3章.18 双頭の大蛇竜
今日は太陽を浴びに行こうと思います
ずっと国王の魔力を探知していたと思っていた。
だが、対面した時に感じた国王の魔力は俺が探知した魔力に比べて小さ過ぎる。
こんな膨大な魔力を持つ化け物が解き放たれたら、エルフの国だけの被害じゃ済まされないだろう。
だからこそ、今は封印が先だ。
「恐らく竜種だろ?流石に俺でもまだ無理だ。となれば封印しかない。違うか?」
「双頭の大蛇竜アンフィスバエナ。かつて世界樹の魔力を吸い尽くそうとした竜種。再び封印出来なければ世界樹は枯れ、世界は終末に向かいます。」
精霊は無表情で淡々と世界の危機を語った。
アンフィスバエナとか聞いた事ないけど、竜種って事だしこの世界じゃ有名なんだろうな。
「滅ぶならこの国だけにしてくれたら良かったのにな?……ほら、早くしろよ。結界直すんだろ?魔力やるから急げよ。」
精霊に効くか知らない皮肉を言い、俺は魔力を与えるだけで済むと思い精霊を急かす。
しかし、返ってきた答えに俺は開いた口が塞がらなかった。
「私だけでは無理です。貴方には、アンフィスバエナと戦って時間を稼いで欲しい。だからあの子の魂と融合して魔力を高めて欲しかったんですが。」
今こいつ、戦えって言ったのか…?
「国王の私を殺せってのはそういう意味か…。因みに前回はどうやって封印したんだ…?」
俺はあまり聞きたくないが、聞かずにはいられなかった。
「前回は召喚された勇者が命を賭けて討伐しようとしましたが失敗、その後に何とか弱った所を封印しました。」
やはり一筋縄では行かない相手のようだ。
しかし俺は命を賭ける気は全くない。
「勝算はあるんだろうな?流石に策なしで戦うには相手が悪過ぎる。」
俺が精霊に尋ねると、相変わらずの無表情だが流石に無策ではない様だ。
「任せて下さい。貴方次第ではありますが確実に成功します。」
俺次第、か。
ここまで来たら最後までやるしかないだろ。
俺は覚悟を決めて弓を握り、精霊に作戦とやらを聞く事に決める。
「よし、なら聞かせてくれ。確実に成功する作戦とやらを。」
精霊はこちらを真っ直ぐ向き直す。
「私と契約して貰います。これで貴方は世界樹の魔力をこの森の中では無尽蔵に使える事が出来る筈です。この魔力があれば貴方ならアンフィスバエナと渡り合えます。」
世界樹の精霊と契約か…。
正直思う所しかないけど今は仕方ない。
「結界の為には仕方ないな。契約を済ませてしまうぞ。」
俺は右手を世界樹の精霊に差し出すと、右手の甲に口付けを交わす。
すると世界樹に繋がれたパスから膨大な魔力が流れ込んで来た。
「ぐあッ!?何だこれッ…!制御が……くっそ……!これが世界樹か!?」
俺の魔力操作を持ってしても制御し切れない魔力。元から魔力操作を頑張ってきたおかげで、常人ではあり得ない魔力量を操作可能だが、今までとは比べ物にならない量の魔力の奔流に飲まれそうになる。
「私は結界の再構築に全てを費やすので、アンフィスバエナとの戦闘による魔力制御は貴方に一任しなければなりません。なので、貴方は世界樹の魔力を完全に制御出来るようになって貰います。そうすれば確実に成功するでしょう。」
そりゃこんな魔力を制御出来たら成功するに決まってんだろ!!
身体の中を膨大な魔力が縦横無尽に暴れ回る。
このままだと内側から魔力が暴れ出して爆発してもおかしくないので、まずは体内をゆっくり循環させる事から始めた。
3日も瞑想していると、何とか魔力を循環させる制御は完璧に出来る様になった。
「3日でここまで可能とは驚きました。やはり新たな国王は貴方しかいません。」
引き続き瞑想をしていると世界樹の精霊に魔力操作を褒められた。
地道にコツコツと伸ばしてきたスキルだったけど、まさか世界の危機に役立つとは思わなかったな。
「国王にはならないけど、世界樹の魔力は大体、馴染んで来たな。あと3日もあればいけるぞ。結界の方はどうだ?」
俺が精霊に聞くと、相変わらずの無表情で返ってきた。
「貴方に合わせます。元々結界はアンフィスバエナを抑えられればすぐに直せるので。」
よし、後は俺の調整次第って事だな。
「分かった。なら余裕を持って作戦は5日後にする。それまでにこの魔力、物にして見せるぞ。」
魔力をひたすらこね回しながら俺は、数日後に迫る戦いをイメージをしつつ瞑想を続けた。
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