出した。

 ブラックドラゴンは三食昼寝つき、毎日11時間睡眠の生活を満喫したい! とかいうセカンドライフがうっかり始まりそうなセリフだ。

 僕は聞いた。

「それじゃ、こまる。本当に出場しないの?」

「しない。剣をるときは選ぶ。お遊びはごめんだ」

 彼のとなりに並んで歩く。

「えーと、レイヴン、僕は君の主人あるじなんだよね」

 僕は認めていないが、この竜は、確か僕の使い魔になりたかったんじゃないだろうか。

 僕が聞くと、男はすんなりと肯定こうていした。

「そうだな」

「その僕の言うことでも聞けないの?」

「これも教えておいてやろう、アルビレオ。主人をいさめてやるのも俺のつとめだ」

 レイヴンがせせら笑うように言う。

 うすうす、感じていたことだが、こいつは、本当に僕を主人だと思っているのだろうか。

 かなり怪しい。

 いろいろ言ってはいるが、(よう)はレイヴンの言いたいことはこういうことだ。

 大武闘会には参加したくない。

 それだけ。

 誰だ、こいつを主人に忠実なやつとか言ったのは。

 こいつだ。

 僕は(おどろ)いた。

 このドラゴン、自己認識がガバガバだ。セルフイメージを変えてこい。

 こいつは竜。勝手な生き物だ。 

 だが、となりを歩く男のかたくなな態度はちょっとやそっとでは変わらなさそうだ。

 僕は(かた)を落とした。

 渡りに船とはいかないどころか、どうやら派手(はで)に沈没したっぽい。

 当てが外れたってやつだ。

「……はあ、まったく、しょうがないな」

 やれやれだ。

 僕は(だん)じて主人ではない。しかし、まちがいなく、雇用主ではあるというのに。

 まあ、いいか。

「もういいさ、最初から当てになんてしてない、ちょっと待って」

「何をしてるんだ」

 僕はトランクケースから、超微小情報収集特化型デバイス・バグかたまりである玩具おもちゃの人形を取り出した。

「これはたんなる仕込しこみ。武闘会を観戦するかわりに、バグを常駐させておく。これだけ大規模なもよおしなら、誰かしら大会の管理運営者の端末に忍びこめるだろ」

「ウイルスか」

失敬(しっけい)な。システムに入りこんで、少し、待機させておくだけ」

 僕の手の内で人形が青白い砂となって溶けて消えていく。

「大会はバグたちにまかせよう。元々、大武闘会なんて興味ないしね。さっさと別の手を考えるか」

 僕がいうと、レイヴンが気軽(きがる)に賛同した。

「そりゃいいや。イスランデ博物館に行くんだろ? 文化的にいこう!」

 先ほどまでの暗い顔はどこへやら、大武闘会に参加しなくてすんで、スッキリした顔をしている。

 本当に勝手なドラゴンだ。

「うーん、まあ、他に当てもないし、そういうことになるけど、まずは先にチェックインだな。荷物を一度、整理したいしな」

 トランクケースを手に持って、僕は空をあおいだ。

 それから、ため息をついた。


 イスランデ大武闘会───開催前にして敗退。


 はあ、まったく、なんてことだ。

 僕の魔王兵器ラグナロク探しは、またもや難航(なんこう)しそうだ。




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