3章.30 ただいま
明日、3章終わります
ザガルタを出るとすぐに魔法を使い、猛スピードで森に向かう。
このスピードなら、いつも通りだったら2時間もあれば着きそうだな。
手紙は渡してくれていると思うから急いで帰る必要はないけど、早くオリビアを安心させてやらなきゃいけない。
俺はオリビアの事を思い浮かべると自然と込める魔力が増え、スピードが徐々に上がって行った。
「待ってろオリビア、みんな!今帰るからな!」
先程とは比べ物にならないスピードで駆け抜けていき、森まで今までは約2時間の道のりを10分以上短縮して2時間を切る事に成功した。
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久々に里の森に入ると静かで落ち着いた雰囲気だが
久しぶりに森に入ったけどこんなに静かだったか?
「ドライアド、いるか?」
「いるわよ。森の事なら貴方が世界樹様と契約した時に、大樹に世界樹様の力が流れ込んで森の大部分が聖域化してるみたいね。これならここら辺の魔物は森に近付く事すら出来ない筈よ。」
なるほど、ユグドラシルの力だったのか。
これに関しては感謝だな。
「ありがとうドライアド。世界樹にもそのうち礼を言っておかなきゃな。とりあえず今は里に早く帰ってみんなの顔が見たいから急ごう。」
ドライアドと森で別れて里の入り口へ向かうと、少女が一人で立っているのが見える。
近付いて行くと向こうもこちらに気付いたようで、こちらに向かいゆっくりと歩み出した。
「ウルド…?本当に、ウルドなの…?うわぁぁぁんっ!ウルド!ずっと良い子で待ってたの!ルルお姉ちゃんと一緒に毎日お祈りもしたよっ!!でも、ずっとずっと不安だった!ウルドがもし帰って来なかったらって!…ぐすっ…おかえりなさい!ウルドっ!」
飛び込んで来たオリビアを抱き止め、泣き笑いしている彼女の頭を撫でながら俺はオリビアに、いつもの家と同じ様に返事を返した。
「ああ…よく頑張ったな…。ただいま、オリビア。色々あったけど全部終わらせて来たから、明日ザガルタに帰ろう。今日はみんなに感謝とお別れを伝えなきゃね?」
「明日!?…もう少しだけここにいたらだめ…?リーリエママとモウラパパとルルお姉ちゃんも、ウルドとゆっくりしたいと思うのっ!」
オリビアめ、交渉が上手くなったな。
でもザイルさんへの報告もあるから長居は出来ないんだよな…。
俺は少し悩んだ後、オリビアに折衷案を出した。
「なら明後日ならどう?流石にこれ以上はギルドへの報告と、俺がいなかった間の依頼も確認したいから、俺だけでも先に帰る事になるかなぁ…。来月ぐらいに迎えに来るって感じになるけど、どうする?」
「嫌っ!ウルドと一緒に行くっ!…また一緒に遊びに来てもいい…?」
上目遣いでお願いするオリビアに勝てるはずもなく、俺は完全敗北した。
「ぐっ…!なら、冬の間にまた来ても良いか父さんに聞いてみるか…。それでどうかな?」
すると、パァッとオリビアは笑顔になり嬉しそうに腕の中ではしゃぎ出した。
「やったぁっ!!まだルルお姉ちゃんとリーリエママに色々教えて欲しい事あるのっ!ウルド約束だからね!?」
「分かったから暴れるなって。それじゃ家に着いたら早速聞いてみよっか?たぶん大丈夫だと思うけどね。」
オリビアを宥めながら実家に向かって歩き出す。
里の人達とすれ違うと、みんなおかえりと声を掛けてくれるので、帰って来てから30回ぐらいは、ただいまと言った気がする。
みんな元気そうで里に被害がない事を確認しつつ歩いていると、すぐに実家の前へ辿り着いたので、俺は玄関のドアをノックした。
「はーい!今開けますよー!…ウルド…!全部終わったのね…!ああ…私の可愛い息子をお守り下さり、ありがとうございます精霊王様!」
ドアが開くと、母さんがオリビアを抱く俺ごと抱きしめてきた。
「母さん、ただいま。ひとまず全部終わったかな?とりあえず里と友人達の危険は無くなったよ。ギルドに報告があるから明後日にザガルタに帰る事にしたけど、泊まっても大丈夫?」
俺が母さんに聞くと、ムッとした顔をしてデコピンされた。
「貴方の実家に泊まるのに却下する親がいる訳ないでしょう?それよりオリビアちゃん、大成功みたいね!」
母さんとオリビアがキャッキャと何かが成功した事を喜んでいる。
俺は疑問に思って母さんに直接聞いてみた。
「…一体何が成功したの?もしかして、さっきオリビアが言ってた、ルルと母さんに何か教えて貰ってた事?」
俺が母さんにそう聞くと、明らかに目を逸らして誤魔化し始めた所で父さんが帰って来た。
「今帰った…ウルド!帰ったのか!その様子なら無事終わったみたいだな?ハッハッハ!ウルドなら大丈夫だと信じてたぞ!よし、今日はウルドの生還を祝って宴だな!」
「ただいま、父さん。色々あったけど全部終わったよ。ティーザニア王国と世界樹の精霊には罰として宿題を出してきたけどね?とりあえず明後日ザガルタに帰る事にしたから、2日間またお世話になるよ。」
ついでに冬の帰省の件も話すと、どちらも快く了承してくれた。
「さて、じゃあ俺はルルに会いに…」
バァンッ!!
「ウルド兄っ!おかえりなさいっ!絶対帰って来るって信じてたよ!」
ルルに会いに行こうとしたら、急に凄い勢いで開かれたドアからルルが飛び込んで来た。
反射的にルルを受け止めて、改めて帰って来た報告をする。
「ルル、ただいま。オリビアの面倒を見てくれてありがとね。明後日の朝にザガルタへ帰るから、明日は修行を見てあげるよ。」
するとルルは上目遣いでお願いしてきた。
「ウルド兄…そんなすぐに帰っちゃうの…?もっとお話したい事とか沢山あるのに…。もう少し里にいるのはだめ…?」
ぐっ…!し、しかし、これ以上は先延ばし出来ないからなぁ…。
「ルル…俺もオリビアも、もう少しゆっくりしたいけど仕事があるから冬にまた来るよ。その時はのんびり出来ると思うから冬まで待っててくれる?」
ルルの上目遣いにも完全敗北したが、流石に帰らない訳には行かないので、オリビアの時と同じように冬にまた来る事を伝える。
するとルルは悪戯っぽい笑顔になると、先程の提案に答えてくれた。
「お仕事なら仕方ないもんね…。私はお姉ちゃんだから我慢出来るわっ!でも絶対、約束だからね?ずっと待ってるから…!」
再びギュッと抱きつくルルの頭を撫でて、冬に仕事を入れるのは今年は何としてもやめようと、俺は心に誓った。
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