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白銀の花は不老に咲く  作者: 季原若草


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第13話 アマリリスは○○する 4

 カルミアは、食器を変えた犯人達の解雇と聞いて。見たことないような満面の笑みで、旅行に送り出すようにファルとエメルトに両手を振った。


「あたしの代わりに、1人100発でも200発でも鞭を打って下さいね」

 


 カルミアは以前いたメイドが、ヴァイオレット家では悪さをした使用人は主人に鞭打ちされるという冗談を同僚達に話していた。近くで聞いていたカルミアは、信じ込んでいた。犯人達は死ぬだろと、侍女2人は内心突っ込む。マレインは、カルミアに同調して、コクコクと頷いている。マレインは、1人1000発でもいいと言い出して、バルバラに注意された。


「鞭打ちする侍女達の、腕の負担を考えて下さい」


 バルバラは、勘違いに乗ったのか真に受けたのか分からない変な説教する。

 マレインは、それなら俺が打ちに行くと言い出して、カルミアはあたしも!あたしも!と言い出して、ファルは扉をそっと閉めた。扉の向こうから「騒がないで下さい。アマリリスさんはこの部屋で眠ってます」とバルバラの声が聞こえた。


 ロッティは、厨房に戻った。スカラリーメイド全員を、応接間に呼び出すと知らなかったと答えた。スカラリーメイド達は、わけがわからないという顔で、すぐに厨房に帰された。

 厨房では、ニルデ達が抜けている間。蜂の巣をつついたように現場は混乱した。ルーシーの命令で前職で屋敷の厨房の仕事と、中流家庭で料理の経験があるメイド数人が入った。コックは縄張りが荒らされとばかりに、目を血走らせて怒鳴ったが、最後はしぶしぶとメイドを指導していた。前の、主人は魚が嫌いだったから、魚の捌き方が分からない子。久しぶりにやるので、手際の悪い子達にコックは苦労した。 

 

 

 食器を変えた犯人は、ニルデとケヴィンとフットマンと他のキッチンメイドの4人。

 ヴァイオレット家には、使用人が問題を起こした場合の2部屋の反省室が半地下にある。尋問が終わった順に、反省室にシオリの侍女が連れて行き、男女で別れて一晩過ごさせた。1部屋にベッドは1つしかなく、2人で1つのベッドで眠った。反省室に入れられるのは、使用人達にとって屈辱で見せしめもある。

 翌朝には、荷物を纏めさせ、彼等は同僚達に挨拶もせず出て行った。挨拶をしなかったのは、屋敷中で噂になっているからだ。彼等は、もし同僚達に顔を合わせたら何て言われるか。しばらくは、噂の的だろう。


 ニルデとケヴィンは、これ以上恐ろしい目には合わないだろうと言い合った。シオリが、静かに怒りの炎に包まれていたのを、長く仕えている侍女達は分かっていた。

 カレンデュラ社のイメージが下がるため「紹介状無しの解雇」という形で、内々に処理をした。シオリが彼等の実家に手紙を書いて、その日のうちに侍女に手紙を出させた。電話ではなく、手紙にしたのは家族全員で共有できるように証拠として残すためだ。全ての手紙には13歳の女の子が死にかけたと強調した。ケヴィンとニルデの往生際が悪い態度と、女主人を舐めた態度をきっちり書いた。


「ケヴィン達が実家に着く頃には、手紙は届いてるでしょうね」 


 シオリは、自室の窓から立ち去るニルデ達を見送った。シオリの背中を見ながら、侍女達は彼等の実家からの問い合わせ対応を、シオリは仕事と称して嬉々としてやるのだろうと後ろで侍女達はひそひそと話した。


 

 毎朝、コックのオフィスでシオリは侍女1人を連れてコックのポシュナーとメニューの確認をしている。昨日は、ルーシーが代理を務めた。

 

 ポシュナーは初老の男性だ。白髪頭で全体的にふくよかで、団子鼻に腫れぼったい目の下にクマがある。ニルデ達に窓から別れを告げた後に、シオリとポシュナーは会議を始めた。メニューに不備はなく、了承する。

 シオリはお時間宜しいでしょうか?ポシュナーさんとワンクッション置いて、ポシュナーを尋問する。


「単刀直入にお聞きします。ニルデ達が、毒見役の仕事を妨害していたのをご存知でしたか?」

「私を疑っているんですか?コックは上級使用人だから、ケヴィンみたいに新入り使用人に不似合いだと加担していたんじゃないかって。私は、知りませんよ。寝耳に水です」


 ポシュナーはグチグチと、あの子達がいなくなって困っているし。自分は仕事が忙しいから、今まで知らなかったから驚いたと話す。しばらくは、臨時で雇った人間が、うちの厨房を使うのかと深くため息をする。

 

「私はニルデ達を頼りにしていましたし、あんな良い子がいなくなって困る。」


ポシュナーは、ニルデ達を良い子と評価する。ポシュナーからしたら、主人が危険なめにあったわけではなく、子供の使用人の殺害未遂事件はどうでもいいと言った様子だ。

 


「子供を殺そうとした人間が、良い子?ニルデは、私の事が嫌いだからやったと自供しましたが」

「ニルデ達はアマリリスを殺す気はないし、毒なんか入れてないと言っていました。私は、彼女達を信じますよ。事故に巻き込まれたようなもんですよ」

「ニルデが毒見役の仕事を奪ったから、起きるはずない事件が起きましたが?」

「確か……7年くらい前に、ヘルガがシオリ奥様の食事を、毒見して吐いて寝込みましたよね。その後は、何も無かったし。ニルデ達はその時はうちでは働いていなかったですし。完全に無関係ですよ。」


 シオリは、ポシュナーが何を言いたいのかと身構える。確かに、ロッティとニルデは6年前にスカラリーメイドとして同時に雇われた。昇進が早かったのは、ニルデだが。

 

「だから、ニルデは使用人の食事を毒見するのは大袈裟だと思って、判断してやったんじゃないでしょうか。」

「大袈裟?」



 ポシュナーは、早く人を雇って下さいと、シオリに頼み謝罪の言葉は一言も無かった。ポシュナーは、ヴァイオレット家では数十年尽くしてくれていたので、シオリは飲み込もうとしたがふてぶてしい態度が癪に障った。コックは、食いっぱぐれがなく、転職されやすい。技術のあるコックは、主人は重宝する。自分を簡単にクビにできないと、足元を見ている。部外者が何か言ってるとばかりに、ふんぞり返っていた。 



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