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白銀の花は不老に咲く  作者: 季原若草


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第10話 アマリリスは○○する 1

 7回目の治癒が終わりベッドの上で紙ふうせん、風車、けん玉、万華鏡といった玩具が広がっている。泉が昔桜良国の土産として買ってきて、アマリリスの私物である。アマリリスは、吹き戻しを何度か吹いて、マレインの頬にあててちょっかいをかける。

 マレインがやりたそうな顔をしていたので、アマリリスは吹き戻しから口から放してマレインに渡す。マレインは、ワクワクした顔で2、3回吹くと間接キスと気づいたのか、茹でタコのように真っ赤になる。アマリリスは、万華鏡をくるくると回して覗き込んでいる。間接キスを目撃したシオリは、マレインの心臓に悪いと吹き戻しを取り上げた。


「この玩具は、危ないからアマリリスに返すわね」

「危ない?どこがですか?」

「マレインには危ないの」


 アマリリスは、万華鏡をベッドに置いて、マレインに何で?と顔を向ける。茹でタコは、アマリリスの唇を見て更にのぼせそうになっていた。

 吹き戻しをシオリから、受け取りあちこち傾けてどこが危険か観察する。


「私が使っても大丈夫かな」


 アマリリスは、躊躇う事なく吹き戻しに息を吹きかける。マレインは、アマリリスも間接キスした事実に喜べばいいのか、恋愛感情がないから成立したという事実に悲しめば良いかわからなかった。

 アマリリスは、異性と双方間接キスした事に気づかず吹き戻しを顔色を変えることなく遊び、マレインが赤くなったり青くなったりしている。シオリは、2人をほっといて久しぶりに遊ぶか、とけん玉を手に取った。


 

  

「カルミアと桜良語の復習をする時間だから、カルミアの部屋に行ってくるね」


 アマリリスは、バイバイとマレインに手を振って部屋から出て行った。カルミアとアマリリスは大人になったら、桜良国に旅行に行く約束した。カルミアはシオリに頼み込み、アマリリスと同じ桜良国語の家庭教師をつけてもらっている。カルミアは、勉強は言われた通りにやってきたが、今は熱心に授業を受けている。


「マレインは安静にしてなさい」


 マレインは、カルミアが羨ましかった。

もし、自分が元気だったら桜良国じゃなくても、将来どこか遠い場所に旅行に行こうと約束出来たかもしれない。マレインは、毛布を頭から被った。10分後にティートリーが見舞いに来たため、シオリに毛布を剥ぎ取らた。


 翌朝。ファルがアマリリスの部屋をノックをするが返事がない。掃除の時間に合わせていつもなら起きている。

 確認のため、アマリリスの部屋に勝手に入ると、部屋の異常事態に息をのんだ。


「アマリリスさん!」

 

 花柄の安価な盆は落ちて磁器の器は割れて、アマリリスは倒れていた。腕には深い傷があり出血していて、手には尖った破片が血まみれになって握られていた。のたうち回っていたのか、髪は乱れていて着ているワンピースは皺がついている。ファルは、シオリの部屋に全力疾走で人を呼びに行った。


■■■



 毒見役のロッティが、シオリとマレインの昼食を届けて、シオリと侍女の目の前で毒見を終えて厨房に戻ろうとした所を、エメルトが押しとめた。 

 ヴァイオレット家の奥方は5人いるため、家族揃って食事をしない。人数が多いため時間に合わせるのが、難しいのが建前。仲が悪い奥方同士いるため刺激させないためだ。

 

 アマリリスの容態を聞いてロッティは足元がふらつくとへたり込む。ロッティは、放心しているとエメルトが中腰になる。


「正直に話して下さい。奥様は、ロッティさんを痛めつけたい訳ではありません。」


 エメルトに、手を貸されて起き上がり、ロッティは全て自白する決心をした。ロッティと侍女達は、既に昼食を済ましているため。シオリは昼食を終えると、ロッティはシオリと侍女達と移動して応接間で尋問が始まった。

 

「アマリリスさんはマレイン様の治療係ですので、主人と同じ銀食器にして、シオリ奥様はロッティさんに毎食頼んだはずです。配膳もロッティさんの仕事です。」

「最初の4週間はアマリリスさんの食事を担当していました。」

「何故、アマリリスさんのだけやめたのですか?」 

「ケヴィンとニルデにシオリ奥様の伝言で1人の使用人を贔屓すると、他の使用人の不満が出るから毒見役は必要ない。配膳もしなくていい、食器を届けたり下げたりしなくていいと聞きました。アマリリスは、シオリ奥様から話を聞いてる。取りに来るの忘れてるから、ニルデが今回運びに行くと言われました。」

「何故、シオリ奥様に確認しなかったのですか?」

「他の使用人にも必要ないと言われましたので、すっかり信じてしまいました。コックに確認しようとしたら、いいから早く仕事しろと追い払われてしまいました。」



 ロッティは、厨房で働くキッチンメイドだ。シオリとマレインとアマリリスを担当している。シャーロットとイリスの毒見役は、シャーロットの侍女がやりカルミアも担当している。   

 ファルが、シオリ達を呼んだあとに、すぐに医者を呼び部屋で寝かせて、ファルがアマリリスの面倒を見ている。カルミアとイリスも付き添っている。マレインは、アマリリスの部屋に行こうとしたが、バルバラに体調は万全ではないのでと止められた。


   

 ディハニヒは1階の別棟の厨房に行きノックをせずに入ると、初老の男性のコックが文句を言いに来たので「緊急事態ですので」と黙らせた。


「食事を運んだメイドと、配膳した使用人を連れてきました」


 ディハニヒは厨房で働いていた2人の男女を連れてきた。キッチンメイドのニルデとホールボーイのケヴィンだ。ケヴィンは、厨房の雑用によく顔を出している。

 

 ニルデとケヴィン達は、応接間に入ると息を呑み、家具を一つ一つ食い入るように見る。

 主人達が、生活する表側は「お屋敷」にふさわしい壮麗さだ。使用人達が働き住む裏側は質素で、表側のような美術品のような家具は1つもない。2つの世界で別れている。こんな状況に関わらず、つい見入ってしまうのは当然だろ。




アマリリスは間接キスをする

アマリリスは絶命する


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