4章.1 剣聖
4章突入です!
引き続きよろしくお願いします!
ある日“剛剣“が頼まれていたワイバーンの討伐の依頼を終えて国に帰ると、予想外の人物に声を掛けられた。
「久しいなローガン。てっきり君は国を出て行くと思っていたから会えるとは思わなかったよ。面白い人材はいなかったのかい?」
狐の耳と尻尾を持つ獣人が、あの“剛剣“に話しかけている…。
周囲の冒険者やギルド職員がギョッとした顔で2人を見た。
“剛剣“といえば、次期Sランク候補筆頭として着実に功績を上げているが、力のあり過ぎる者は孤立する。
ローガンは国内では有名になり過ぎたせいで、彼を知らない者か余程の実力者以外は、話しかける者などいないし、ローガンもそれが楽でここを拠点として活動していたのだ。
「師匠?ギルドに来るとは珍しいな。人恋しくなって山から降りて来たのか?」
あの“剛剣“が親しげに会話しているのにも驚いたが、『師匠』という言葉に、この場にいた全員が驚きを隠せなかった。
「何十年前の話をしてるんだお前は。最近はこうして、たまに依頼を受けに来る冒険者の中に面白いやつがいないか見に来てるんだ。やっと当たりかと思ったらお前だったからガッカリだよ本当。」
やれやれという素振りをする狐の獣人に、全員がこの後どうなるのかと固唾を飲んで見守っていると、“剛剣“からとんでもない単語が飛び出した。
「“剣聖“の癖に暇過ぎるだろ…。それに弟子探しなら国を出て探せば良い。…いや、そういえば1人、面白いやつがいたな。」
“剣聖"
かつて、剣の道に生きた者が憧れ、そして伝説となったSランク冒険者の異名だ。
弟子には高ランク冒険者が多数いて、“剛剣“もその1人というのは有名な話だが、まさか平和な昼下がりのギルド内で出会えるとは誰も思っていなかっただろう。
「ほう?ローガンが言うなら気になるじゃないか。どこのどいつなんだい?」
“剣聖“が興味を示し、嬉しそうに聞き返す。
「モウラとリーリエを覚えてるか?いや、あいつらの息子がいい魔力操作を使っててな!弓をメインにしてるが、剣の筋も悪くない。それに、まだ身体強化を覚えてない状態で俺に剣以外を使わせやがったんだ!アイツは伸びるぜ?」
「あの2人の子か…。確かに才能をしっかり受け継いでいたら有り得るな。うん、その子に会ってみたくなったよ。」
全員が2人の会話に興味津々だった。
世界屈指の実力者の2人が注目する人物が何者なのか、噂が獣人の国中に広がるのは必然であったが、当の本人達は、周りを気にせずにその人物の話で盛り上がるのだった。
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「ウルド、朝だよ?今日は朝からギルドに行くんじゃなかった?」
最近は俺より早起きのオリビアに起こされた。
「んん…おはようオリビア…。今じゃすっかり昔と逆だな。顔を洗ったら朝食を準備するから待っててね。」
「ウルドが起きないから準備出来てるよ。ほら、早く顔洗って来てね?」
これじゃどっちが保護者か分からんな…。
顔を洗って朝食を済ませると、俺はギルドに行く準備をする。
「オリビア、今日は遅くなるかもしれないから晩御飯は食べちゃっていいからね。その代わり明日はお休みにするから。」
「外で食べて来るの?あまりお酒飲み過ぎないようにね?ルルお姉ちゃんからも、ウルドの事よろしくって言われてるんだからね?」
「はい、気を付けます…。それじゃ、行って来るよ。」
この2年ですっかりお姉さんになったオリビアに、最近はずっとこんな感じだ。
「行ってらっしゃい!ウルド!」
笑顔のオリビアに見送られてギルドに向かう。
この2年で蓄えも増えたし、オリビアがスキルを手にするまで後2年、この調子なら余裕を持って旅立てそうだ。
ギルドに入りいつもなら依頼を漁るが、今日は指名があるそうなのでそのままミレイさんの元に向かった。
「おはようございますミレイさん。指名の依頼があるって聞いたんですけど。」
「おはようウルド君!ちょーっと待ってねー?…あったあった、ソフィエラって人からの依頼なんだけど、ギルドマスターに直接依頼したみたいね。オークの集落を見つけたから、もし受けるなら執務室に来て欲しいそうよ。」
直接って事はザイルさんの友人なのかな?
貴族とかなら面倒だから嫌なんだけど。
俺は依頼主に接点がないので、恐らくザイルさん経由での依頼だろうと考えていた。
「とりあえずザイルさんから詳しい話を聞いてみますよ。それじゃ行ってみますね。」
俺は早速ザイルさんのいる執務室に向かいドアをノックすると、中からどうぞとザイルさんの声が聞こえ入室した。
「失礼します。指名依頼の件で…あれ?ローガンさん?」
執務室に入ると、ザイルさんとソフィエラという人物かと思っていたが、そこには以前、試験官をやってくれたAランク冒険者のローガンさんがいた。
「よう、久しぶりだな。ザイルから聞いたが、派手にやってるらしいじゃないか?やっぱりお前は面白いやつと思ってたんだよ。」
ニヤリと笑うローガンさんに、また戦おうと言われるかと思って少し警戒してしまう。
「あの時教わった鍛え方のお陰でなんとか乗り切って来ました。本当にありがとうございました。」
あの魔力操作の鍛練のやり方を教わらなかったら、オーク王もアンフィスバエナにも、俺は太刀打ち出来なかったと思うので、俺は深々と一礼して感謝を伝えた。
「お前のそれまでの鍛練が無けりゃそもそも俺に出会えてねぇ。俺は少し助言しただけだ。それよりお前、依頼受けるだろ?早速行こうぜ。」
ローガンさんが立ち上がり、今から行く気満々のようだ。
「あれ?ソフィエラって人の依頼ってローガンさんの依頼なんですか?」
俺が不思議に思い質問すると、ザイルさんから説明が入った。
「ソフィエラはローガンの師匠の名なんです。僕とも古い友人でね。隠居してたかと思ったら、急にローガンが代理で依頼を出してきたから驚きましたよ全く…。」
やれやれといった感じでザイルさんが話してくれると、ローガンさんもそれに続いた。
「全くだ。俺に任せず自分でやれってんだよ。それでどうする?受けるなら面白い物を見せてやるぜ?お前のまだ知らない魔力の使い方をな?」
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