3章.29 憧れの人
温泉でリフレッシュしてきて一日中書いてたら、
3章書き終えて4章も書き始めてたぜ…
翌日、日の出と共にカサンドラを出発した俺達は、途中で野営して順調にザガルタに向かって進んでいる。
「このペースなら昼にはザガルタに着くはずだ。疲れただろうがもう少しだから頑張れ。」
「なんの、この程度ならまだまだ元気だ!早くウルド殿とザイル様の暮らす街を見たいからな!」
オフィーリアは右腕に力こぶを作り元気なアピールをした。
やっぱり冒険者向きだな。
そして暫く歩くと遠くに見える立派な防壁にオフィーリアはかつての俺と同じ様に感動していた。
「凄い…。我々は森に守られて生きて来れたが、自らの力でこんな防壁を作ってしまうなんて…。人とは凄いのだな!」
「これからはお前が住む街でもあるんだ。今のうちに慣れとけよ?ほら行くぞ。」
オフィーリアが近付くに連れて緊張していってる様で、入場門前ではガチガチになっていた。
「おっ?久しぶりだな。遠征でもしてたのか?最近やっと街が大人しくなってきたし丁度良い次期に帰って来たな。そっちの連れはパーティ仲間か?」
「お久しぶりです。コイツはザイルさんの親族で、ザガルタに移住希望だったんで連れて来ました。この後ギルドで登録させようと思ってます。」
ザイルさんの親族という言葉で隊長が察してくれたみたいで表情が変わった。
「…なるほどな。なら大丈夫だ、通っていいぞ。ようこそ、辺境の街ザガルタへ。」
入場門を通り街に入ると、未だに緊張しているオフィーリアに話しかけてみる。
「どうしたんだ?カサンドラは大丈夫だったのにそんな緊張して。」
するとオフィーリアは少し顔を赤らめて恥ずかしそうに答えた。
「や、やはりザイル様と会うと考えると…その、き、緊張してしまうんだ…!私が幼少の頃に聞いた話で、私にとっては憧れと目標だったからな…!」
アイドルと実際に会いに行くみたいな物か?
俺には分からない感覚だけど、長年憧れてたらしいしそういう物なんだろうな。
「ならこれから同じ職場になる訳だし早めに慣れてくれ。ほら、ギルドに着いたぞ?」
「ま、待ってくれ!まだ心の準備が…あっ!行かないでくれ!」
オフィーリアの心の準備を待っていると日が暮れそうなので無視して入ると、ギルド内は相変わらず賑わっているようだ。
俺は見知った顔を探していると、カウンターに俺の担当と目が合った。
「ウルド…君?本当に…?レイスとかゴーストじゃないわよね…?」
あー、毎回これは流石に気まずい…。
女性に泣かれるのに慣れたくないけどいつも困ってしまうな。
俺はカウンターに近付くと久々のミレイさんに声を掛けた。
「お久しぶりです。色々終わったので報告に来ました。報告終わったらオリビアを迎えに行くのですぐ離れますけどね。」
「うん…!おかえりなさい!すぐにギルドマスターを呼んでくるわね!会議室で待ってて!」
ミレイさんは涙を堪えて笑顔を作りザイルさんを呼びに行ってくれた。
ミレイさんも強くなったんだな。
俺とオフィーリアが会議室に入り椅子に腰掛けようか考える前にザイルさんがやって来た。
「ウルド君!良かった…!…その様子ならティーザニア王国とは上手く行ったみたいだね。所でそちらの女性は?君の里の子じゃないんだよね?」
オフィーリアがビクッと肩を震わせるのを見て、ここは俺から紹介する事にした。
「こいつはオフィーリア。ティーザニア王国の王女何ですが国外に出たがってたんで連れて来ました。勿論、無理矢理じゃなく国王や国民に認めさせて出て来たんで問題ないです。そういえばザイルさんに憧れているらしいですよ?…ほら、オフィーリア。」
俺がオフィーリアに挨拶を促すと、覚悟を決めたのか顔を上げてザイルさんを真っ直ぐ見つめた。
「私はティーザニア王国第八王女のオフィーリア・リ・ティーザニアです!小さい頃に貴方のお話を聴いてからずっと、ずっと憧れてて、外で生きる為に剣の腕も磨いて来ました!どうかお側で勉強させて下さい!お願いします!」
オフィーリアが、今までの想いを全て言葉にしてザイルさんにぶつけて頭を下げる。
「先ずは頭を上げて下さい。貴女は勉強した知識をどうするんですか?いや、どうしたいですか?」
ザイルさんは知識をどういう風に役立たせたいかを知りたいらしい。
得た知識にも寄るけど、暗殺や戦争時の作戦計画など、暗部や軍部に渡るなら教えたくないのだろう。
少し悩んだオフィーリアだが、答えが決まったのか再びザイルさんを真っ直ぐ見据えた。
「もし生活の助けになる知識なら国民へ、内政や施設など我々の王国にも見習うべき所や導入すべき物の知識は国へ。勿論、機密と言われた物がありましたら死んでも口外しません!契約の巻物で縛っても構いません!」
契約の巻物で契約された事は絶対であり、破れば契約時にした約束を必ずするしかない。
つまりこの場合は、オフィーリアが機密を口外したら死ぬ契約という事になる訳だ。
流石に俺はやり過ぎだと思い、口を挟む気はなかったが慌ててオフィーリアを止める。
「いや待てってオフィーリア!そんな簡単に死ぬ契約なんてするな!お前なら1日持たないぞ!」
俺が必死に止める姿を見て、ザイルさんが笑い出した。
「クックック…失礼。わざわざそんな契約なんて結ばないよ。ただ僕が興味あっただけだ。でも、聞きたい事は全て聞けた。…いいだろう、僕が君のこちらでの後見人になってあげます。…これで良いですか?ウルド君?」
「…やっぱりバレてました?いやー、オリビアとオフィーリア合わせて面倒見るのは少し大変だし、年頃の男女が同じ屋根の下に暮らすのはマズいと思うんですよね。」
やはりザイルさんにはお見通しの策だったようだ。
元々ザイルさんに引き取って貰って、もし本気で断られた時は仕方なく1人暮らしが出来るようになるまでは面倒見ようと思っていた。
「それも含めて僕が後見人の方が良いと思ってね?オフィーリアさんの部屋は僕が用意しよう。それまでは済まないが宿で暮らして貰うけど構わないかい?」
「は、はい!勿論です!やったぁ!ウルド殿、ザイル様が移住を認めて下さった!本当にありがとう!これから沢山勉強して、国と国民の為に役立てなければな!」
オフィーリアが文字通り飛び跳ねて喜んでいるのを見て、素直に祝福してあげる事にした。
「おめでとうオフィーリア。ザイルさんに迷惑掛ける様なら、ユグドラシル経由で国王とライゼルに知らせるから頑張れよ?それじゃ俺は里に一旦戻ってオリビアを迎えに行って来ます。報告はその後で大丈夫ですか?」
「構いませんよ。早く里に行って家族達を安心させてあげて下さい。紅の乙女や関係者には解決した事を伝えておきます。」
オフィーリアが勘弁してくれと慌てているのをスルーして、命をかけて守りたかった人達の元に向けて、俺はギルドを後にした。
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