3章.22 王宮のお茶会 前
ちょっと暫くは朝の投稿のみになりそうですいません
ちょっと体調不良で明日は何もせずまったり過ごしますー
ティーザニア城の敷地内、厳重な警護により守られている王宮の中に、更に厳重な警護をされる離宮が存在する。
その離宮こそ歴代国王が唯一、安心出来る場所として一種の聖域とされてきた。
しかし今回、お茶会の場所として呼ばれた場所がその離宮の中庭だったので、ライゼルは勿論あのオフィーリアでさえ緊張している様子だ。
城の内情に詳しくない緊張感のない俺と、緊張でガチガチになった2人の王族と共に、俺達は離宮に続く通路を守る警護に呼び止められた。
「お待ち下さい、ここから先は国王陛下の寝所もあるこの敷地内の聖域となっております。お約束があればお伺いしてもよろしいでしょうか?」
あれだけ謁見の間で暴れたら警戒しない方がおかしいよな。
「ウルドだ。今日は国王からお茶会に招待されて来た。通っても?」
俺が名乗り出て約束を伝えると、警護は驚き道を譲る。
「ウルド様でしたか!お話は侍女から伺っております!ここを真っ直ぐ行けば離宮に着きますので、どうぞお進み下さい!」
「あ、ああ。ありがとうございます…。」
警護の勢いに負けて返事が少しおかしくなったが、許しを得たので俺達は離宮に向かって再び進む。
暫く進むと綺麗な中庭があり、メイド服を着た綺麗なエルフが俺達を待っていた。
「いらっしゃいませ。私は国王陛下直属にお仕えしている、メイド長のリーヌと申します。本日は皆様のお世話を仰せつかっておりますので、どうかよろしくお願い致します。」
完璧なお辞儀をするリーヌに、流石は国王直属だと感心した。
エルフのメイドは少し羨ましいと思いつつも俺はリーヌに挨拶を返す。
「俺はウルドと申します。本日は国王より招待を受けお茶会に来ました。よろしくお願いします。」
俺が挨拶を返して一礼すると、ライゼルが驚いている。
「…俺達と会った時とあまりにも違い過ぎて驚いてしまったよ!ウルド殿は誰にも俺達のように話すとばかり思っていたが、その、違うのだな。」
「当たり前だろ。最初はお前ら王族は敵だったんだからな。礼儀には礼儀で返すさ。」
俺がそう返すと、ライゼルはなんとも言えない複雑な表情になったがリーヌの案内により流された。
「お話中に申し訳ありません。茶会の席に御案内致しますのでこちらへ。」
案内に着いていくと、色々な美しい花々に囲まれた
ティーテーブルに案内された。
「なんと美しい…。私は剣しか知らぬ女だが、この庭は本当に美しくてこの世の物とは思えないな!流石は国王陛下の住まう聖域だ!」
あのオフィーリアが庭園を見て感動してる…!
驚きのあまり顔を見合わせた俺とライゼルは、同じ事を考えてたのか、これから少しでも恥じらいと姫様感が出ると良いなと温かい目でオフィーリアをしばらく見ていた。
そして花々を楽しそうに見て回るオフィーリアを観察していると、離宮から侍女を数人連れた少女、いや女性がやってきた。
「本日は招待をお受け下さりありがとうございます。私はティーザニア王国現国王のリセリア・リ・ティーザニアです。本日はよろしくお願い致します。」
リセリアと名乗った国王は今までの無表情と違い、柔らかい表情で挨拶し俺に向かい一礼する。
「ウルドだ。前より良い顔になったな。ユグドラシルから聞いたけど話があるんだろ?お茶のついでに聞いてやるから美味しいお茶を頼むよ。」
「ありがとうございます!世界樹様に夢で啓示がありました。私が自ら考え、民を導くようにと。これまでの経験は蓄積されてるので、歪めてしまったこの国を戻し良き国にしていきたいと思っております。さぁ、お話の続きはお茶をしながらに致しましょう?」
俺達はメイドのに席へ案内されると、次々にメイド達がケーキスタンドと紅茶を洗練された動きで用意する。
俺に紅茶の良し悪しは分からないけど、多分高いやつなんだろうな…。
…というかリセリアと接する距離感が分からん!
最初は敵だったから仕方ないけど、今は敵対してないし国王相手なら変えた方がいいのか…?
そんな事を考えながらお茶を啜っていると、リセリアから話しかけてきた。
「お茶はお口に合いましたか?お茶を共にするなんて子供の頃以来ですので、少し緊張してしまいますね。」
見た目は子供なんだけど黙っておこう…。
「俺に語れる程に紅茶の知識はないけど美味しいと思うぞ。というかこれからはライゼルやオフィーリアと飲めばいいだろ?というか何百年振りだよ。」
ライゼルが俺の発言を聞いてお茶を噴き出していた。
「そうですね…。貴方様の信頼を得た2人なら私も信頼を置けますので、良いかも知れませんね。……それではここからが本題なのですが、本当に国王になってはいただけませんか?今すぐとは言いません…。せめて、貴方様との約束が果たされたその時は…!」
やはりこれが話したい事だったか。
リセリアの心からの願いなのだろう。
目に涙を浮かべ懇願する姿を見て、もし俺がこの国で産まれていて外の世界を知らなければ、二つ返事で王になったかもな。
だが俺はせっかく勝ち取った自由を謳歌しなければならないので、泣いている女性を突き離すようで悪いけど、今の所なる気がない事をちゃんと伝えなきゃな。
「今の所はなる気はないな。そもそも俺がハイエルフになれるか分かんないし、王よりやりたい事があり過ぎる。ユグドラシルにも言ったけど、千年後に
暇ならいいぞ?俺はその前にライゼル辺りに頑張って欲しいけどな。」
横でむせるライゼルをよそに俺は美味しい紅茶を楽しむ。
「ウルド殿、勘弁して下さい!俺は内政で支えるぐらいが丁度良いぐらいなんですから!…ウルド殿がなってくれれば、オフィーリアの事も安心出来るんですけど。」
「生憎だけど娘がいるんだ。それに千年後だって言ったろ?お前は妹を千年間独り身にするつもりか?」
ライゼルがオフィーリアを見ると、今の話を気にもせずに、当の妹はケーキを美味しそうに食べていた。
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