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白銀の花は不老に咲く  作者: 季原若草


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第16話 食事拒否 

 ニルデ達が、屋敷から去った夕方にはアマリリスは目を覚ました。ロッティは平謝りで、毒見をしたラタトゥイユを、スプーンですくってアマリリスの口に差し出す。アマリリスは、口を開かなかった。


「今は、ショックで食べられないだけですよ。」


 ファルは泣きそうになってるロッティを落ち着かせた。アマリリスの体を拭いて、水分補給だけはさせて寝かせた。

 翌日。息を切らしたシャーロットが、シオリの部屋にアマリリスの事で相談に来た。


「シオリさん。アマリリスが食事をとらなくなったの」

「あの子の食器は銀食器にしたし、毒見役もいるけど」

「用意された食事が怖くなって、千切って口に入れようとしても、体が動かなくなるんですって。食事を交換しようとしたら私は使用人だからダメです!と断るし」

「アマリリスは何も食べてないの?」

「私が作ったお菓子をあげたら食べていたわ。」


 アマリリスは毒入りの食事から、お菓子しか口にしてない。育ち盛りの体は限界を感じて、厨房に向かい手すりに掴まり一段一段ゆっくりと階段に足をつける。アマリリスは、背中を強く誰かに押される感覚がして、視界は揺らいで階段から落ちていった。


「化け物はこれで死んだはず…」


 フィオナがうつ伏せで血まみれになっているアマリリスをそーと様子を窺う。確かめるためにつま先でアマリリスの頭を軽く突くと、片手が伸びて子供とは思えない力で足を掴んだ。フィオナはパニックになり、何度もアマリリスの頭を蹴ると、アマリリスは呻き、手の力が緩むとフィオナは足を振りほどいた。足が悪い人間とは思えない駆け足でフィオナは逃げていった。


 2度目に目覚めた時には、アマリリスは自室のベッドで毛布を掛けられていて1度目と同じ光景だと思ったが、横でマレインが手を握っていた。


「シオリ奥様呼んでくる!」

「シオリさん呼んでくるね!」


 カルミアとイリスは、明るい声を重ねて部屋から出ていきドアは閉まった。


「2日間、気を失っていたんだよ。アマリリスちゃんは次からきちんと出された食事は必ず食べて。母さん達が食べないから、ふらついて階段から落ちたと言っていた」

「違うよ、マレインちゃん。私を突き飛ばした犯人がいるの。それと、お願いがあるの」

「お願い事も犯人も、食事を一口だけでいいから食べてからでね。」

「分かった…今度こそちゃんと食べる」


 夕方。ボリジの部屋にフィオナがノックをして入る。ボリジの集中力が切れないようにと、アデルとフィオナは部屋の隅でこそこそ話をする。アデルはフィオナの話におかしいわよと小声で文句を言っていると、シオリとアマリリスとマレインと侍女3人がノックもせずに部屋に入った。


「一体何ごと!?」


 アデルの金切り声が響き、侍女3人がフィオナを追いかけ、部屋中を走って逃げまわる。フィオナを見て、家庭教師とボリジがポカンと眺める。足が悪いと聞いているはずが、むしろ足は速い。侍女3人は回り込み、なんとか捕まえると、頭と腕に包帯を巻いたアマリリスはフィオナの前に出る。アマリリスは生き返り傷一つないため、本来なら包帯は必要ないが怪我をしたアピールとしてファルに無理矢理包帯を巻かれた。


「おもいっきり足を掴んだから跡が残っているはずです」

「ストッキングを今脱がす訳にはいかないから破って」


 シオリは、憎い相手でも男性がいるため配慮はした。ディハニヒとファルがフィオナを押さえる。エメルトがスカートを少したくし上げると、真っ黒なストッキングを破き、アマリリスの証言通りに足に赤黒い指の痣があった。

 

「だって!アデルがやれって言うから!」

「あら?カルミアはアマリリスが来てから、調子に乗るようになったとか、フィオナさんは言ってなかったかしら?」

「あたしを見捨てる気!アデルが恐ろしい計画をあたしにやらせるから!」


 2人は醜い仲間割れをする。部屋の主であるボリジは、母親の悪事の告発に勉強どころではない。


「母さんどういう事だ!」

「子供は関係ないから黙ってなさい。ボリジは鞭が好きだっけ?ボリジは、知らなくていい」


 アデルはボリジの二の腕を掴み、鞭の話をされたボリジは萎縮して黙る。アマリリスはまあまあ落ち着いて下さいと、いつの間にかアデルの近くまで来ていて背中をそっと触る。ボリジとアマリリスは、お互いの顔を今日初めて見た。

 ボリジは、ティートリーの父親似の容姿だ。大柄で、首は太く短く骨太で健康そのもの。父親と同じ金の髪と目。目が離れてギョロリとして、顔つきは険しい。妹達に比べて目鼻立ちが良いとは言えず、容姿は母親と似ている部分を探すのが難しい。

 

 マレインはアマリリスを引っ張ると、小声で毒蛇に近づくようなものだとシオリの近くに避難させる。


「ボリジの勉強の邪魔になるし、わたくしには関係ないから出ていって」


シオリはこれ以上追求しても無駄だと分かっている。ルーシーから、アデルからの悪行は聞いていたので、大人しくシオリ達は出ていく事にした。

 ボリジは出ていく人間を静かにじっと見ていた。正確にはアマリリスに大丈夫?と言いながら肩を寄せるマレインの2人を。アマリリスをねっとりとした目で見つめて、次にマレインには恨みがましい目で見ていた。




アマリリスが自傷した腕は死んだ事により傷跡は治り跡は残りません 


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