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白銀の花は不老に咲く  作者: 季原若草


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第5話 屋敷の採用試験 3

 シオリはエメルトを連れて、ティートリーの部屋に行き、どうやってアマリリスを連れてきたかと治癒について聞きに行った。

 マレインはアマリリスに結んで貰った髪をいじり、閃く。


 「アマリリスちゃんに、何かお礼がしたいんだけど何がいい?俺のお小遣いからだから、多少高価な物なら大丈夫」

「物はいらない。その代わりに、私とお友達になって」

「それでいいの?俺はこの体だから友達出来た事ないから…」


 バルバラがごほんと咳払いをする。マレインは、「私は」と慌て訂正すると、アマリリスがマレインに近づき耳元で内緒話をする。


「シオリさんがいない時に、私の前だけで俺呼びでいいよ」

「あっ、うん」


 マレインの心臓が高く鳴った。やけに距離感が近く、自分以外にもしかしてやるのか不安になった。

 

 エメルトがドアを開けて2人は帰ってきた。シオリは苦虫を噛み潰したような顔をして、エメルトは悲観した顔。シオリとエメルトは、ドアの前で内緒話をする。エメルトは、まさか一生だなんて、旦那様は困った方です……と蚊の鳴くような声で呟いた。

 

 アマリリスは2人に気づかず、マレインに耳元で何か話して、マレインは答えて満更でもない様子。


「アマリリス」

「はい」


 女主人に呼ばれて、振り返り背筋を伸ばす。マレインは楽しんでいた遊びを中断されて、少し未練がましそうだ。


「貴女の部屋を今から案内する。明日とこれから治癒の翌日は部屋で一日寝て休みなさい。」

「私は元気ですよ」

「元気なのは今だけ。貴女のお父様が必ず休ませて下さいとお願いしたから、お父様の言う事は聞きなさい」


 不服だが、父親の最後の言いつけを守る事にした。アマリリスはマレインに手を振ると、マレインも手を振り返して引き留めようと手を伸ばす。いつまた会えるか聞きたかったが、足早にシオリとエメルトの3人で、歩いて行ったのでマレインの引き留める手に気づかなかった。

 マレインの部屋から少し離れた狭い部屋に通されて、エメルトがアマリリスの鞄を椅子の上に置く。


「マレインのナースが住んでいた部屋で、浴室はあるから」

「マレインちゃんのナニーは、シオリさんのナニーだったんですね」

「仲良くなってそんな事も聞いたの。うちの屋敷は色々あるから、マレインは信用できる人に頼みたかったのよ」

「マレインちゃんにとって、ナニーは自分のお婆ちゃんみたいな人間と言ってました」

「私を育てた人だし、間違ってはないわね。それと、食事の事だけど……」


 シオリは銀食器と毒見役の説明をして、エメルトはメモを取り出してペンで何かを書いている。シオリの説明が終わったのを見計らい、エメルトは、食事の時間を書きましたとメモを破りテーブルに置いた。


「試用期間は半年。それまでに、マレインの体調が良くならなかったら馬車で貴女を実家まで送り届けるから。」

「採用したんじゃないんですか?」 

「世の中甘くないわよ。」


 マレインの久しぶりの元気な姿に期待をして、シオリは全力で治癒してもらうために試用期間を設けた。治癒の契約があるため、アマリリスを実家に返すつもりはないが。それに、マレインがアマリリスを気に入って、塞ぎ込んでいた息子が笑顔を見せた。心境として、夫が「可哀想だ」と猫を拾ってきて、息子が猫に一目惚れして離さなくなって。妻が面倒を見て、情が湧いた状態だ。

 

「アマリリスのもう一つの鞄は、ティートリーの従者がそこに置いたから」


 シオリが指をさすと部屋の隅に、ボストンバッグが置かれていた。シオリは、エメルトに手伝ってねと言って部屋を出た。アマリリスはボストンバッグのファスナーを開けて、2人で洋服をハンガーに掛ける事から始めた。


 エメルトにお礼を言って見送り、テーブルの上に置いた2つのクッキー缶の内、1つの蓋を開ける。琴葉が夕霞で多めに買った、魔除けとんぼのアクセサリーだ。1つは髪飾りが入っている缶で、もう1つはネックレス等のアクセサリー缶。

アマリリスは銅古美の髪飾りを選び、手に取ろうとすると缶の底に手紙があった。選んだ髪飾りを、テーブルに置いて手紙を読む。


「愛娘ちゃんへ


魔除けとんぼのアクセサリーは異性同士だと、結婚の約束として贈ります。又は妻か夫に贈る。

同性同士だと親友の証。同性愛者の場合は、また違ってくるけどね。

親が娘息子に贈る場合もあります。

扱いには、気を付けてね。

 

魔除けとんぼは、ガラス部分が異性からの魔除けになるから肌見放さず付ける事。

父様と母様の最初の結婚相手には、魔除けにならなかったのは、今だに!不思議ですが絶対に忘れず付けてね。


               母より」


 アマリリスは、手紙を元に戻した。琴葉が元気な頃に、アマリリスによく言い聞かせていた話をそのまま書かれていた。アマリリスが幼い頃に家族と町に出かける時は、琴葉がアマリリスの髪飾りをちゃんと付けているか確認する程だった。人攫いに目を付けられないように、赤ずきんのような黒いケープを被り、両親は、ウィッグを被っていた。

 

「せっかくの手紙だから、母様はもうちょっと気の利いた事を書いて欲しかったな。だけど、魔除けとんぼが効かない場合があるのはなんでだろう」


 数年前。アマリリスが、夜中目が覚めて水を飲みに、リビングに行った時。両親は、ワインを飲みチーズやクラッカーを食べていた。2人は解けない謎について愚痴大会をしていた。


「最初の夫に会った時はとんぼのイヤリングはちゃんと付けていたけど、何十年経っても変わらず好き好きがすごかったのよ。だけど、とんぼのイヤリングをあの人に取り上げられたら、男の人が声をかけるようになって……」

「こっちは、親の形見の魔除けとんぼの指輪を付けていたのに、須実に浮気された。貴方の子供を産みたいとよく言っていたのに、私の事を好きじゃなかったのかもしれない」

「浮気する人間は浮気するんじゃない?……ってアマリリス、寝なさい」

「母様と父様で美味しそうな物食べてずるい」


 アマリリスは、席について両手を差し出す。何か下さいのポーズをする。泉は眉尻を下げて「今日聞いた事は忘れなさ」と、チーズとナッツをアマリリスの手の平に載せた。父親の黒歴史の口止め料だったが、意図に気付かないアマリリスはクラッカーを袋から勝手に出して、チーズとナッツを載せて食べてた。






 

 


シオリはナースがマレインの秘密を漏らさないように、自分のナニーに頼むという設定にしよう→資料を読む→実際に、自分のナニーに子供のナニーになってもらった話はあるので、時代は変わっても、みんな考える事同じかという感想です


 

  

 

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