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白銀の花は不老に咲く  作者: 季原若草


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第12話 アマリリスは○○する 3

「俺はロッティに嘘をつきましたけど…、銀食器を洗ってるフットマンが思いついて始まりました。俺は普通に配膳しただけです!食事に何もしていません」

「そうですそうです!毒?を入れた人間を捕まえて下さい。私はロッティとアマリリスに嘘をついて、1回運んだだけです。他のキッチンメイドがアマリリスは贔屓されてるから、花柄の盆にしようと言って変えました」

「俺だけじゃなく、ハウスメイドも銀食器は入ったばかりの使用人に、ふさわしくないと影で言っていたから、俺が親切心で変えただけです」

「私達は、巻き込まれたんです!」 


 ニルデとケヴィンは、誰かが毒らしき物を混ぜて、その人間が全面的に悪い。自分だけじゃなく、他の使用人も協力していると主張する。

 彼等は罪がないのか?主人に密かに歯向かい時間をかけて騙して、手間を増やして数人関わっている。


「もういいわ」

「これで、終わりですよね?そろそろ厨房に帰っていいですよね?」

「きっと屋敷に犯人はいるはずです」


 ニルデとケヴィンは安堵の表情を浮かべるが、シオリは2人を地獄に突き落とす。



「2人は、紹介状無しの解雇ね。」


 ニルデとケヴィンは、顔色は青くなりロッティに助けを求めるが顔をそらされた。ロッティは、シオリの温情で免れた。毒見役を引き受ける人間は、ロッティしかいないという打算もあるが。

 ロッティは、ニルデ達に殺人の片棒を担がされたため、変わらず仲良くするつもりはない。殺人事件の関係者になったロッティは、今後はシオリが頼みの綱だ。

 

「ロッティ。貴女は毒見役の仕事を怠惰にこなしたから、給料の方でおもいっきり罰するわ」


 ロッティは、シオリに初めて頭を下げて、つっかえながらも謝罪と感謝の言葉を述べた。友情を優先して、自分に甘かった。

 ロッティは、厨房で2人目の毒見役になる。奥方達は侍女に毒見役をしてもらうが、シャーロットが、イリスを身籠っている時に毒見をした侍女が倒れた。

  


 厨房はコックのテリトリーなため、コックに許可をもらってシオリはキッチンメイドで、毒見役を出来る人間を侍女に探させた。自分の作った料理で主人と子供が死なれたら、シャレにならないからだ。 

キッチンメイドが毒見役をやれば、不審な動きがないか、見張ってもらえて奥方に不満はないし危険もない。厨房の使用人が異物を入れた場合は、同僚が食べる事にもなるためやりづらくできる。   

 当時在職していたキッチンメイドのヘルガは、破格の給料に釣られて喜んで引き受けた。他の人間は怖がり名乗りが無かったため、ヘルガにすぐ決まった。


  

 ヘルガは、長年勤めて1回吐いただけで、翌日にはけろりとした顔で復帰した。目標額が貯まって、やりたかった商売があるので辞めますとシオリに告げた。ヘルガは、シオリに感謝しているが、ヴァイオレット家に骨を埋めるつもりは無かった。代わりに、後任の人間であるロッティをシオリに紹介した。ロッティも、ヘルガ同様に1人だけ毒見役をやりたいと希望した人間だ。 

 ロッティは、貧しい実家になるべく仕送りをしたいのと、自分にお金をかけたかった。ヴァイオレット家の奥様達の装いを、ハウスメイドから聞く度に憧れた。


「奥様の言う事をきちんと聞いて、仕事は丁寧にこなしなさい。厨房で何かあったらすぐに、シオリ奥様に報告しなさい。おかしいと思ったら、すぐに吐きなさい」


ヘルガが辞めるまで、ロッティは毒見役の仕事を教えてもらい先輩としてのアドバイスをもらったが、ロッティはお金の事で頭が一杯でろくに聞かなかった。要は、配膳して食事を届けて食べて、あとは食器を下げるだけ。文字通り、美味しい仕事だと浮かれていた。ヘルガが1回吐いた以降は、何も無かったと聞いたため高を括った。ヘルガは、高額な賃金が発生する理由として述べたが、ロッティはそう受け取らなかった。ヘルガが吐いた当時は、ロッティはヴァイオレット家で働いていなかったので実感がわかなかった。


 ロッティは、責任の重い仕事だと今日初めて気づいた。ヘルガは「最初は怖かったけど慣れたし、前は早食いだったのにゆっくり食べる癖がついた」とケラケラ笑っていたが。毎日真剣な顔をして食器に異常がないか点検して、毒見の時間に合わせて仕事を調節していた。

 ロッティはというと、他の仕事に気を取られて食事を届ける時間に遅れるなんて当たり前。シオリは、厨房の仕事は忙しいのだろうと指摘してこなかった。

 

 シオリは、ディハニヒに指示してニルデ達を別室に連れて行かせる。関係者全員の名前を、吐かせるつもりだ。


「誰なのか一人残らず言わないと、シオリ奥様は給料で更に罰するそうです」


 ディハニヒの声は、怒りを含みながらも静かにニルデ達を恐怖に陥れた。ロッティは、一歩間違えれば一緒に恐怖の尋問を受ける事になったと身に染みた。


 

 

 尋問する人間が足りず、エメルトがファルを迎えに行った。アマリリスの世話は、カルミアが快く交代した。部屋の隅に隠れているバルバラとマレインの2人を見て、エメルトがファルにどういう事かと聞く。イリスは、マレインが心配していると聞いて「私の代わりに見守ってあげて」と口実をつけて、シャーロットを通じてマレインに伝言をした。バルバラの隙を見てアマリリスの部屋に看病しに行ったマレインを見て、バルバラは根負けした。


「マレイン様には、バルバラが側にいますので大丈夫です」

「バルバラとファルは甘いんだから」


 エメルトは仕方ないとマレインを見なかった事にした。エメルトは、自分も人の事が言えないかと心の中で自分に指摘した。アマリリスはというと、目を覚まさない。

 


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