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3章.16 王とは

今回ちょっと短めです

何、言ってんだ、こいつ?



頭がおかしくなったのかと思った。

目の前の国王が冗談のつもりで言ったはずの言葉を願いで出したのだ。



「いや、おま、言ってる意味分かって言ってるのか…?」



何か喋ろうと必死に引っ張り出した言葉だったが、やはり無表情のままこちらの顔を見上げて答える。



「肯定。貴方の拳でも剣でも何でもいいので、私を殺して下さい。それで貴方への王位継承とします。」



やっぱりだ。

どこか機械音声、今だとAI音声というやつか?

あれに似た抑揚のない感じがしたので、背後に何かいるのではと睨んだ。



「どこの誰だか知らないが、俺は国王なんか興味ないし。千年後に俺がもし暇そうだったら呼びに来なよ。そんなにスカウトしたかったらね。」



渾身の台詞を決めた俺は、完全に決まった!と国王を見るも、変わらず無表情で答える。



「これは世界樹様の御言葉を私を通して伝えております。この国の意志は世界樹様の意志、早く私を殺して下さい。……でもあまり痛くない方法でお願いします。」



変な所で血の繋がりを感じた。

しかし俺は本当に国王なんかなる気はない。

なのでその世界樹とやらに直談判する事にした。



「ならお前を通さず精霊使いの俺と直接やり取りすれば良いだろ。ビビってんのか?」



そう国王に向けて言うと、頭の中に直接知らない声で返って来た。



「ビビってなどいません。こちらも礼儀として直接は許可を得てからが常識です。それで、話とは何でしょう。」



気にしてたんだ。



俺は王様なんかやる気は全くないから構わないで欲しい。もしダークエルフの差別の廃止をして、俺があまりにも暇をしているなら千年後に考えてやるよ。



そう頭の中で世界樹の精霊に答えると、再び頭の中に声が響く。



「それでは遅いです。貴方が王になり力を得て、私と協力し世界樹の結界を修復しなければならない。でなければ国が滅びます。なのでそこの王を殺して力を引き継ぎなさい。」



ならさっきの話もなしだ。

俺はお前が嫌いだし、お前に言われた通りにこいつを殺す気もないし世界樹を守る義理もない。



俺がそう脳内で伝えると世界樹は黙った。

俺の考えが理解出来ない様だ。



「何故、貴方は怒っているのですか?弱き王が殺され強き王が引き継ぐ。人の世界と何も変わらない王位継承の儀ではないのでしょうか。」



その弱き王を傀儡にして使い潰して、替えを見つけたら殺処分するのが?なら俺がお前の代わりを見つけたらお前は死ぬのか?



生まれたてのAIの様で悪気がないのが悪過ぎる。

俺はこいつと問答するつもりはないので、更に畳み掛ける。



こいつだってお前が認めた王だったら、国の為に自我を奪うんじゃなく、国の為に共に歩むべきだったんだ。

お前の国の在り方は牢獄と変わらないし成長も望めない。

そりゃハイエルフなんて生まれる訳がないな。



「…我ら精霊とは考え方が違うのですね。やはり対話は大切な様です。今までは対話する事が叶いませんでしたので。」



なるほどな。

しかしこの国の歩み方も変わる事だろう。

これで俺への干渉とダークエルフの差別もなくせるはずだ。



そう考えていると、再び頭の中に声が響く。



「その条件を全て受け入れます。しかし、先程言った世界樹の結界を直すにはこの王では力不足。故に貴方の協力は必要不可欠です。」



ならば簡単な話だ。

俺は剣を指輪にしまい、頭の中ではなく口に出して精霊に答える。



「なら早くそこに連れて行け。早く終わらせて帰らなくちゃ娘や家族が待ってるからな。」

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